対岸のゴールは常に動く。

「思っていた人生とは違うけど、なんか良かった。これはこれで。」このような台詞はありきたり過ぎる台詞ですが、でも今はこの言葉を常に意識しいて活動をしている気がします。

思っていた未来と違う現在があるって事は、ごくごく自然な事で。むしろしっかりとその時々を感じで、考えて進んで来た証ですから自分を褒めたほうがいい。

僕の夢は小学校に入る前はウルトラマンになる事。でもウルトラマンは存在せず、その中にスーツアクターっていう職業の方が入ってる事を知る。そうすると今度はスーツアクターになりたい！ってなります。
これは自然な事。
そのうちにウルトラマンってのは円谷プロが産み出したヒーローだって事を知り、円谷プロのドキュメントみたいなのをテレビ欄（この頃は家庭には必ずどこかしらの新聞が届いていて、大人は社会をそこで知っているようだったが、僕はとにかくテレビ欄。）で発見しては、それを見るようになる。

そこで今度は何かを創る大人達に憧れ、目にする全ての物の裏側にあんなにも格好の良い大人達がいるのかとワクワクする。何かを創る人になりたいというてんでは、41歳の現在もそこに憧れ向っている。しかしそれがダンス劇だと言いって活動する事だとは思いもしなかった6歳の僕がいるわけです。

しかし今は、もっともっと早い速度で目的地は形も場所も変えて行かなければいけないと思っている。

昨年は予定していた舞台やイベントが中止になるという、以前は台風か関係者が不祥事でも起こさない限り頭を使わなかった問題に、常に向き合う事を強制されたわけで、今現在（2021/2/6 ２回目の緊急事態宣言の最中）もそれは続いている。しかし以前の突然の出来事へのショックではなくこの状況での、事の企て方を模索するようになっている。
これを書きながら向かっている現場でもPCR検査をはじめとする沢山の対策や心構えを共有しながら進んでいる。それでも現場には笑顔があるし、感動もあるし、やりがいもある。

人は考えて見つける事を繰り返し生きるし、人だけでなく動物達ときたら何の文句も口に出さずに変容していき、植物達は日々高さの変わる太陽に順応して伸びていく。

今僕が描くここから１年後の目標すら何処にたどり着くかはわからない。
それが普通であり、対応しなくてはいけない。

しかし目標や夢を掲げる事をやめてはいけないように思うのです。

それがあるからこそ、想像もつかなかった所に辿り着く。

今年もいくつかの舞台に携わったり自ら企てたりいたしますが、それらを楽しみに思って、それまでに思考して学んで過ごしていくでしょう。
しかしそれと同時に、今思い描いていない活動の仕方や、表現の方法を身に着ける為の心の余裕と、俊敏な柔軟性を持っていたい。

流の早い川で対岸に辿り着く方法は、川の流れに逆らわず流されながらも、対岸の方へ体を向けておくしかないんですよね。
今はそれくらい流れなきゃ向こうへ辿り着かないのは事実ですから、まずは渡りきってみようと思うんです。

どんな活動でも先人達の場所を目指し、追い越せとおもって来た方々にとっては、少々胸が痛くなる時代なのかもしれませんが、川の真ん中で「胸がいたいぜ！」と叫んでいては対岸に辿り着く事すらできませんから、今は向こうをしっかりと見る事が良いと思うのです。これが目標や夢を持つ意味なんじゃないでしょうか。

まだまだ向岸は遠く、どんな地に辿り着くかわからない事を楽しむ日々を送りたい。

みなさんもよろしければぜひ。

ダンス劇作家/熊谷拓明

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