#しゃかせん
車椅子の殺し屋『抹殺』
人々よ。
特別養護老人ホームの施設長と難病にかかり10年後には寝たきりになる車椅子の殺し屋。
東作品のハードボイルド殺し屋ものにしては異色な感があるな。
ただ、榊原シリーズなんかに比べるとやや物足りない。
西の歌舞伎町と呼ばれた町田。『まほろ駅前番外地』
人々よ。
前作『まほろ駅前多田便利軒』のスピンオフもの。
六つの短編集。
西東京最大の歓楽街まほろ町。ま、言わずもがな町田ね。
前作では、主人公の多田の目線を通して語られたが、本短編集では前作の脇役達の目線で紡がれる。
中でも、曽根田のばあちゃん編は中々良い。
町田にまだ、原町田駅があって、今の仲見世商店街が戦後の地元の最新のアーケードだった頃が描かれ、ばあちゃんの一代恋愛記が語られる
『ザ・ロング・アンド・ワインディングロード 東京バンドワゴン』
人々よ。
シリーズ11作目。第1作から12年が経つ。
一作目では小学生達だった曽孫達も、今や受験を控える高校生に。
一作一作で着実に齢を重ねてゆく経過が温かい。
本作では、堀田家、初渡英。
安定のハートウォーミング家族物語。
次作まで、また一年待つのか。
他人なのに俺。俺なのに他人。『俺俺』
人々よ。
なりゆきでオレオレ詐欺をしてしまう俺。
気付くと別の俺に。
上司も俺、母親も俺、俺ではない俺、俺俺。見渡す限り、俺だらけに。
ある日、家に帰ると知らない人間、いや俺がいた。
どう見ても俺にしか見えない。
他人なのに俺だ。いや、俺なんだが他人だ。
そして、母もそれに気づいていない。
右も左も俺だらけ。
やがて、俺が俺同士を削除し合う。
肉体を切り刻み、俺同士がその人肉を
描かれる動物の姿は。『MAMONO』
人々よ。
柴田作品では数少ない短編集。
柴田氏のらしさが、それぞれに凝縮されているので、これをとっかかりにすると良いかもしれません。
個人的には、柴田氏の作品は短編集よりも長編の方が断然好みではあるが。
各話を通じて動物が描かれるが...