無課金ニキの俺が全国大会に出る話
JOPTとの出会い
KINGS取手に通い始めて三週間程度の頃、こんなことを言われる。
「面白いトーナメントがあるから参加しないか?」
またあの男だ。
この男はいつも私に声をかけてはその気にさせる。
営業トークではないかと思いながらも、こちらはすでに参加する気でいた。
そのトーナメントはJOPTのメインイベントに参加する者を決めるための、サテライトトーナメントだった。
運がすこぶるよく、このサテライトでは優勝することが出来た。
優勝者が権利を獲得し、メインイベントDAY1に参加できる。
しかし、これには落とし穴があった。
一度優勝して権利を獲得しても、一権利で20000点を持って参加することが出来るという仕組みだった。
二権利は30000点、三権利は40000点と増える。
つまり権利獲得回数が少ない者は、スタートチップが多数権利獲得者よりも少ない状態で参加することになる。
ポーカーを始めて間もないたかつには権利を多数獲得するのも、少ないチップで参加するのも厳しかった。
経験をしないことには成長することもないと思い、複数のJOPTサテライトに参加したが二権利のみでDAY1に参戦した。
実力もなければ、勉強方法もわからない。
JOPT DAY1当日
当日はKINGSの桐谷さんも権利獲得者だったので、会場で待ち合わせた。
初めての大型大会、たくさんの参加者を目の前にして思ったのは、
「ポーカーを始めて間もない自分に優勝は無理」だった。
受け付けは長蛇の列。することもなかったので少しでも勝つ確率を上げたかった。
そんな中調べた内容は
「ポーカー トーナメントで優勝 方法」
こんな感じだったと思う。
恐らく、参考になるようなことはどこにも書いてなかったと思います。
広い会場の中、初めましての人たちとテーブルを囲み、今までやったことのない長~~~いブラインドを戦い続ける。
ポーカーを覚えて間もない私は、ここでも当然のコールで参加。
AA,KK,QQ全部。もちろん、相手のレイズには一度も降りない。
参加するためにコールしたのに、なぜか周りは私に対してたくさんレイズをしてくる。
「絶対に降りない。」「参加したい」「持ち点を増やしたい」
チップを前に出し、参加した時点で考えてることはこれくらいだった。
強い役が出来てもレイズはしない。なぜなら私は初心者で相手は強い。
相手からは自分の役よりも、もっと強い役が出て来るかもしれないと思い込んでいたからだ。
当然ナッツでもレイズしなかった。
しかし、徐々に状況を理解して、強いハンドで参加するのはレイズ、これだけはすぐ理解できた。みんなやっていた。
それと相手が弱いハンドを持っていることが多い瞬間に気づいた。
それは相手が‘‘チェック‘‘する時だ。
このタイミングだけは、自分の気が向くときになるべくたくさんベットした。
気が付くとチップはたくさん増えて、テーブルチップリーダーになっていた。
そのタイミングでテーブル移動になった。
せっかくテーブルで一番強いんじゃないかと勘違いしていたところなのに。
チップリーダーとの死闘
移動した先には、チップで家が建つんじゃないかと言わんばかりにチップを積んだチップリーダーがいた。
彼はスプリンター賞をもらっていた方で、私以外の人はとてもやりづらそうにしていた。
ここで縁起の悪い情報が私の耳に入った。
「お兄さんの座っている5番シート、みんなあのチップリに飛ばされてるんで気を付けてください」
ふざけるな。こちとらさっきのテーブルで一番初心者で、一番強い(勘違い)んだぞ。絶対生き残ってやると心に決めた。
しかし、簡単ではなかった。
オープンすれば絶対に3betがチップリから飛んで来る。
たくさん減らしては戻しを繰り返していたところ、チップリーダーと大きなポットを勝負するタイミングが来た。
このポットを落とせば敗退。その時だった。
私のハンドは2ポケ。アーリーポジションから2.5bbでオープン、向かいのチップリーダーから4倍程度のレイズにコール。
flop
Q92のレインボー
チップリーダーはフロップでオールイン。こちらは当然のスナップコール。
相手はフロップでツーペア、こちらはセットが完成していた状況だった。
ターン、リバーまで開き、役の変化はなくこちらの勝利だ。
周りは愕然としていたが、私は大きなポットを獲得することができ、ハンドフォーハンドなどと訳の分からないものを終えて、なんとかDAY2に進出が決まった。
みんな飛ばされていったと言ってきた隣の男性からは、
「よくあんな人と打ち合いましたね」「2ポケでよくコールしましたねw」
なんて言われたけど返した言葉は、
「初心者なものでよくわからなかったんです」だった。
一緒にDAY1に出ていた桐谷さんもDAY2が決まって、神田の東横インで各自部屋を確保して、お互いのDAY2進出を祝いに飲みに出かけた。