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デザインフェスタvol.60に出店しました!
2023年11月に開業届を提出してから、気づけばあっという間に1年が過ぎていた。
40歳目前にしてイラストレーターとして走り出したこの1年は模索の連続だったけれど、その中で少しずつ見えてきたものもあった。
そして、この節目に参加した「デザインフェスタ vol.60」は、今後の方向性を考えるきっかけをくれた。
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「デザインフェスタ」(通称デザフェス)は、日本最大級のアートイベント。
プロ・アマチュアを問わず、自由な表現が許される場として多くのクリエイターが集まるこのイベントに、私は「アトリエけだま」というユニットとして出店した。
「アトリエけだま」は、作家のあやこあにぃさん、デザイナーのりさこさん、そして私の3人で結成したユニット。
絵とことばのコラボでほっと一息つける作品づくりをしている。
実を言うと、イラストレーターとして活動を始めたばかりの頃、自分がこうした大きなイベントに出店できるとは思っていなかった。
でも、一人では届かなかった場所も、仲間がいれば踏み出せるのだと気づかされたのが、この1年間だった。
2024年2月には御成門で開催された「クリラボギャラリー」の展示会で、自主企画のインタビューマンガを初めて披露した。
一緒に制作していたあやこあにぃさんから作品の挿絵を描くお誘いをいただき、それがユニットとしての初期の活動につながった。
2024年5月には文学フリマ東京38、7月には星々文芸博と、少しずつ出店の幅を広げていった。
デザフェスへの出店も、こうした積み重ねがあったからこそ挑戦できたものだ。
今回の出店では、これまでの経験を生かしつつ、新しい作品や活動方法を模索した。
ここで得た経験が、12月に出店した「文学フリマ東京39」や浜松での展示会「クリスマスのまえのよる」へとつながっていく。
そして、私たち自身も少しずつ新しい活動の幅を描いているところだ。
この記事では、そんなデザフェスへの出店を振り返りながら、私たち「アトリエけだま」がどのように活動の幅を広げているのかをお伝えしていきたい。
出店準備
アトリエけだまのコンセプトとスタンス
「出店ハイ」――たぶん、あのときの私たちを一言で表すなら、これが一番しっくりくる。
文学フリマ東京38、星々文芸博と立て続けにイベント出店を経験し、「こういう大きな場にも挑戦できるかも」と妙な自信が芽生えていた。
それがデザフェスへの出店を決めたきっかけだったと思う。
でも、振り返れば私たち「アトリエけだま」の挑戦はいつもどこか無謀で、ギリギリだ。
準備期間中、頭の中に何度も某アイドルグループのとある曲のフレーズが浮かんだ。
「ギリギリでい〜つも生きていたいから〜Ah~Ah~♪」
いや、別にギリギリでいたいわけじゃない。むしろ余裕を持って進めたいと思っている。でも突如湧き上がる新しいアイデアに3人で盛り上がり、気づけばスケジュールが押しまくる――そんな日々だった。
私は何度も「私は週刊誌で連載する売れっ子漫画家!」と自分に暗示を掛けながらイラスト制作に没頭していた。笑いながらも、本当にギリギリで駆け抜ける時間を、どこか楽しんでいた気がする。
そもそも「アトリエけだま」というユニット名は、私たちが一緒に暮らす猫やウサギたちが由来だ。
