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HRTechnology Conference&Expo2023視察レポート②

4.EXPOレポート

①出展概要

出展社数は増加傾向、AIを特長とするシステムが昨年比48%増
出展社数は466社。(2019年450社、2022年427社)
ここ数年では最多の出展社数になっており、コロナ前の2019年よりも多い。
ただ、残念ながら弊社が取り扱っている「SAP SuccessFactors」の出展はなかった。(昨年は出展)
前週(10/2~10/4)に同じラスベガスのベネチアンホテルで「SAP Success Connect」を開催した影響かもしれない。
<2023年のジャンル別の出展数Top7>
①    AI                          (89件/19.1%)
②    タレントマネジメント                 (88件/18.9%)
③    採用(Recruitment)                 (84件/18.0%)
④    エンゲージメント(engagement and recognition)     (70件/15.0%)  
⑤    ワークフォース(Workforce Planning & Workforce Analytics) 
                           (68件/14.6%)
⑥    従業員給付(Benefits)                  (49件/10.5%)
⑦ オンボーディング                  (46件/9.9%)
 ※ジャンルとは、各出展社が自社のソリューションの特長となる機能を登 
  録したもの(複数登録可)
 今年のジャンル別1位はAIで(89件/19.1%)。60件/14.1%で4位だった昨年と比べると、AIを特長とするシステムがこの1年で急速に増えたことがわかる。(48%増)ちなみに昨年の1位はタレントマネジメント(110件/25.8%)だった。(20%減)
 

②傾向

・生成型AIの活用が急速に進んでいる

  冒頭にも記載したように、今回のEXPOで目立ったのが、生成型AIを組み込んだシステムが非常に多かったことだ。チャットボット形式で様々な質問に回答するAIや、従業員個々に状況に合わせてキャリアプランを作成するAI、スキル定義やジョブディスクリプションを自動生成するAI等、各社で対応している。Chat-GPTが知られるようになって約1年。昨年のEXPOでは、生成型AIを取り入れているシステムは無かったので(多分)、ここ1年で一気に開発し、実用段階に入ったようだ。そして、各ブースを訪れても特段生成型AIを活用していることを各社PRしてこない。既に当たり前のことで、他社との差別化ポイントにならないと思っているからであろう。Josh Bersinの講演で触れられた「生成型AIの活用は最も簡単だが、タレント・インテリジェンスの構築は最も難しい」という一節を思い出した。

「VISIer Vee」 
「VISIer Vee」チャットボット型でAIを活用、今回はうまく回答が出なかった。


「Reejig」 AIを使った「Career Co-pilot」がその従業員にあったキャリアプランを作成

 
今後も生成型をはじめとしたAIを活用した有効な機能が次々と出てくることは容易に予想できる。
ただし、これらのAIを活用した機能を充分に活用するためには、ある程度の精度のJOB定義やスキル定義情報があることが前提になる。これらの情報をタレントマネジメントシステムで管理できていなければ、AIを活用した新機能があっても、そこから得られる情報の精度は期待できず、新機能のメリットを享受できないことになってしまう。
今後企業としては、AIが生成する情報を活用できないと、企業競争力を低下させてしまう可能性もある。それを避けるためにも、JOB定義情報やスキル定義情報の整備は必要になっていくだろう。
Josh Bersinの講演で、社員の生産性を高めるためにAIをより活用するためには、従来のスキル定義やJob定義のレベルを更に上げなくてならないとの話もあった。欧米企業が更に先を行くことになりそうだが、日本企業も、今後続々と出てくるであろう新たなHRTechソリューションを充分活用できるように、JOB定義やスキル定義のあり方について検討されては如何だろうか。
 

・SAP SuccessFactorsと連携する製品が増えてきた

 もうひとつ今回印象に残ったのが、弊社が取り扱っているSAP SuccessFactorsとの連携を謳っているシステムが多く出展されるようになってきたことだ。もちろん提供機能が競合するシステムも多いが、専門性の高いシステムや、タレント・インテリジェンスのような様々なシステムと連携して情報を収集/回答するシステムで、SAP SuccessFactorsとの連携を謳っているシステムが多くなってきた印象だ。以前から連携を実現しているものもあるが、今回は以下システムに目に留まった。(順不同) 
 
●LeenaAI

SAPやSAP SuccessFactorsを含む様々なシステムから情報を収集して質問にAIが答えるチャットボット。対象システムを限定せずに、社内で使用している主要なシステムから情報を収集し回答することができる。

EXPOのブースでは多くのシステムとの連携を実現していることが強調されていた
 

●ingentis

SAP SuccessFactorsとシームレスに連携し、組織情報の可視化や組織シミュレーション等、組織に特化した分析を行うことができる

EXPOでの説明画面。SAP SuccessFactorsとの連携が強調されている


※Ingentis社のHPより

  
●Lucy

 社内の各システムと連携し、AIが適切なナレッジを回答するナレッジマネジメントシステム。(社内用Googleのイメージ) 
 昨年もブースを訪れて説明を聞いたが、SAP SuccessFactorsとの連携は謳っていなかったので、この1年で実現したようだ。

※SAP Storeより


 
●HireVue

 SAP SuccessFactorsの採用管理モジュールと連携できるデジタル面接プラットフォーム。
録画面接内容をAIが分析するコンピテンシー評価、ゲーム形式で認知能力を測定

※HireVue社HPより


 
●ServiceNow

 業務プロセスの標準化/自動化する機能を多数保有。SAP SuccessFactorsのEmployee Centralと連携することにより、人事業務全般の効率化を実現

※ServiceNow社 HPより


 
●Udemy

  オンライン学習プラットフォーム。SAP SuccessFactors LMSモジュール(学習管理)と連携して教育コンテンツの利用や、コース完了状況の同期が可能

※Udemy社 HPより


これらのシステムと連動させることによって、SAP SuccessFactorsで提供できるソリューションの付加価値を高めることができるので、ケースバイケースでの連携も検討したい。
 

5.終わりに

 今回のHR Technology Conference&EXPOは、コロナ前の活気を完全に取り戻していた。
昨年はまだ日本人と思われる来場者が少なったが、今年はコロナ前以上に多かったように感じた。
日本においても、グローバルでのHRTechソリューションのトレンドに関心が高まるのは良い傾向と思う。
是非日本に情報を持ち帰って、日本企業のHR関連ソリューションの底上げに役立てていただければと思う。
そして、文中にも記載したが、この1年の技術の進化に驚かされたイベントでもあった。
生成型AIについては、充分に活用レベルにあるようなので、今後は何に活用するかのアイデア勝負のフェーズに入ってきた。
来年は一体どのようなソリューションが出現するのか、非常に楽しみでもあるが早い技術の進化に追随していく難しさも一方で感じている。
日本では、まだ生成型AIを搭載したタレントマネジメントシステムは発売されていないと思うが、日本でも今後急速に普及することが予想される。SAP SuccessFactorsはグローバルでは機能を搭載し始めるようなので、日本で利用できるようになるのも、それほど時間はかからないだろう。
弊社としても、SAP SuccessFactorsの新機能も活用しつつ、独自の新たなソリューションも検討し開発していきたいと思っている。

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