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SHAKILAMO!活動忘備録⑩

前記事ではベースのクビに関わる事件をお送りしたのだが、有料記事で読んでない人のために簡単に要約しておく。

キャリア初のワンマンライブを行うチームにとって重要な時期に、女にかまけて能無しになったベースをクビにする事が決まるが、それもワンマンライブまで半月を切った時点での出来事。またギターのペイペイは残り半年を切ったタイミングで脱退しており、サポートギターを探すだけで手一杯なのに、今からベースの後釜探しは流石に難しい。

maimai「みんなの精神衛生上よくないから、今後野外ライブはなしにしよう。ていうかやってる場合じゃないくらい他の問題解決しなきゃいけないし。とにかくしゅーちょーとヤス君はワンマン成功のために集中して。ワンマンを楽しみにしてくれるお客さんに内輪のしょうもないゴタゴタは関係ないから。ベースを今から探すのは無理だから、一旦大阪のシャキラバップ!とワンマンはSに弾いてもらう。ワンマン終わりでベース脱退を打ち出す」

我々はベースをワンマンまで残留させざるを得ない状況に陥った。致し方が無いことだが、ここからワンマンまで、俺はお客さんに対し"言いたいけど言えない"想いを抱えたままライブを続けていく事になる。

ここまで出した過去の記事や作品で理解してくれていると思うが、俺はステージで等身大の本音を話す。歌詞もリアルに起きた事が中心だ。それがどんなにふざけた歌詞でも、どこかに自分の"ニン"を置くよう意識している。人の言葉借りて喋る奴の言動は薄っぺらいし心動かされない。

言いたい事が口に出せないこの状況が何より苦痛だった。ステージで自分の言葉で自由に喋れない。喋るが隠してる。生きた心地がしなかった。

とにかく事件発覚からワンマンまで、人の気持ちが分からんサイコなベースと共に過ごす日々は地獄だった。マジストレス過多。俺がもしも鬼塚英吉なら今すぐ横にいるSの胸ぐらを掴み「何ヘラヘラしてんだ?」と、そのまま奴の喉元をベースの弦で縛りあげ、機材車に括りつけ引きずり回した後、明石海峡大橋からビニールヒモでバンジーさせる。「地元帰れてよかったなぁ!」言うて。誰がわかんねん。

怒羅江悶

「お客さんに悲しい想いをさせるのはエンタメじゃない」分かってはいるが分かれない、何とも言えない気持ちだった。

ワンマンライブの構想

ワンマンのライブ演出や構成はこうした一連の連続するトラブルにより組み立てては白紙に戻す作業を延々と繰り返していた。ワンマンの話が出てからこの日まで2〜3回では収まらない。

全体の構成は、結成初期から今までを順に辿るストーリ形式で進行し、時系列と共にリリースした作品をお披露目していく。また、我々の転換期ごとにセクションを分け、各セクションごとにサポートギターを変え、リレー形式で繋いでもらった。

大所帯バンドみたい

①活動初期、いなたい横ノリバンド期
お互い前身バンドの時代から面識があり、共にツアーを巡り、企画に呼び合ったりしていた"ハヤシライフ"ずんちゃん

・おもろい楽曲メインに変わった期
大阪VARONのブッカーでお世話になっていた"Lightsout"カズキくん
当時メロコアやパンク寄りな明るく激しい楽曲が多く、弾いてほしい楽曲も多々ありオファーした。

・新ギター加入期
元メンバー現裏方、シュン・ペイペイ
体調面もあり彼の登用は悩んだが、現状ペイペイの歌唱パートを歌う余裕がなかったので、ステージに立ってもらう事になった。ワンマンをフルで走り切るのは流石に酷だが、この演奏時間なら不安は少ないとの話で登壇する。

そして最新のSHAKILAMO!を応援してくださっていた皆様

まことにお待たせいたしました

「おい、いつ現メンバーでてくんねん」

「お前いつから遡って思い出にふけってんねん」

いつしかそんなファンの皆様からのお声が
勝手に頭で脳内再生されておりました

てか俺自身も思ってた。なげえよと

張り切って登場していただきましょう!!

