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書籍紹介

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蔵書です。 個人の所感ですので、悪しからず。
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#自殺

『疾風ガール』

『疾風ガール』

10代最後のバンドの物語。

アマの中では抜きん出たバンドのボーカルが、ある日突然の自殺。

真相を求め、自殺したボーカルの背景を知る旅へ。

なぜなら、そのボーカルは偽名でメンバーも素性は一切しらなかったからだ。

誉田氏の作品は警察ものしか読んだことなかったけど、こういう青春ものも良いね。『武士道シリーズ』は未読だが。

自殺に追いやったのが誰だとかではなく、残された者が、それに折合う理由を求

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自殺。傍観していただけの加害者。今、何を思う。風化し記憶の底に埋没してゆくのだろうか。『十字架』

自殺。傍観していただけの加害者。今、何を思う。風化し記憶の底に埋没してゆくのだろうか。『十字架』

人々よ。

いじめを苦に自殺したあいつの遺書には、自分の名前が書かれていた。

あいつは僕のことを「親友」と呼んでくれた。

でも僕は、クラスのいじめをただ黙って見ていただけだった。

親友と呼ばれる程、遊んだことも関わったこともないのに、遺書に記された名前。

中学2年で、その十字架を背負い、やがて自らが子を持つ大人になる34歳までの描写が描かれる。

この手の話だと、贖罪に重きが置かれるが、本

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誰かが死にたいと思った今日は、誰かが必死に生きたいと願った明日

誰かが死にたいと思った今日は、誰かが必死に生きたいと願った明日

人々よ。

30代40代の中年に入る悲哀の物語、三編。

バブル期のダム建設で底に沈んだ故郷を懐かしみ同級生が再会。

長髪のカツラを外し、ハゲを曝け出す高校教師。

自殺され遺書に名前を残されるが冤罪だった高校生。

重松作品は劇的な展開はないけど、そこはかとないというか淡彩で、何でもない誰にでも起こり得るであろう人生を書くのが非常に巧いですね。

生と死。

誰かが死にたいと思った今日は、誰か

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タイムカプセル 20年後の自分へ

タイムカプセル 20年後の自分へ

人々よ。

平凡な日常を送る片田舎の旅館の小学生の息子。

卒業の記念にタイムカプセルを校庭の片隅に埋める。20年後の自分へというありがちなタイトルの手紙が書かれる。

卒業して数年。
ある同級生の女の子と言葉を交わす様になる。が、この女の子は壮絶ないじめを受けていた。

それも小学生の頃から。
小学校から持ち上がりのため、メンツは変わらず。しかしながら、主人公の彼はその事実は全く知らなかった。

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