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PP503ラウンドチェア・ザチェア/ハンスJ・ウェグナー<乾燥編>

最高の材料が手に入れば…「乾燥」
生の木を椅子の材料にするには乾燥の技術も大きな役割の一つ。PPモブラーは通常8~10%の水分量のところ独自の規定で5%まで乾燥させます。それはなぜか?木材の反りや痩せを極力防ぐのが目的です。通常木製の椅子は15年も使ってると木は痩せてゆき接着材も消滅しグラつきや破損の原因となります。極限まで乾燥をかけた材料を使えば製品化されたのちでも反りや痩せを回避し品質を限りなく維持できるのです。またじっくりと均等に丁寧に水分を抜く事によってシミや歪みの無い綺麗な状態で仕上げる事も美しさの秘訣。もちろん極限まで乾燥させるにはそれなりのリスクがあります。通常の3倍の時間を要する事と途中で割れてしまったりと…。割れてしまうと503のような大きな部材を必要とする椅子には使えなくなり小さな部品として流用されます。こうして大きな大きな試練に耐え抜いた優等生達だけが503の部材として使われるのです。

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PPモブラーでたった一人最高の技術者と呼ばれる職人が存在します。何となくカンナを使いこなし綺麗に削り出す職人をイメージすると思いますが実は、分厚い木板からパーツを切り出す木取り職人だそうです。日本の酒蔵の杜氏のようにすべての起点になる存在、木取りのセンスが仕上の美しさや乾燥による割れのリスクを下げたりと。最高級の材料を最良の形で仕上げる事は至難の業のようです。ちなみに503の製造を任せられる職人は3人程しか存在しないらしい。(下記動画3:00ぐらい木取りのシーンあり)

<PPモブラー編>はこちら

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