しんどい日も、辛いことがあっても、毛並みをひと撫ですれば憂いが吹き飛ぶ。ふわふわであたたかい“けだま”のような作品を届けたい――
そんな思いを込めた名前だ。
私たち3人も、そんなふわっとした空気感をどこか持ちながら、制作に向き合っている。
「アトリエけだま」では、あやこあにぃさんが紡ぐ約140字の超短編小説に、私が挿絵を描き、りさこさんがふたつを一つにまとめるデザインを担当している。
この役割分担が生み出すのは、ただの「小説」でも「詩集」でもない、独自の世界観。(を生み出したい…★)
これまでのイベントでは「けだま本」こと『憩いのよるにけだまを添えて』や、「おはなしみくじ」などの作品を並べてきた。
今回、デザフェスのために準備した新作は「おはなしコースター」。
不思議な喫茶店を舞台にした物語が、4枚のコースターセットとして展開される。3人でコンセプトを話し合いながらアイデアを形にしていった。
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ブースづくり
ブースづくりにもこだわった。
これまで参加してきたイベントで他の出店者を参考にしたり、けだまの世界観をどう伝えるかを何度も話し合った。
今回は「ロゴ入りの大きな幕」を用意したのも、その一環だ。
私が描いたイラストがこんなに大きく印刷されたのは初めてで、出来上がったものを見たときは感動した。
自分の作品が、こんな形で多くの人の目に触れるのだと思うと嬉しかった。
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準備期間中は、楽しいことばかりではなかった。
ギリギリのスケジュールに追われることも多く、ふと「本当に間に合うのか」と不安になる瞬間もあった。
それでも、仲間がいるから進めるし、仲間がいるから楽しい。
3人で作り上げた作品やブースが形になり、「これでいける」と思えたとき、私たちの挑戦がまた一歩進んだ気がした。
当日のこと
当日の朝
デザフェス当日の朝、会場に到着した瞬間から、私たちのテンションは一気に上がっていた。
巨大な東京ビッグサイトの中には、無数のクリエイターたちの熱気が詰まっていて、そのエネルギーが空気ごと揺らしているようだった。
2日目のみの出店だったこともあり、すでにブースが出来上がっている間を縫って私たちのブースへと向かう。
どこを見ても目を引くブースばかりだったが、出展者としての視点で眺める会場は、少しだけ特別に見えた。
ブース設営が始まると、いきなり大忙しだった。
今回は、ずっと眠っていた三脚がついに活躍する日が来た。
購入したのはかなり前だけど、使う機会を逃し続けていた三脚をタイムラプス撮影のために持参。
慣れない手つきでタイムラプスを撮りながら、ディスプレイを組み立てていく。
撮影した動画を後で見てみると、設営が徐々に形になっていく様子がなかなか楽しくて、自分たちの作業が映画の一場面みたい。タイムラプスって楽しいな〜
良ければ設営の参考にご覧くださいませ↓
さらに、この三脚が自撮り棒にもなるというものだったので使わないわけにはいかん!と、せっかくだからブースを背景に記念写真を撮ることにした。でも、慣れない自撮りに悪戦苦闘…角度が決まらなかったり、変な持ち方になったりして、3人とも涙が出るほど笑った。
(もう開場前から化粧が取れた気がする…笑)
そんなドタバタオープンでさらに笑いが止まらなくなった。
こうして、「アトリエけだま」のブースは、私たちの笑い声に包まれながら完成した。
開場〜!
