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自分らしく働くためのスキルと思考~2人のエンジニアから学ぶ「フリーランス」とは~

2019年3月10日、billage OSAKA内で株式会社div主催「Freelance Engineer Conference in Osaka Vol.7 - 未経験から稼げるフリーランスエンジニアになるための最短ステップ -」が開催されました。

本イベントは定期的にbillage OSAKAで開催いただいているフリーランスエンジニアになるには?なってからどうなの?というような話を実際にフリーランスとして働いているエンジニアの人に話を聞こう!というものです。


過去のイベントレポートはマガジンとしてまとめてありますので、そちらも是非合わせてお読みください!


司会はいつも努めてくださっていますTECH::CAMP梅田校の渡辺 慎也さん。

そして登壇者はこちらの2名です。

一宮 孝さん(写真左)
株式会社WAKUWAKU 代表取締役 / Webコンサルタント

Webアプリやスマートデバイスの構築だけではなく、リリース後の集客/売上達成まで一貫したサービスを実現すべく、Web製作会社、システム開発会社、広告代理店、Webサービス提供会社で修行を積んで独立。1年半フリーランスで活動し、2017年法人化し、Webコンサルティングをメインに、Webデザイン、システム開発まで事業を拡大。趣味は、登山、ボルダリング、ロードバイク、ドローンなど。

中尾 信也さん(写真右)
フリーランスエンジニア

フリーランス歴約2年。主な利用言語はPHP、JavaScript。会社員時代は、営業やマーケティングなど幅広い業務に従事。現在は、個人サービスを開発しつつ、ソーシャルゲームのサーバ保守などを行っている。謳い文句は、「ラーメンは鶏ガラ・豚ガラ。フリーランスは人柄。」


(実はお二人ともbillage OSAKAの会員様でもあります!)


それでは早速イベント開始です!



パネルディスカッション

今回は本イベントにすでに3回登壇している中尾さんがあらかじめスライドを作成してくれたので、それに沿ってまずは進んでいきました。

最初にフリーランスのお二方がどのようなスケジュールで働いているのか伺いました。

一日のスケジュール

中尾さん
「結構ゆる~くやっています。午前中は好きなことをして、お昼から『ライスワーク』として働いています。ご飯を食べるための最低限の仕事って感じの意味なんですけど(笑)。それからあとは18時くらいからは自由時間です。日によって違いますが、大体リモートワークをしていて、1週間に一度だけお客さんのところへ行って打ち合わせをしています。
やっぱり皆さん8時間会社で仕事をしている中で、後輩の指導だったり必要のない会議だったり、不必要な時間があるかと思うのですが、やりたい、プログラミングの実装だけをすれば実際にかかる時間って4~5時間くらい、ということがあること思います。そうしたことを実現していくと、1日で3つくらい仕事できる感じになります。なので、例えば月に40万円の仕事を1日3,4時間で回して、それを3本するならば、120万円稼げる、というのは割とある話です。忙しくはなりますけどね。何かトラブルが起きたらめちゃくちゃ大変ですけど…。そういう時期もありましたが、今は緩くやっています。」

一宮さん
「僕も自分一人の時は中尾さんと同様に緩くやっていた時がありました。中尾さんは毎月決まった収入をとるためのお仕事をされているかと思うんですが、僕は結構がっつりやる時と休む時とで差がありました。月に200万円稼ぐ時もあれば、1週間~1か月休んで旅行に行くときもありましたね。やはりメリハリをつけるというのが会社員の時はできなかったので、独立したときはそういった、会社員ではできないことをしようと思って、当時はそういうことをしていました。
今は法人化してスタッフさんもいて、自分がちゃらんぽらんなことをしているわけにもいかないので、10時~18時で仕事をする、ということは決めています。ちょっと特徴としては、サラリーマン時代に結構残業が多い会社に勤めていたので、今はスタッフへの残業は0でしてもらっています。」

今の仕事について(中尾さんの場合)

渡辺さん
「ありがとうございます。中尾さんに質問なのですが、14時からの仕事でどんなことをされているんですか?例えばフリーランスの人でイメージであるのは、『これを作ってください、出来たら○○万円』という仕事が終わったらどうなるんだろう、という仕事もあると思いますし、どこかと契約をする仕事もあるかと思いますが…。」

