私たちは神様Discoを見くびっていたかもしれない
RADIO FISHというユニットを知っているだろうか。
「なんかオリラジの……」
「なんかPERFECT HUMANの……」
そのRADIO FISHです。レディオフィッシュ、と読みます。ラジオではありません。
そのRADIO FISHが史上最強にやばい新曲を出した。
タイトルが『神様Disco』と言う。
わたしはRADIO FISHのオタクをやっているので、9/25の発売日当日に配信で『神様Disco』をゲットして聴いた。
……途方に暮れた。
なんなの、これ。
何が起こってるの。
何を、語ってるの?????
(とりあえず見てください。とりあえず「???」でいいです。わたしも最初はそうでした)
『PERFECT HUMAN』で一世を風靡したRADIO FISHだが、それがどんな曲だったか覚えているだろうか。
サビで「NAKATA,NAKATA」と連呼し、そのNAKATAが「I'm a perfect human.」と宣言する。
ひたすら中田敦彦を崇め奉るために作られた世界観。
この「中田崇め」という作風は『PERFECT HUMAN』だけのものではなく、RADIO FISHの楽曲約40曲中、なんと10曲で、NAKATAは明確に崇められている。
「ほんのり崇めてるな?」「歌詞に『神』と出てきたがこれはNAKATAだな?」というようなものまで含めれば、さらに数は増える。
(実はRADIO FISH、一発屋じゃなくて40も曲があるんだよ、とかそういうことも語りたいけど本稿では割愛します)
『神様Disco』はそんな「崇め曲」のうちの一曲で、しかし、これまでと大いに異なる点があった。
黒ずくめの衣装でステージのセンターに立ち常に威風堂々と崇められているはずのNAKATAが、なんと、動揺していたのである。
「新曲の様子がおかしいから皆さん覚悟して聴いてほしい」
「デモを聞かされ『これは世に出して良いのか?』と自問自答した」
わかる。『神様Disco』は様子がおかしい。
まず、タイトルの意味がわからない。
RADIO FISHを応援してきて「神」の存在にはだいぶ慣れたつもりでいたが(RADIO FISH内で中田敦彦は「御神体」と呼ばれています)、「神様がディスコする」と言われるともう意味がわからない。
曲調も意味がわからない。
「平野ノラを彷彿とさせる(中田談)」80年代ディスコ的イントロから始まり、絶妙にダサいAメロ。を、ノリノリで歌いこなす藤森慎吾。
そこから突如おとずれる壮大な中間部。
なぜかラストは盆踊り。
そして最大級に意味がわからないのは、この曲を作ったのが中田ではない、ということである。
「いやいや普通自分を崇める曲を自分で作らないでしょ(笑)」と言われるかもしれませんが、NAKATAに関して言えばそうではない。
さっきも挙げた『PERFECT HUMAN』、あれは中田敦彦が「俺を崇めるラップを書いてくれ」と相方藤森慎吾に発注して出来上がった楽曲なんですね。
さらに元を正すと、オリエンタルラジオのデビューネタ『武勇伝』、「あっちゃんカッコイー!」という決め台詞で有名ですけど、あれも芸人であり、しかもボケという役割を担っているにもかかわらず「ツッコまれるのは嫌だ。俺はひたすら褒められたい!」と言い出した中田敦彦が作ったネタです。
オリラジは、RADIO FISHは、中田敦彦はそういう人です。そういうネタだったはずなんです。
『神様Disco』は、では誰が作ったのか?
RADIO FISHのスキルマスター4人のうちの一人、RIHITO(リヒト)である。
スキルマスターとはなんぞや、というのも本稿では割愛する。
「ワンマンライブやるから新曲作っといて」とNAKATAに振られたRIHITOが、「崇め曲作ってきました!」と発注もしてないのに陽気に納品してきたらしい。
ちなみにRIHITOはRADIO FISH内で初プロデュースした楽曲の作詞の語彙が少なすぎたため、しばらく曲を任せてもらえなかったという経緯がある。
『神様Disco』の歌詞を見てるとなんだかそれもわかる気がする。
「パッとハッと神様Disco」
「キュっとサッと神様Disco」
……なにごと?????
崇められるNAKATAの頭をも抱えさせる『神様Disco』。
メンバーも初めて聴いたときには「どういうことだ?」とうち震えたという『神様Disco』。
なんだかクセになる『神様Disco』。
気づけば口ずさんでいる『神様Disco』。
『神様Disco』の購入、配信サイトは上記のリンクに掲載のとおり。
そう、見てもらえればわかるのだけれど、この曲は全4曲のミニアルバムとして発売された。
スキルマスターの4人が1曲ずつプロデュースしている。
『神様Disco』だけでなく、どの曲も、面白かったりカッコよかったり泣けたり、非常にスルメ度が高いミニアルバム……
ということもあって、発売当初のわたしは「『神様Disco』も頭がおかしいけど他の3曲もカッコよかったり面白かったり最高だよね」と言っていた。
ほか3曲と並列に語ろうとしていた。
私たちは『神様Disco』を見くびっていたのかもしれない。
3回、生のパフォーマンスを見た。
そのたび、客席はザワザワし、しだいに笑い出し、終盤は「ディスコ―!」と合唱し、ついにはフロアで踊り出した。
そんな魅力、いや魔力がこの曲にはある。
中田敦彦の手を離れて、動き始めている。
RADIO FISHのセカンドインパクトは、もうすぐそこにあるのかもしれない。