ラストを飾るサポート部族は

現メンバー我らが末っ子"杜乃らいち"。当時の名前は"RAi"だ。

彼をラストにおいたのは、先々の伏線を張るためだ。ペイペイからバトンを渡され新たなメンバーとして加入するように見せたかった。匂わせ的な。まだこの段階ではらい本人には本メンバーのお誘いもしていない。「ラスト僕!?」って言ってた気がする。

彼は当時、はるばる島根からバンドをやる為上阪したにも関わらず、すぐにコロナ禍でバンドが解散。地元島根に戻り社会人生活を送るが、再びバンドに誘われ意を決して再度大阪へ出戻る。しかし戻った瞬間メンバーの不祥事により、加入後すぐに活動休止してしまうと言う、なんとも超絶不遇ボーイだった。

だが何かまぁ、らいはすごい可愛かった(突然)

第一印象は流行りの格好したニコニコ笑ってる少年だ。少年の年齢ではないが少年に見えてた。駄菓子屋に100円握りしめて来る小学四年生くらい。

当時のらい(※イメージです。実際のらいとは異なります)

島根には"出雲アポロ"という箱があり、よく前身バンド時代はお世話になっていた。彼はそこの出自という事もあり、同じ中国四国地方の出身同士、年齢は離れていたが共通の知人も多く会話はわりと弾んだ。余談だがJOURNEYやハロウィンなど後期に出来たMV撮影に際し、岡山のバンド「PANORAMA」のボーカル"SHUHEY"という仲間に依頼していたのだが、RAiはそこでサポートギター経験もある。地方バンドは母数が少ないので、似たようなエリアだとすぐにリンクする。

撮影の激務により倒れこむSHUHEY

なんか…さらっと紹介してごめんシューへー。

RAiの過去加入していたバンド歴や見た目から、カッコイイ重たいサウンドが好きな子なんだなと、それくらいの印象だった。ただあまりに見た目が可愛かったので「お前ホンマにそっち側か?」と言う、何か得体の知れない違和感を覚えていた。特に当初所属していたバンドはダークホラーな世界観強めにも関わらず、一人だけうっすい白〜い光を纏っていた。「せめて衣装は黒にした方がええよな」と思いながら見てた。

それより目先の問題はワンマンでのサポートギターだ。遠征先でのVARONの控え室にて、カズキくんとmaimaiの3人で誰かいいギターはいないかとクダを巻いてる時、RAiが入ってきた

カズキくん「あ、ちょうど空いてるギターおるやん!」
わい・maimai「あ!!!!!」
RAi「えっ????」

こうして、らいちゃんサポート部族起用に至る。

絶対光属性だよね?キミ。

音楽の趣味やビジュアルとかじゃなく、基本的に人が人懐っこく根明と言うか、何も考えてなsアカンこれ以上書くとしばらくむくれて話してくれなそうなのでここまでにしておくが、とにかくその出立ちに、そこはかとなく光るものを感じていた。

ん?待てよ…?

・基本可愛い
・けどかっこいいにも振れる可能性あり
・ステージで暴れる
・技術は荒いが磨けば光る
・サウンドが重め

歌は未知数だがとにかく若い。技術は粗いが伸び代ある。あと勝手な持論だが地方出身の奴は基本的にガッツがある…

よくよく考えたら正規メンバーに適任じゃね?

と言う事で、シャキラバップ!大阪編をサポートしてもらう頃には、ほぼ確定でRAiに正規ギター加入の相談をしようと考えていた。

ワンマンに際しての一連の事件で、シャキラバップ!大阪編の話題が霞むが、勿論こちらにも心血を注いだ。

シャキラバップ!初の大阪編

俺らはmaimai加入に至るまで関西圏が主戦場だった。仲間も多いし何より大阪は土地も文化も好きな場所だったので、シャキラバップ!大阪編開催は、企画がスタートした時から俺の悲願だった。出演者の中には前身バンドから親交ある者や、中には学生時代の後輩までいる。ワンマンという大一番を控え、怒涛の快進撃を見せていた我々が主催するシャキラバップ!大阪一発目は無事ソールドし、朝イチから長蛇の列が並び大成功を収めた。今まで繋いできたものは無駄じゃなかった、そう感じた一日だった。

