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書籍紹介

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蔵書です。 個人の所感ですので、悪しからず。
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#戦後

近畿日本ツーリストの創業者、馬場勇。社史を基にした戦後企業の物語

近畿日本ツーリストの創業者、馬場勇。社史を基にした戦後企業の物語

人々よ。

近畿日本ツーリストの創業者、馬場勇。

社史を基にした戦後企業の物語。

戦前戦後のこの辺りの起業した男たちの物語は熱いね。

現代の日本企業の礎を築いてきたその変遷は、熱っぽくて良い。

戦後の荒廃と混乱の中で、資力もバックも、信用もないが、先見性と野武士的勇断を武器に、新しい世界"旅行代理店業"に切り込んでいった男の集団。

たった数人で立ち上げた小さな会社から、ここまでの企業にす

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時代と共に、貞操観や死生観というのは移ろいでゆく

時代と共に、貞操観や死生観というのは移ろいでゆく

人々よ。

戦後間もない昭和の大阪。

社会の落伍者が集うアパート「飛田ホテル」
光の当たらない暗がりで悲しく交わる男女の情と性。

今日日、男女の愛憎という言葉が最早昼ドラで使われるのか怪しいくらいに、陳腐な響きになってしまったように思うが、時代と共に、貞操観や死生観というのは移ろいでゆくもの。

平安から江戸期はもちろんのことだが、戦前、戦中、全てが焼け野原になった直後からやや落ち着き始めた時

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戦前、戦中、戦後と生き抜いたおばあちゃんの回顧録

戦前、戦中、戦後と生き抜いたおばあちゃんの回顧録

人々よ。

戦前、戦中、戦後と生き抜いたおばあちゃんの回顧録。

昭和初期、山形の奥地から女中奉公にでた少女タキは赤い屋根のモダンな家と若く美しい奥様を心から慕う。

昭和初期というと、戦争に塗り潰された暗い時代と単一のイメージで語られがちだが、当時の東京における家庭や日常風景が描かれる。

当時の雑誌の場面が出てくるが、『戦死軍人の妻の涙の手記』とか、事変が始まったばかりの時には『未亡人読本』な

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悪行に手を染めていた浮浪孤児達も、まともに商いに精を出し、学校へ通えるようになった矢先、またあの暗い生活に戻ってしまうのか

悪行に手を染めていた浮浪孤児達も、まともに商いに精を出し、学校へ通えるようになった矢先、またあの暗い生活に戻ってしまうのか

人々よ。

戦争が終わり、全てが瓦礫と化した街。

大阪の闇市で、出会ったのは戦争孤児、ヤクザの親分、五百円で売りに出されていた6歳の少女。

無一文、正に裸一貫から商売を始める。

徐々に復興の兆しが見え始め、経済正常化の為に闇市も解体へ向かう。

明日を生きる為に、悪行に手を染めていた浮浪孤児達も、まともに商いに精を出し、学校へ通えるようになった矢先、またあの暗い生活に戻ってしまうのか。

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戦後を全力で生きるというのはこういうことか。活力をもらえます。

戦後を全力で生きるというのはこういうことか。活力をもらえます。

人々よ。

女優熊谷真実、松田美由紀の母にして、故松田優作の義母である熊谷清子の半生を綴った一冊。

二歳で満洲から引き揚げ、山口県で幼少期を過ごし、静岡での女工時代、多感と言うよりは腕白な青春を過ごし、文通から出会い、東京で後に旦那になる男と出会うわけだが、そこで手籠に...

しかし、結婚早々、式の宴席中に実は結婚歴ありの子供ありの新事実発覚。結婚するも妾、二号、愛人と、奔放な亭主。

どこか

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セーフティネット 下層階級

セーフティネット 下層階級

人々よ。

歴史を辿ると、ヤクザにつきものの賭博は奈良時代に賭博禁止令が発令されていることからも、古くから行われ、鎌倉幕府の事績を記した吾妻鏡には、博徒たちの徒党化についての記事が見られるそうで。

更に遡ると、任侠集団については、中国古代前漢の歴史書、司馬遷の史記にもその存在が見られる。

江戸の頃、傾き者(カブキモノ)もその類と言える。
そのルーツから近代ヤクザと呼ばれる彼らをまとめた一冊。

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