1980:最強戦士の休息ココア[前編]
(連作短編「茶飲みともだち」#01)
市役所勤めの父とスーパーでパートをしている母、五歳年下の妹というごくごく平凡な団地住まいの我が家にとって、金髪の若いシングルマザーはかなりのインパクトがあった。
「隣に越してきた渋谷です。栄町の美容院で働いておりますので、お気軽にいらしてください。あと、よろしければこれ、どうぞ」
派手な風貌は美容師だからかと納得した僕の母は、都会でしか手に入らない箱菓子に気を良くし、「砂川です。こちらこそよろしくおねがいしますね」と、手放しで歓迎し