シャキラバップ!大阪編は無事成功し、RAiという一筋の希望が見え出した頃、ワンマンはもう目前まで迫ってきていた。

運命のワンマンライブ

サポートギターは揃った。構成も決まった。音響・照明・撮影など、脇を固める裏方スタッフも信頼を寄せる人達に依頼した。皆一様に"SHAKILAMO!がやるなら協力する"と二つ返事で返してくれた。ありがたい話です。ただ、まだまだ準備は終わらない。一連の事件のシワ寄せは酷かったが、お客さんに迷惑はかけれないと、maimaiの決死の尽力により表に見えるワンマン情報はつつがなくリリースされていた。

彼女の尽力がなければとっくに死んでた。

残された問題はライブ演出だ。各サポートが弾く曲などは決まっていたが、当日会場で流す動画の制作や、あるいはナレーションの声入れなど、例によって全く終わっていなかった。結局当日の明け方くらいまで時間に追われながらの作業となった。

自分の気持ちはともかく、必ず成功させる。協力してくれた人達、お客さんに、良い一日だったと言ってもらえるようにように、誰一人取りこぼさないように死力を尽くす。お客さんにも自分にも、後悔するようなライブはしたくない。俺は決死の覚悟で臨んだ。

2023年5月15日ワンマンライブ当日

マジでっかい箱

テンション上がるぅ

会場入りと共に武者震いした。ここから俺らの長い1日が始まる。

まずリハーサルにめっちゃくちゃ時間かかった。初めましての箱というのは独特の緊張感がある。箱にあるシステムや仕様は事前に会場資料などで確認が出来る。また以前、客としてフロアでライブを見た事もある。だが、どれだけ細かく情報を確認し事前に準備したとしても、実際にステージで音を出してみないとステージでどのように音が鳴るか分からない。事前にゲネプロをする案も出ていたが、サポートギター全員を召集するだけでも労力がかかるし、もはや現体制でそんな議論の余地もない。本番当日のリハで決めるしかない。我々は普段のライブ以上に慎重にリハを行った。

また、ギターチェンジの為の転換時間中、間伸びしないように上映する動画も作成していた。担当はもちろん俺だが、そんなデカい箱で流す映像など作った経験がない。ちゃんと飽きずに見ていられるか、音声などに粗がないかリハでチェックし、都度調整を行った。諸々の理由により、みんなが予想する倍以上の時間をかけたリハとなった。

maimai「ワンマンでは開場前に先行物販して、公演終了後もスムーズに動けるようにするからね。あと物販は私と裏方スタッフだけでやるから、みんなは裏で休んでて」

ライブに集中してほしいという配慮だ。スタッフだけが立つ先行物販なんて、なんだか売れてるバンドみたいだ。なんともありがたかった。

が、そう思ったのも束の間、嬉しいけどとんでもない誤算が生じる

「ヤバいチェキ全然足りん」

なんと先行物販に長蛇の列が出来ていた。慌ててmaimaiが駆けずり回る。みるみる売れていく新グッズ達。チェキは慌てて裏で撮影し、物販に渡しに行くもすぐ売り切れる事態に。

「足りません!まだまだ撮ってください!」

maimaiも予想だにしない客入りでバタつくスタッフ。俺らも狼狽えながらチェキを撮影する。もはやポーズなど考える余裕もない。救いだったのはステージでのコントに使用する衣装や小道具があったので、それを駆使した。控え室がイロモネアのモノボケエリアと化した。

劇団ひとりの回も好きです
衣装着たまま一服すな

結局物販が終了するまで控え室でチェキを撮り続けた。前日までのほぼ徹夜作業、入念なリハを終え、物販の嬉しい誤算で結果疲労困憊だが、マジで嬉しかったし心強かった。ワンマンを待ち望んでくれてる人達がいる。今の俺にとってはこれ以上ない救いだった。

いよいよ幕が上がる。ここまで大変な目にあってきて、噛み砕けてない想いもあるが、とにかくこの時間はお客さんを全力で楽しませて、自分自身も楽しもう。そう決意し、初のワンマンライブはスタートした。

バカ緊張したwwwwwww1st.ステージ、マジガッチガチだったww

ノリよくこなしている風だったが、セットリストは4年前の物だ。もうあの頃とは別物。「大丈夫か?」「楽しめてるか?」と不安がよぎり心臓バックバクだった。

ずんちゃんさんきゅ!