中尾さん
「一番収入が大きいのは、ソーシャルゲームの保守系の案件です。他にも月に1回だけホームページの更新をしたりと、こまごまとした仕事の積み重ねは大切ですね。その、今持っているソーシャルゲームの案件でいろいろ起こるんですよね。トラブルや新しいものを追加したり、それらに随時答えていくような内容です。最初にがっつりやってほしい契約の話だと、フルタイムで働く必要やそれくらい働いて納期に間に合わせる必要があるので大変ですが、保守系の案件だとこうした緩い働き方はまだできると思います。」

渡辺さん
「中尾さんが保守したものがアプリストアなどでアップデートとして出されるわけですよね?」

中尾さん
「そうですね~。私はサーバー側の保守で、アプリエンジニアはまた別でいるので、その人と足並み揃えてアップデートしていく感じですね。その時々のゲームのキャンペーンとかで変えることも多いです。」

渡辺さん
「都度都度変更があるので仕事がなくなることはない?」

中尾さん
「まあ、ないってことはないですけど、1日4時間くらいで済む仕事を振ってもらっている感じですね。」

渡辺さん
「単発的な案件ではなく、契約が続く限り仕事があるという感じですね。」

中尾さん
「そうですね、契約が続く限りか、アプリ自体が飽きられてアクティブユーザーがいなくなったときとか…。そういったときはプランナーさんがいるので、プランナーさんと相談してエンジニアとしてできることをやってあげたりします。ちなみに今は結構有名なゲームの台湾版と、多言語対応しているグローバル版のサーバー側の保守をしています。」

一日のスケジュール(一宮さんの場合・掘り下げ)

中尾さん
「一宮さん何時に起きてるんですか?」

一宮さん
「僕実はめちゃめちゃ早起きです。5時に起きてます。」

渡辺さん
「寝るのは?」

一宮さん
「寝るのはまばらなんですよね。早く寝るときは10時とか、遅いときは1時、2時とか。
サラリーマンだと朝早く起きないといけませんが、結構自営業の方とお仕事をすることが多いので、お付き合いで遅くなったりとか、朝はそんなに早くなくてもいいとか…。そんなに規則正しい生活はできていないかもしれないです。
朝早く起きるとすごくいいことがあるんですよ。朝活をしている人って人生充実していることが多くて、そういう人と出会うために朝早く起きています。ヨガに行ったり、朝活カフェに行ったり。結構最近流行ってますしね。」

フリーランスとしてのスキル

渡辺さん
「スキルに関する質問は毎回多いですね。どんな勉強をしたのか、最初に何を勉強したのか、フリーランスになろうと思ったタイミングはいつなのか、今はどんな勉強をしているのか…。そういうのを含めてお話しいただけたらと思います。」

中尾さん
「一番最初は、Web系だったらHTMLですね。見ためのデザインの部分です。そのうち、自分がプログラミング言語として選んだのはPHPです。最初は何でもいいと言われていますが、ネットに転がっているプログラミングの案件を見てどういう言語が多くあるんだろう、というのを見てもらったら、今のところ日本ではやはりPHPが多いです。Pythonなどの言語も人気になっていますが、一番多いのはPHPjavasprictですね。
そういった技術以外で必要なことは、他にも4つくらいあります。
1つはまず、納期・締め切りは必ず守ることが大事です。普通のことなんですが、これさえきちんとしていればお客さんとの信頼は爆上げになります。
それからあとは、自分の身を守るうえで必要になってくるのですが、契約書の内容をきちんと理解できることです。私は結構失敗しました。個人情報や仕事上で得た情報は外部に漏らさない、という内容のNDAや、バグの対応について書かれた瑕疵(カシ)担保責任について特にしっかり理解することです。瑕疵に関して言うと、不必要に長期間のバグ修正が契約書に入っていて、当初の報酬とは割に合わなくなってしまったりします。そもそもバグは起こらないように努める必要もありますが、そうしたリスクがあることを理解してもらうことですね。裁判沙汰になったり損害賠償が発生したりすることって滅多にないんですけど、自分の身を守るためには知っておく必要はあるかな、と思います。
あとは、よく営業力だったりコミュニケーション力が必要と言われることが多いのですが、そこまで必要だとは思いません。自分は会話が結構好きで、飲み会など行きたがるタイプなんですが、周りのエンジニアを見ると会話が好きじゃなかったり、飲み会も好きじゃない人というのは結構います。ただ普通に聞かれたことに対して答えられれば大丈夫です。
あとあればいいと思うのはマネーセンスです。結局は商売人だと思うので、自分がどれだけ稼げるか電卓叩いて、キャッシュフローなど自分の運転資金がどれだけあるのかを考えられる必要がありますね。会社員だと厚生年金だったのが国民年金に切り替わりますし、そういったことを知っておくことです。
よく確定申告が心配、ていう人がいるんですが、確定申告は本読んで、それでわからないことは税務署の人に聞けばすごく親切に教えてくれるので、そんな難しいことはなかったですよ。
あと一宮さん突っ込みどころあったら言ってください!」

