嫉妬の味はまずかった
『わたしも。』『わたしも!』と彼の過去の思い出や記憶を上書きしたい気持ちが大きくなりすぎて気付かぬうちにいつもどこか焦っている。
それは不安からなのか恐怖からなのか、果たしてそれら全て過去のトラウマ故なのか。
本当は着実にわたしとの毎日が色濃くなっているにも関わらず、傲慢なわたしはiPhoneの中にいるあの子に嫉妬している。
嫉妬や妬みなんて醜い感情はあの日の涙と一緒にゴミ箱へ捨ててしまいたいのに。
ほぼ毎日一緒にいるわたしたち。
『一緒に住みたいね』『同棲する?』なんて会話がよく飛び交うのだが、こんなことを言いつつなんとなく現実的に来年かな〜とお互いに思っているだろう。
口ではなんとでも言えるのでそれは''いつか''の話として置いておくのだが、実際はどうであれそう思ってくれている気持ちだけでわたしは白飯20杯はぺろりと平らげられる。
この間の休日一緒にカフェに行ったとき、彼が徐(おもむろ)にSUUMOを開き物件を探し始める姿を見て、本当に考えてくれているんだ!とわたしの心には嬉し涙で緊急洪水警報が発令されてしまった。
彼は建物や家具が好きで、次はこんな部屋にしたい!とか、こんなソファいいな〜とか、この間もこのラックが欲しいと言っていたんだけど、いつもそんな会話の最後は『引っ越してからでいいや』という言葉で締め括られる。
その部屋にわたしも居ることが彼の未来地図にはきっと記されていて、『◯◯ちゃんはどんな部屋が好き?』と聞かれてわたしも、こんな部屋がいいな〜と画面を見せると『◯◯ちゃん好きそう、この部屋も好きでしょ』と彼のiPhoneの画面がこちらに向けられて、そこにはわたし好みの部屋が映し出されていることに心がにんまりした。
本当は彼と住めたらどんな部屋でもわたしにとってはとびっきりのお城なのだけど。
正直同棲することを全く急いではいないけれど、毎日同じお家に帰ることを想像したら嬉しすぎてスキップしながらバク転出来ちゃうくらいにわたしの心はときめきメモリアルなわけです。
こんなことを言いつつ、ほぼ毎日一緒にご飯を食べて、一緒のベッドで眠りについて、いってらっしゃいとおかえりただいまを言い合う、そんな宝物のような穏やかな日々を送っています。
''この男は今 私のものだ
何も心配いらないじゃない
分かってる でも 分からない どうしようもないの''
彼のInstagramからあの子のアカウントが消えたらいいのに。サブ垢も一緒に消えてくれたらいいのに。
彼の写真フォルダにあの子の写真が1枚も映し出されなかったらいいのに。残ってなかったらいいのに。
どこに行ってもあの子のことを思い出さなければいいのに。思い出が薄れればいいのに。
彼のInstagramのアカウントが元カノとの思い出botにしか私の目には映らない。
本当は何もかも全部。もう、わたしがいい。
元カノやその友人たちからすれば、一緒にいれるんだからいいじゃない。という言葉で完結するし、わたしは新参者の悪者に映っているだろう。
私は既に幸せなのに、傲慢で贅沢でごめんなさい。
わたしに揺るがない自信があれば、嫉妬深くなかったら、気にしいじゃなければ、過去は過去だと割り切れたら、ネットストーカーじゃなければ、わたしはもっと上手に恋愛が出来てたのかな。
でもこんなことばかりを思っていても彼に呆れられちゃうから、わたしは強くならないといけないよね。
だけどわたし、こんな風に強くなりたいわけじゃなかった。
他人と共存するということは、我慢と妥協の連続だと分かっているけれど、きっと今のわたしに必要なのはそれらではなく、思考の枝の生やし方を変える、もしくは増やすことだ。
結局全て、自分の気の持ちようで人生は明るくも暗くもなることをわたしは知っている。
わたしはまた人間として成長するタイミングを神様から与えてもらいました。絶対にわたしのものにする。見ててね。
だからもう少しだけ時間をちょうだい?
時間が経てばあの子との記憶には埃が被り、わたしとの記憶のページが増えていく。
早く2巻を発行したい、3巻も発行したい。
ワンピースくらい長い物語を綴りたい。
結局、わたしにとってのお薬は''時間''なのでした。
早くわたしのトラウマが粉々の灰となって宇宙に葬られますように。
8月の終わりに買った線香花火を10月の終わりにピカピカ光らせました。
深夜1時に近所の公園でコソコソ喋りながら、なんか面白いね(笑)と笑い合ったあの日、わたしの幸せは確かにあの場所に存在していた。
別々の部屋、お互いのお家までの道、最寄りのコンビニ、近所の公園、今のわたしの当たり前がいつかの当たり前ではなくなる。
きっと今が懐かしいあの日々になる。
思い出した時、ふと笑みが溢れてしまうようなお守りのような日々をずっと紡いでいたいね。
今しか出来ないこと、今しか生まれないもの、忘れないようにもっとわたしの内側に塗りつけたい。もちろん、あなたにも。
油性絵の具のような女でごめんなさい🪄
けれど、見方を変えればそれはマーマレードかもよ?