初めのセクションが終わり、ギターの転換に移る時、カズキくんに檄を飛ばされた。
カズキ「緊張してるやん!ヤスらしくないやん!もっと楽しもや!!!」
この時のカズキくんの言葉…マジで救われた…アニキぃ…

キャンプ連れてって欲しい

「そうよ、俺楽しんでなかったらお客さん楽しめるわけないやん。」顔をバチッとシバいて次のステージへ臨んだ。

そこからはカズキくんのおかげもあり、無駄な緊張もなくなり楽しめるようになった。ただ転換中にコントの準備やギターを入れ替えたり、とにかく演奏中以外でもやる事が多かったので、それ以降の記憶はほぼない。気付いた時にはしゅーちょーが一輪車に乗って出てきたりうどんをこねたり、らいにハリセンで頭をシバかれて一瞬頭の上に星が回った。

クソガキめ

気になるでしょ。どんなライブだったか。

DVDあるので購入してください♡

んでまあ、俺の最後のMCが一際長い。もうほぼ講談。校長先生の話。1人喋りのMCで最長記録を樹立した。当時の心境としては楽しんだものの、やはりS関連の事件を隠しながらステージに立っているわけで。彼に対する怒りも、辛かった道のりも、全て打ち明ける事が出来ず、お客さんに対してもどかしい気持ちでいっぱいだった。感謝も怒りも、喜びも悲しみも、伝えたいものがありすぎる。込み上げる想いが喉元まで出て、飲み込み別の言葉で続けるが、またせり上がって来てを繰り返し…

酔った時ゲロ我慢し続けていざ出してみたら小ゲロしか出ないあの感じだった(台無し)

はいダメー

境界線を引き言葉を選びながら自分の澱みない感謝の意を伝えるのは、まーーーじ大変すぎ頭バグりそうだった。結果あのロングMCです。すみませんでした…。でも伝えたかったんだもんちゃんと!!ありがとうって!!いきものがかりみたいに!!!!

ありがとう

そんな満身創痍で臨んだ初ワンマン。「多少無理を承知で、自分達が背伸びするくらいデカ箱でワンマンやるとアーティストとして成長するよ」と先輩に言われた。間違いない。俺もあれで変われた。見える景色も変わった。色々あったがワンマンをやった事に対して悔いはない。普段のブッキングライブのように袖から見守る仲間もいない中、自分達の実力のみでお客さんを動員し、ライブする。売れるバンドになるための大きな一歩を踏み出した瞬間だった。

勿論後悔もある。もっとあの時こうしときゃとか、もっと事前に準備出来てりゃとか。諸々目先の問題もある。だが、客席で楽しんでるお客さんの反応を見て、照明が当たってるのは俺らのはずなのに、メチャクチャ眩しくて美しい光景だと感じていた。

まぁ、スタミナ切れてそれどころじゃなかったとこもあるけどな(白目)最後のJOURNEYとか曲中酸欠で意識2回飛んだし。

満身創痍で行ったワンマンライブは、何とか自分達のやりたい事を詰め込み、みんなに届ける事ができ、無事幕を閉じた。

あの時ワンマンに集まってくれたみんな、本当にありがとうございました。

でっけえスタンドありざす!

是非DVD買ってね♡


ワンマンチームで近所の居酒屋で打ち上げを行った。文字通りの宴となった。

カズキくんに遊ばれるしゅーちょー

「良いライブやったなー!!」と喜びの祝杯を交わす中、俺はその光景に癒されつつ粛々と飲んでいた。デカい山場を終え、振り絞った結果おいでやすから絞りカスになっていた。

真っ白だったよ

机を挟んで向かいにRAiがおり、ありがとうねーと感謝を伝え平和に乾杯していると、maimaiがやって来る

maimai「今日はお疲れ!!あのさ、急なんだけどSHAKILAMO!入らない?」


俺達に、休息などない(白目)



はい!!!今日はここまでー!!!!!

ワンマンの全容をお届けしました!当時思っていた事とか感じた事を、全部曝け出しました。前記事のS事件と併せて読むと、俺のステージでの感情とかより解像度増すよね。でも本当にワンマンやって良かったなって思ってます。ご来場頂きありがとうございました!

そしてやっとついに、らいちゃん登場です!パチパチパチ

こっからまた色々と、らいとのストーリーはそりゃもうたくさんあるんですなあ…

ねえ、らいさん?w

それではまた次回もお楽しみに!

DVD買ってね♡

ほなまたっ!


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