怖い話part 3

怖い話と聞いて、人はどんな場面を思い浮かべるだろう
墓場、病院、海、廃墟…
どの年代の人にも共通して思い浮かぶ場所がある

そう、学校 だ

先に挙げた4つよりも、人の死というのは遠いはずの場所で何故こんなにも怪談が生まれるのでしょうね

今回は僕の友人が先輩たちと廃校へと向かう話だ


『小学校』

廃校、そう聞くとボロボロになった状態を想像すると思うが現実にはそこまで古くなる前に解体されるのがほとんどだろう
この小学校も、イタズラでガラスが割られている部分はあったが外見は比較的綺麗であった。

なんでもこの場所は先輩が一度来たことがあるそうで、散策中に物音で怖気付いて帰ってきてしまったのでリベンジに行きたいという事だった

深夜1時、股間強打先輩がハンドルを握る軽自動車は進む

1時間も掛からない程で今回の目的地へと到着した
見た目はごく普通の小学校だ
街灯もなく四階建ての校舎を月明かりだけが照らしていた

入り方は体育館裏のドアからだと先輩が言う
正面の入り口は鍵が掛かっていて、体育館に繋がる誰かが無理やりこじ開けたであろう場所からしか入れないそうだ

半分程度しか開かないドアから身を捩って中へと入る
周囲を照らすと、引き裂かれたマットやバラバラにされた跳び箱が目に映る
きっとドアをこじ開けた人たちがやったのだろう、足元を確認しながら体育館へと抜けた

コツ、コツ、コツ、コツ
四人の足音だけが体育館に響く

このあとは二班に分かれて、片方は上から
もう一班は下からという編成

前回来たという先輩は上から攻めるといい、右手に曲がり遠くから階段を上る音が聞こえてきた
体育館を中心にして左右に分かれていて、先輩たちとは逆方向の左側へ向かう
一歩ずつ進むたびに、恐怖心と好奇心
そして自分が小学生だった頃の懐かしい気持ちが込み上げてくる

何もないその部屋が職員室だと気付いたのは上部に掲げてあるプレートを目にしてからだった
来た廊下を引き返し今度は逆方向へ
目の前に現れたワークスペースに懐かしさを覚えて、低学年の教室を除く
が何もない

自分たちの足音と外の木々が風で靡く音しか聞こえない、静寂がこの空間を支配しているのがより一層不気味に思えた

二階に上がると、このあたりからゴミが目立つようになった
割れたガラスと転がるペットボトル、布切れや片方だけの大人サイズの靴
背筋に冷たいものが走る。
この空間に不釣り合いなのだ
自分らの同じように探検来たのならば、靴なんて忘れようもないだろう
衣類なんかも余計に持って来ないし、捨てて行くような事はあるのか?
暗闇は思考を加速させる、様々な考えが脳内を駆け巡る
そうこうしてる間にこのフロアの散策も終わり、そろそろ上階のメンバーと合流だと
三階へ向かう段差に足を掛けた瞬間、先輩の声が聞こえた


「逃げろぉぉぉ!!!」

ドタドタと音を立てて、必死の形相でこちらへ向かってくる先輩
一瞬硬直していた身体だが、その表情を見て足を動かした
何があったんですか!と、後方に声を掛ける
上へ向かったメンバーは二人、そして後ろから影がもう一つ。

ウォォォォォ!!!!!と獣のような声を張り上げキラリと光る刃物のような物を持つ男が後方から追いかけてきていた
転げ落ちるように階段を降りて、全速力で体育館へと向かう
我先にと押し合いながらも全員校内から脱出し、男の追ってくる気配を感じながら車へ飛び乗った。

車内でアレは何だったのかと尋ねる
四階に明らかに人が生活している痕跡があってゆっくり調べていたら、ワークスペースに大きな布の塊があった
足でつつくとそれは動き出し、どこからか包丁を取り出して振りかぶってきた、と

この一件のあと、これ以上の散策は身の危険があると心霊スポット巡りは辞めた。

こうしてひと夏が終わりを告げました。
彼らにはこの後もっと恐ろしい、何度数えても"単位"が足りない
番長単位屋敷が始まるのは、また別のお話。


今回紹介した3つの話は全て自分の友人が体験した事で、どれも幽霊というものには遭遇しなかったが
最初はコウモリ、次は熊、そして最後は人間。と
実際に命を脅かすような心霊現象よりも恐ろしいかもしれない出来事ばかりでした
学校にいた男性は、家の無い方で
きっと心霊スポットを巡るような人たちから、せっかく見つけた雨風凌げる場所で色々と酷い目に遭ってしまい、自衛のために追いかけてきたんだと考えられます。
そう思うと、アレも人の悪意が生んだバケモノなのかもしれませんね。


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