一宮さん
「基本は僕も中尾さんと同じなんですが、僕も気を付けておいた方がいいなと思うところが2点だけあります。
1つは契約の時によくあることが、お客様のやりたいことで大枠は決まっているけれど細かいところは決まっていない、ということが多いです。特にWeb構築やシステム開発に関しては知識もないのでよくよくヒアリングをしないといけないのですが、その、やりたいことを形にする、という作業でもきちんとお金が取れる、ということを知っていてほしいですね。最初にこれをやっていないと、自分が契約上『これが正しい』と言って出したものも、顧客都合で『違う』と言われて結果タダ働き、損をする、という事態が起きかねないので、瑕疵担保責任の件もありますから、最初にきちんとお金を取って仕様を固めることはお勧めします。きちんとお金を取ることで、仕様を固めることに前向きになってくれますし、他の業者へ頼みづらくなるので、なおお勧めです。
もうひとつ、会社員だと上司や会社が守ってくれますが、フリーランスだと誰も守ってくれません。社会保険、健康保険や年金も自分で用意しないといけなくなります。自己責任が大きくなる分自由にできる、という、いいところと悪いところがあるのがフリーランスです。僕の先輩に、自分でビルの一室を借りて開業した人がいたのですが、僕はそういった後ろ盾もなかったので、コワーキングスペースで開業しました。中尾さんもそうですが、こうしたシェアオフィスに入ることで横のつながりができて、情報交換出来たり仕事を回しあえたりできるので、契約の件と併せて、こういったコワーキングに入って仲間を作ることもお勧めします。」

渡辺さん
「技術的な部分ではどうでしょうか?」

一宮さん
「そうですね、僕が技術的な部分でお勧めなのは、Webデザイナーであってもシステムのことは知っておいた方がいい、というのは絶対にお勧めです。なぜかというと、先ほども言ったように、フリーランスは横のつながりが大切です。デザイナーさんがシステム関連の案件を持っているかもしれないし、デザイナーさんがシステムの人とつながっているかもしれないので、お互いに相互理解をしておいた方がいいです。相互にどんな仕事をどのように進めているのかだけでも知っておけばコミュニケーションがスムーズに進むと思います。

渡辺さん
「中尾さんはどう思いますか?今から身につけておいた方がいいスキルなどありますか?」

中尾さん
「僕は最初ゲームを作ってそれを友達に遊んでもらうことが楽しかったんです。そういった、やりたいことを実現してそれを他人に喜んでもらうというような単純な最初のステップが大切だと思います。お金を稼ぐためのプログラミングとなると、急にプログラミングって面白くなくなるんですよ。やりたいことや興味があることをまずはすることですね。僕もたまに馬鹿なサイトとかネタ的なサイトを作りたくなる時がありますよ。
やりたいことや興味があることがないときは、簡単そうなスマホのアプリを見つけて実際に作ってみるといいと思います。実際に動いたときって嬉しいですからね、そういった時の感情を大切にしたらいいと思います。その延長線で、実はお金がもらえたりもするんですよ。『これでお金もらえるん?』ということもあるかと思いますが、そんなもんだったりします。」

