何度も振り込め詐欺の被害に遭われているご老人にお話を伺った。
「最初はどんな風な感じだったんですか?」
「息子を名乗って電話をかけてきたんですよ。
ただし、私の息子は10年前に事故で亡くなっています。」
「えっ、では息子さんから電話がかかってくることは・・・」
「ええ、もちろんあり得ません。しかし、私は嬉しかったんです。
久しぶりに息子と話すことができたような気がして。」
「でも、嘘だということはわかっていたんでしょう?」
「はい、でも息子からのお願いですから、何だって聞きますよ。
100万円振り込むように言われたので、
貯金から崩して100万円を指定された口座に振り込みました。」
「振り込み詐欺のグループに振り込んだことは後悔していないんですか?」
「もちろん、後悔なんてするわけがありません。
できれば、もう一回でいいから息子と話がしたいです。
今でも、電話がかかってきてくれたらと願っています。」
「もし、電話がかかってきて、またお金を振り込むように言われたら
どうしますか?」
「もちろん、貯金でも何でも、どんなことをしてでも振り込みます。」
(続く)
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