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書籍紹介

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蔵書です。 個人の所感ですので、悪しからず。
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#書評

『東京難民 上』

『東京難民 上』

東京郊外にある私立大学生の主人公。

ある日、突如、大学から除籍されたことを知らされる。親が学費を支払わず滞納していたと。

両親に真意を聞こうとするが、連絡が取れず行方不明。九州の実家に帰省してみるも、家の中はもぬけの殻。

手持ちの金もなく、自身の家賃も滞納。また、ゼロゼロ物件の為、賃貸借契約ではないので、追い出される羽目に。

そこから、ネカフェ難民生活へ。

バイトを転々とするが続かず、よ

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『東京難民 下』

『東京難民 下』

上巻のホストから転落し、客の売掛が焦げ付き、チャイニーズマフィアに売られ、タコ部屋へ。

主人公に全く感情移入は出来ないが、現代の貧困層の若者を克明に描かれているのだろうか。

なんだか、あまりにも言い訳がましく、その場しのぎの刹那的で楽観的で、最後は社会のせいってのがどうにも...

社会制度の仕組みにも難ありだとは思うが。

ただ、現実社会にも20代でホームレスってのが結構いるんだもんな。

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『光』

『光』

『スタンドバイミー』的な。

自転車で行ける範囲が世界の全てだった子供の頃。

近所の兄ちゃん姉ちゃん達とも遊んでいたあの頃。

まだ、公園で元気に遊んでいた頃。

近所に名物の口喧しい爺さん婆さんがいたあの頃。

郷愁を感じる一冊でした。懐かしさを覚える。

今日日は安全の面が過剰な程に考慮され公園の遊具は撤去され、外で遊ばず、家に籠るのが多いようだが、そんな子達が大人になった時、この本のような

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『神のふたつの貌』

『神のふたつの貌』

蛙の四肢を石で潰す。

ひくひくともがく姿を見下ろす12歳の少年。

彼は痛みを感じることのできない障害、無痛症であった。そこで、蛙は痛みを感じるのであろうかと疑問を持つ。

痛みを感じないのであれば、自分は人間ではなく、動物や昆虫と変わらないのではないかと。

蛙を潰し壊し続ける。
無痛症は肉体的な痛覚が欠落しているだけではなく、精神的な痛みも欠落しているのか。

少年の父や祖父もプロテスタント

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『ドS刑事 三つ子の魂百まで殺人事件』

『ドS刑事 三つ子の魂百まで殺人事件』

シリーズ三作目。

死体を見たいから警察官になったに決まってるでしょ!猟奇的なドS刑事マヤの性格を形成した中学生時代が詳らかにされる。

スイーツ食べ過ぎ殺人事件、電気椅子殺人事件、目蓋切除ドライアイ殺人事件。

シリーズ一作目からすると、グロさが大分色濃くなってきた印象だな。

各シリーズ、どれも読みやすいのだが、どうもいまいちインパクトに欠けるかな。

いや、面白いことは面白いんだが、何だろう

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『ドS刑事 朱に交われば赤くなる殺人事件』

『ドS刑事 朱に交われば赤くなる殺人事件』

シリーズ二作目。

今回は浜松署の代官山が、ドS刑事マヤの管轄、警視庁へ出向。

新たな新キャラ、ドMのキャリア刑事浜田が登場。

女の嫉妬による殺人、波及伝播する殺意。

構成的には、前作と同じ。

シリーズ化すると、ダレてくるからな。

次作はどうか。

『ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件』

『ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件』

『死亡フラグが立ちました』の著者の一作。

中盤辺りまで、なんの変哲もないあまりにもオーソドックスなミステリだと飽き始めていたが、ミッシングリンクものだと気付いてからは中々面白い。

負の連鎖。負の感情のカオス理論。

バタフライエフェクト、つまり風が吹けば桶屋が儲かる理論で殺人事件が繰り広げられる。

ドSでツンデレな猟奇マニアの超美人デカという設定でなければ、かなり暗いハードなミステリだったん

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そもそもミステリって何?

そもそもミステリって何?

人々よ。

ミステリ。そのサブジャンルは多岐に渡る。

本格、新本格、アンチミステリ、メタミステリ、SF、ハードボイルド、社会派...

そもそもミステリって何?また、出版業界、評論家、本の読み方、楽しみ方。そんなものを一冊の短編集の中にギュッと濃縮。

赤川次郎をこきおろす...私もそちら派だな。

ミステリって何なの?って初心者から、通な人も楽しみめる小ネタが随所に散りばめられ一冊。
さすがだ

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