渡辺さん
「TECH::CAMPの受講生の中にも一人、ちょっとエンジニアに興味があるからという理由で受講していた大学の教授の人がいたのですが、その人もとりあえず簡単な電卓のアプリを作ってみよう、と電卓のアプリを作りました。電卓のアプリなんて世の中にごまんとあるじゃないですか。それほどこだわったものでもなかったですし。それでも何か一つ作り上げた、という経験が大切なんだと思います。」

中尾さん
「面接のときにそういった完成品を出すと一気に評価は上がりますよね。最低限そこまでの理解があるんだという担保になりますし、会社としては安心できます。どんなにしょぼくても人に見せられるものを一つ作っておくことが大切ですね。」

渡辺さん
「資格替わりみたいなところありますよね。」

中尾さん
「名刺代わりにもなりますよね。」

仕事の取り方

渡辺さん
「営業に関してですね。これも多い質問です。最初の仕事はどうやってとったのか、とか。」

中尾さん
「そうですね~。営業はそんなに難しくないということは言っておきたいですね。楽勝とは言いませんが、努力した記憶はないというか…。営業よりもまずは技術を磨くことです。この業界は慢性的に人材不足なので、きちんと自分の腕を磨いていれば、知り合いやお客さん、元いた会社の人などが紹介してくれます。紹介が一番多いですね。
また、今持っているソーシャルゲームの案件は案件紹介サービスからとってきました。これは准委任契約と言って、マージンは取られるのですが、クライアントとの間に金銭的な問題が起きた時に間に入ってくれて話し合いをしてくれます。基本は放置ですが…。
また、最初にフリーランスになったときに取った案件はユーザー企業も参加する技術系カンファレンスに参加した時に取りました。そういったカンファレンスに参加している企業は大体エンジニアを探しに来ているので、嘘でも『できます!』と言っておけば案件は取れます。勉強はそのあとで…(笑)。
後、今はつながることが簡単にできる時代です。エンジニア勉強会や交流会、飲み会は本当に毎日開催されているので、そこに参加してみるといいです。これも数うちゃ当たるで、何回も何回も行っていたらいい人に出会えます。営業に困っていたらまずは行ってみてください。
あとは、少ないんですが、向こうから問い合わせがあるか、こちらからアポ電するかですね。昔僕もアポ電していました。本当は嫌だったんですけど(笑)。怒られたりしながらも200件くらいかけたら1件くらいは契約しました。本当に飯食えなくなったらまたしようかな、という安心感はありますね(笑)。」

渡辺さん
「前回登壇していただいた方はブログを作っていて、そこから問い合わせがあったりもしたそうですね。まったく本業とは関係のない内容のものだったんですが、自己紹介にiOSができると書いていたら企業から問い合わせがあったそうです。」

中尾さん
「一宮さんはどういった紹介があったんですか?」

一宮さん
「サラリーマンをやめてすぐくらいは、やはり前の会社からの仕事が多かったです。でも、それって『よく頑張ってくれたから応援するわ~』というお祝儀的なことで、いずれはなくなるだろうという不安はありました。なので、すぐにホームページを作りました。ホームページからのお問い合わせは結構あります。ただ、気を付けないといけないのはその分営業のお問い合わせも増えることですね。ポケットWi-Fiだったりプロバイダだったり…。それは嫌でしたけど、やはり『大阪 ○○』で出しているとその業界でヒットするんです。20%くらいはそこで案件を取ってスタートしました。
そこから先はこういったコミュニティに参加したりして横つながりを作りました。そこで役立ったと思ったのは、自分のできること(商材)をA4の一枚物の紙にまとめて配ったことですね。それがすごくヒットして、すぐにお問合せくれた人もいましたし、時間がたってからお問い合わせしてくれる人もいましたし、またそれを他の人に配ってくれてその人がお問い合わせしてくれたりもしました。
さっきの話にもあったのですが、見えるものを作る、というのは大事です。サイトでもチラシでもポートフォリオでも何でもいいと思うのですが、それで他の人と差別化ができるんです。形あるものを、チャンスを逃さないために常に持っておくことはすごく大事かなと思います。