開場のアナウンスが流れてからしばらくして、お客様がブースに足を止めてくれた。(さすが東京ビッグサイト、会場広いからね)
その中で一番印象に残っているのは、新作の「おはなしコースター」を気に掛けてくれた方だ。
目を配るや否や、「あ〜使えないやつだ」とつぶやかれ、思わずドキッとした。
使えない? どういうことだろう? 少し緊張していると、「使っちゃったらもったいない」と笑顔で言われて、ほっと胸を撫で下ろした。
むしろ、そう思ってもらえる作品を作れたことが嬉しかった。
会場を少し回ってみると、他のブースもとにかく楽しい仕掛けやアイデアであふれていた。
特に、ZINEを販売している人たちのブースに心を奪われた。
「私もこんな形で自分の作品をまとめてみたい」と次の目標ができたのが、何よりの収穫だった。
そして、ブースに戻ると次回のイベントの話も…
なぜなら、あと2週間後に「文学フリマ東京39」出店が控えていたからだ。文フリに向けて、まだまだアイデアを練り始めるあたり、私たちのギリギリ具合は健在だった。
お疲れさま会
イベント終了後の撤収作業も、相変わらず笑いが絶えなかった。
設営のときに撮ったタイムラプスの話で盛り上がりながら、3人で手際よく片付けを進める。
「次回はもっと早く準備しよう」という反省を何度目かの口約束として交わしながら、会場を後にした。
撤収後の夜ご飯は、品川駅のカレー屋さんだった。
美味しいけれどボリューミーなカレーを前に、疲れ切った身体には少し重すぎたのか、ちょっと残してしまった。
そのとき、店員さん――たぶんインド人の方が、テーブルに近づいてきて「モウイイノ? モウガンバレナイ?」と顔を覗き込んできた。
その可愛らしい仕草に思わず吹き出してしまい、「そう、もう頑張れない!」と笑顔で答えた。
なんだか、そんな疲労感さえも楽しいと思える一日だった。
デザフェスを終えて
デザフェスを終えた夜、品川駅で食べたカレーの味を思い出すと、あの日の出来事がすべて混ざり合って胸の中に広がる。
疲れ切っているはずなのに、どこか心が軽かった。
私は割とイベントなどをやり遂げた後、「燃え尽き症候群」になりやすい。
(といっても、丸一日顔も洗わずパジャマのままでだらだらとドラマや映画を見続けることで回復する)
今回は2週間後にまた出店を控えていることと、翌日も9時から別件の仕事を入れてしまっていたこともあり、ちょっとばかり我が家のけだまたちにウザ絡みする程度で回復できたのだった。
今回のデザフェスは、私自身のこれからの活動にとっていくつかの意味で大きな経験だったと思う。
まず、自分たちの作品を見知らぬ人たちに直接見てもらい、感想をもらえたこと。特に「おはなしコースター」を手にしたお客様が「使えないくらい素敵!」と言ってくれた言葉は、今後の創作の自信になった。
「こういうのをもっと作りたい」と心から思えた瞬間だった。
また、他のブースを回りながら、たくさんの刺激を受けたことも大きな収穫だった。
個人的には今後、ZINEを制作してみたい。
ZINEが作れるくらい素敵な作品を描きたい、漫画を描きたい…
すぐにでも取り掛かりたい気持ちを抱えつつも、12月に控える2つの出展に向けて準備に取り掛かりあっという間に今に至る…
そして今回の出店で得たものは、「コラボできる仲間がいること」の安心感とパワー!
ギリギリのスケジュールや、突如湧き出る新しいアイデアに翻弄されながらも、最終的には「これがいいね」と3人で決めたものを形にできたこと。
それがどれだけ心強かったかを、あらためて実感した。
自分ひとりではきっと、ここまでの挑戦はできなかったと思う。
最後にもうひとつ、普段から私がこうした活動に奮闘している姿を見ている子どもたちには「なんだか遊んでるな〜」と思われているかもしれない。
けれども「楽しい」の先にも「お仕事」は繋がるんだよ、そしてそれは「学び」の連続なんだよ、っていうことを伝えたい。
(そんな想いで思春期の息子たちを今度の文学フリマ、遊びにおいでよと誘ってみた。)
もちろん、反省点もある。
たとえば、もう少し事前の準備に余裕を持てたらよかったとか、ディスプレイの工夫がまだ足りなかったのではないかとか。
ディスプレイも奥が深い…
デザフェスは、ただのイベント出店という枠を超えた「模索と挑戦の場」。
そしてその挑戦が、また次の挑戦を生み出すきっかけになっているから、変わらず「出店ハイ」が続きそう…
文学フリマ、星々文芸博、デザフェス…一つ一つのステップを踏みながら、少しずつ活動の幅を広げているな〜と。
これからの作品のことや活動方法など、今回の経験を生かしながら、また一歩を踏み出していきたい。
最後になりますが、
アトリエけだまのブースにお越しいただいた皆さま、ありがとうございました!
またお会いできることを楽しみにしております♡