他人なのに俺。俺なのに他人。『俺俺』
人々よ。
なりゆきでオレオレ詐欺をしてしまう俺。
気付くと別の俺に。
上司も俺、母親も俺、俺ではない俺、俺俺。見渡す限り、俺だらけに。
ある日、家に帰ると知らない人間、いや俺がいた。
どう見ても俺にしか見えない。
他人なのに俺だ。いや、俺なんだが他人だ。
そして、母もそれに気づいていない。
右も左も俺だらけ。
やがて、俺が俺同士を削除し合う。
肉体を切り刻み、俺同士がその人肉を食べ始める。
しかし、俺が淘汰し合うとその先には...
初めて読む著者だが、衝撃的な一作でした。
アイデンティティの崩壊かー。
荒唐無稽ではあるが、随分と哲学的というか厨二病的というか。
精神異常犯罪者とかこんな感じだろうなと思っていたら、やはり後書きで、秋葉原無差別殺人事件の件に触れられていた。