渡辺さん
「A4の紙はどこで配ったんですか?」

一宮さん
「営業としては、前の会社の飲み会で配ったり、友達紹介の場だったり、デザイナーやエンジニアの集まりはたくさんあるのでそこに無理やり参加して名刺交換して仲良くなったりしました。あとはプライベートの友達からも案件をもらったりするので、プライベートを充実させることも仕事につながると思います。

会社員からフリーランスへ

渡辺さん
「ちなみにお二人とももともと会社で働かれていたかと思うのですが、いきなりフリーランスになったのですか?ある程度紹介がもらえそう、などの目途が立ってからフリーランスになったのですか?」

中尾さん
「私は東京で働いていたのですが、家庭の事情で実家に戻ることになりまして…。そのタイミングでフリーランスになったのですが、紹介に関して言うと、確約はされていませんでしたが、雰囲気はありました。しかし、もちろんそんなに食べていけるような収入でもなかったので、紹介だけでは心もとなく、仕事をもらおうと行動はしていました。
実は、フリーランスを使う側も人手不足で困っていて、ディレクターの友人はフルリモートでPHPとRailsができる人を探していますね。たまに死にそう、って連絡が来ます(笑)。」

渡辺さん
「一宮さんは最初の方はどんな感じでしたか?3年前にフリーランスになられた、ということですが…。」

一宮さん
「3年前はちょうど今のように副業が認められだした時期でした。しかし、過渡期だったので、中々大手を振って副業ができる環境ではありませんでした。地に足がつかないと独立できないな、と思って、1、2年は準備しました。いろいろ根回ししたり、取引先を探したり、サービスを立ち上げたり…。
よくあるのが、その時勤めている会社の取引先を、そのまま独立するときに取引を続けてしまう、ということ。これは結構二極化します。そのまま成功する人もいますが、やはり同じ業界でそういうことをしてしまうと、勤めていた会社に良く思われずにつぶされてしまったり、お客さんからも『そういうことをする人なんだ』と、信頼を失ったりして失敗することもあります。なので僕は前職の取引先の案件はしっかり会社に引き継いでやめて、やはりそれで1年くらいはかかりましたね。」

今求められている仕事

中尾さん
「今求められている仕事としては常駐の案件が多いですね。普通の会社員のように決まった時間に会社に直接出社させる依頼主が結構多いです。やはり家で仕事をさせると仕事をしているのか管理ができない、双方に信頼関係がまだないということが大きな理由です。
また、フルリモートの仕事はお勧めしていません。どうしてもコミュニケーションの失敗で仕事が失敗してしまうことが多いからです。仕事が失敗すると収入にもならないので、やはり損をしてしまいます。なので、僕は週に1回(2週間に1回でもいいと思いますよ)、直接お客さんのところに出向いて膝を突き合わせて話をします。話が好きなのもありますが。何かあったらライブチャットで会議もいいと思います。」

渡辺さん
「一宮さんはどうですか?」

一宮さん
「僕の会社はずっと来ていただいている従業員の方もいるんですが、ほとんどがリモートワークをしています。ただ、完全に自宅で作業すると、完成したのものに関してすべて制作した個人に責任がかかってしまいますので、中尾さんがおっしゃられたように週に1回でもお客さんのところに行き、お客さん側に制作内容を掌握して管理しないといけない、という想いにもっていくことができるので、やった方がいいと思います。責任意識をお客さんにもてもらうことと、信頼関係を築くためにお客さんのもとを訪問することはお勧めします。

渡辺さん
「フリーランスでも会社に行く事ということは結構あるようですね。中には月に何時間働いて年俸いくら、という契約をされている人もいるようです。その契約だと、決められた時間働けば残業等はしなくてもいいのですが、大体が1年契約、というパターンが多いのでその後契約してもらえるかは自分次第です。」



質疑応答

ここからは会場の皆さんからの質疑応答です。

すごく失敗した経験などありますか?

一宮さん
「僕はですね、結構最後の頼み綱的に仕事を頼まれることが多いんですよ。いわゆる炎上案件とかで、何とかしてほしい、といったもの。それって誰にも頼めないから僕に頼んできているものなんですね。それが何度も重なると失敗してしまったり、お客さんもピリピリしてしまうので、いつもの信頼関係で仕事が進められないこともあります。
また、フリーランスとかでやっていると、直接の案件ってそれほど多くないんです。どこかの会社の下請けだったり。これもトラブルが多くて…。下請けの場合は、きちんと契約を結んでおかないと、安い金額で受けている割に上が責任を果たしてくれない、ということが起こりかねません。
僕としてお勧めしているのはやりたい仕事をやるのではなく、誰とやるのか、ということです。信頼できる人とやることです。いくら報酬が良かろうと待遇が良かろうとやりたい仕事であろうと、その人が信頼できるかどうかちゃんと見てから仕事はするようにしています。
あともう一つは、法人化した時とフリーランスでやる時とでリスクヘッジがどこにあるのか変わってくるという点です。法人化すると人一人を雇うときにだって誰を雇うのかとても気を付けなければなりませんし、その人を雇うために上場企業さんなどと取引をする必要が出てきます。そうすると、足元を見られることがあるんですね。歴が浅いだったり、支払い能力があるのか不審がられたり…。それで安く引き受けてしまうと自分の首を絞めることになるので、僕の場合は税理士さん、弁護士さんを雇って最初から上場企業を相手に仕事をするようにしました。
中尾さんは?」

中尾さん
「失敗といえば結構してますよ(笑)それこそフリーランスで踏むであろう失敗は一通りしていると思います(笑)。
25歳ごろの時、仲良くしたい小さい会社さんがありまして、iPadの案件だったです。それが納品してから後にたくさんバグが発生してしまって…。いざ休みの日にいざ実家に帰ろうかと電車に乗り込む直前に、電話がかかってきて修正してほしいと、そこからバグ修正の日々でした。その時まさに足元を見られて、『このままだとだめだから契約社員になれ』と言われました。当時は特に考えもせず契約書にサインをしてしまったのですが、土日出勤を重ね毎日深夜まではたらいて、それで70万円の案件の20万くらいしか手元に入ってきませんでした。めちゃめちゃマージン抜かれたんです。これも失敗ですね…。」

業界の年齢層と、30代、40代でこれから始める人に対してどう考えていますか?

中尾さん
「一宮さん何歳ですか?」

一宮さん
「僕が独立したのは39歳の時でしたね。
エンジニアの業界って35歳までって言われると思うんです。スキルの習得や判断能力の点でそう言われて、開業するならもっと早い方がいいだろうとも言われます。けれど、サラリーマンやっている方が安定して仕事ができたでしょうし、関係値を活用もできたんだろうと思うのですが、あえてフリーランスにこだわりました。
一つの考えとして聞いていただきたいのですが、サラリーマンをしていたら量産人間になってしまうと感じたんです。同じルールを守って同じように生きていくコピー人間のような。どうせ一度しかない人生で自分が選んだ道に行ったら自分にしか見えない世界があるんだろうな、と思いましたし、周りの人で独立している人が多かったんですね。なので、情報が取れたということも多かったですし、チャレンジする環境も多くありました。
だからやるんだったら早い方がいいですし、周りの人から情報を得られますし、その2点があったので独立しました。
やっぱり独立するとなると不安になると思います。ご飯は食べていけるのか、トラブルに巻き込まれるのではないか。でも、これだけたくさんのフリーランスがいる時代ですから、何とかなります。弁護士の無料相談もありますし、規制も緩和されていますし、そういうチャンスが今はあるんです。一つ言えることは、やるかやらないかは自分で決めれるし、後悔はないし、たとえ失敗してもそれをカバーしてくれる世の中なんです。あとは自分が何をやりたいのか、という自分の気持ち一つ次第です。

“そこに年齢は関係ないと?”

一宮さん
「年齢は関係ないと思います!僕も39歳で独立しましたが、50歳で独立した人もいますし、本当に年齢は関係ないと思います。自分が独立したいと思った時が独立時、だと思います。」

中尾さん
「僕は一宮さんとは意見は違います。やるなら今すぐにでもやった方がいいと思います。僕の意見はこうです。
未経験で何も知らずに業界に飛び込むんだったら40歳はきついです。一宮さんみたいにIT系の会社でキャリアを積んできている人ならば50歳でも独立できると思いますが、未経験となると新人としてその業界に入ると思います。すると上司は大体30代くらいが結構多いんですね、今の世の中。Webの企業は若いので、自分より年上の人には教えたくないですよね(笑)。当たり前に(笑)。なので、未経験だと早い方がいいと思います。
自分で家でやっていたり、スキルがある分にはまた別なんですけどね。今からスキルを身につけようと思うと大変です。」

一宮さん
「一点だけ付け加えると、そうした下請けだったり委託業務となると確かに厳しいかもしれませんが、自分のスキルを使って、例えばECサイトを運営したりアフィリエイトで稼いだり、というのは何歳からでも関係ないと思います。自分がその技術を何に使いたいかによると思います。
僕はもともと誰かの開発案件をもらって独立したわけではないので、言えることとしたら、技術を何に使いたいかによります。技術を使って誰かに言われたものを作りたいのか、自分でサービスを作ってお金を稼ぎたいのか、だと思います。」

未経験からWeb系のエンジニアから年収1千万をできるだけ早く、と思うと一度会社に入っていろいろな現場を経験していた方がいいのでしょうか?

中尾さん
「一度会社に入ったほうがいい、という話ですよね?
確実にその方がいいと思います!(一宮さんを見ながら)ね?(笑)」

一宮さん
「そうですね(笑)今はパラレルキャリアと言って副業を認められている社会なので、例えば会社員として定額報酬をもらい、ノウハウや人間関係を構築しながら勉強することが今一番リスクが少なくできることだと思います。

“会社選びのところで、いろいろな現場を体験できるところか、1年くらい勉強してPHPなどに一点特化したような会社とどちらがいいでしょうか。”

中尾さん
「そうですね~…。まず、PHPを習得するのはめちゃめちゃ大変だと思います。技術もトレンドも変わってきますから、今はいいかもしれません。“何が来ても大丈夫”という状況にしておくことがいいんですけどね。
過去、僕もトレンドに置いて行かれた経験がありました。新しい技術がどんどん出てくるので、基礎をきちんと固めておくことが大切です。
会社選びに関して言うと、確かにPHPに特化している会社とRailsに特化している会社と、様々あります。コミュニケーション、引継ぎ的な意味で社内で言語を統一させていることが多いんです。なので、言語がこれと決まっている場合はホームページや面接等で先に確認しておかないと、あとで後悔することになりかねませんので、注意してください。
色々な仕事を任せてもらえるような勢いのある会社がよりいいと思いますよ。」

“きちんと基礎を固めておくことが大事なんですね…。”

中尾さん
「何か一つ言語覚えれば大丈夫ですよ。あとは少し書き方が違う、方言のようなものですから。」

一宮さん
「僕も結構転職してるんですよ。世の中のことを知りたくなると、押さえられなくなって転職しちゃうんです。転職していろいろチャレンジてやっていたので思うのですが、技術を学びたいのか、取引先としてビジネスを学びたいのかで大きく会社選びは変わってくると思います。僕も最初は異業種からインターネットに興味があってシステム開発をしたいと、そういう会社に就職したのですが、技術を習得すると考える視点が変わったんですね。この技術を使ってどういう風にお客さんにアプローチするのか、だったり。すると、独立した後に『こういう会社でこういうことしていました』と話すとお客さんは『え!あの会社で働いてたんだったら、信頼できるね』と言ってくれるんです。そういった名刺代わりも使えました。
自分自身がどうなりたいかをまず考えられた方がいいと思いますね。」

未経験から就職するにあたって大事なことは何でしょうか。自分の作品や論理的なコミュニケーションなど大切だと考えているのですが…。

中尾さん
「全くその通りですね!こんなことができる、というのを持っておくことはとても大切です。
面接をやっているエンジニアにどういった思いで未経験の人やフリーランスの人を雇っているのか聞いたことがあるのですが、その人が言っていたのは整合性のある会話ができるか、ということでしたね。さっき言っていた話と今言っていた話に食い違いがあるというのは仕様を詰めているときにあらわれるそうです。そういう話があるそうですよ。
あと、私の知り合いで未経験からすご腕のエンジニアなった人は昔ドラマーをやっていて、その人は『ある道を究めた人は違うことでも極められる』と言って採用されたそうです。そういう観点もあるらしいです。
技術ではなく、それ以外のところで売れるポイントを作っておくこともいいかもしれませんね。」

僕も未経験で今Rubyを学習していて、就職を目指しています。大阪でRubyで就職できるかととても不安です。就職1年目から2年目くらいの人の活躍度合いなど教えていただけますか?

一宮さん
「僕の知り合いでRubyを未経験からやっている人がいないので何とも言えませんが、Rubyを使っている特殊な業界に行ってカスタマイズで仕事をとる、などが考えられますかね…。
あと、東京と大阪とでは単価が違うんですね。大阪の単価が東京の半分になることはざらにあります。東京が嫌じゃなければ東京で一旗揚げるのもいいでしょうし、大阪はどちらかというと、技術をみがくより人間関係を構築したり、Rubyを最初のステップにして新しい言語を学んだり、ある程度の柔軟性は必要になるかもしれません。
東京だとRubyを専門にやっているところはあったりして進んでいますが、関西では見ませんね…。」

中尾さん
「これからですよね。東京ではやったものって5年くらい遅れて大阪に来るんですよね。もしかしたら今から需要があるかもしれません。
案件紹介サービスなんか見てみても、関西だとたった8件のRuby案件も、関東になると237件になったりするんですね。PHPは関西が67件、関東が380件と跳ね上がり、案件全体でも11倍ぐらい差が出ます。東京は中央集権的になっているので、東京の方がシステム需要が高いんです。
よく聞くのは、エンジニアの質もピンからキリまでいます。悪い人は悪いです。でも。地方に行くとめちゃくちゃ質の悪いエンジニアはそんなにいないんですね。レベルが高い人も少ないですが、ある程度ちゃんとしている人が多いそうです。逆に、素人レベルでエンジニアと名乗っている人を起用してしまうことがまかり通ってしまっているのが東京なんです。魔都ですよ!(笑)東京はいろいろな意味でありだと思いますが、怖い街でもありますので、そういう意味では経験していくのもありです。が、関西でやる意味も見出してほしいです。
あとRailsだけではだめです。+αは必要です。それは何でもいいですが、結構Railsって結構習得が簡単なので必要とされにくいんです。もう一つ勉強した方がいいと思います。」

渡辺さん
「一つやり切っておく、というのは大事ですね、本当に。TECH::EXPERTの受講生は大体Railsを習得するんですが、そのほとんどがRails以外の言語の会社に就職されています。これは、先ほど中尾さんがおっしゃっていたように一つ基礎ができればあとは方言と同じようなもので、それで数カ月で一つの言語を習得できた、という経験があるのは会社としては重宝されます。」



最後に参加者の方にひと言メッセージ

中尾さん
「僕もこうして皆さんの前で話していますが、たくさん失敗もしていきました。でもそれはやってみたからなんですね。やってみて見えなかった景色がありました。
転んでも大丈夫だ、と思ってやることですね。命までは取られませんから(笑)。」

一宮さん
「僕からお伝えできることは、自分自身が変えたいと思っていることがはどこからきているのか、振り返ってほしいと思います。あくまでフリーランスは手段なので、自分がどうしたいのか、どう働きたいのか、に近づくために考えてください。
こういう情報交換の場などたくさんあるので、自分の中にどんどん取り込んでいってください。」



以上をもってイベントは終了しました。


実際にフリーランスのお二人のリアルな話を聞けたとともに、自分らしい働き方を見つけるヒントになったのではないでしょうか。



株式会社divさんのホームページ



billage OSAKAはこれからもこのようなイベントを随時開催していきます!


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