不思議な体験。
どうもです。
今日は、私が昔体験した不思議な出来事をお話しします。
私は小学校卒業と同時に隣の市に引っ越しをしたため、中学は友達が全くいない状態からのスタートとなりました。
周りは既に小学校からの友達同士でグループが出来ており、なかなかその輪に入っていけず孤立した日々を送っていました。
そんなある日、休み時間に廊下を歩いていると後ろから声をかけられました。
「君、何組?」
振り返ると、私より背の高い坊主頭の男の子が立っていました。
私は上手く喋れずにいると、それを察したのか再び話しかけて来てくれました。
「あ、ごめん。僕は小学校卒業してすぐに引っ越してこっちに来たから、どんどん友達作ろうと思って他のクラスの子に声をかけているんだ。」
「そうなんだ!僕も引っ越してきたんだ。同じだね。」
引っ越してきた者同士、すぐに打ち解けて休憩時間のたびに話をするようになった。数日後、いつものように話をしていると急に真面目な顔をして、その子が話をし始めた。
「これ、昨日先輩から聞いた話なんだけど・・・。」
***
夜中に、なんとか流星群を見に行こうと友達数名で約束をしたらしくて、その集合場所がこの学校の門の前だったんだって。
その先輩は、割と集合場所に余裕をもって来る人らしくて、その日も着いたのは一番。門の前で友達が来るのを待っていると、何か後ろに視線を感じたらしいのね。
こんな時間にいるとって宿直の人ぐらいだけど、そう思いながら後ろを振り返ると門の向こうには暗闇が広がっている。
奥の方にうっすら離れ校舎が見えるけど、人影は無い。
気のせいか、そう思いながら何気なく上を向くとその離れ校舎の一番上の階にある教室の窓から、こっちを除いている青白い顔があったんだって。
その顔は恨めしいような哀しいような何とも言えない表情で、あまりの急な出来事に身体は固まって声も出なくなっちゃったらしい。
もしかしたら動けたかもしれないんだけど、動くと向こうもこっちに来るんじゃないかと思って、とにかく息も殺してじっと動かなかったみたい。
どれくらい時間が経ったか分からないけど、急に後ろからこえをかけられたらしく、体の緊張がとけてその声の方を振り返ったんだって。
そこには待ち合わせていた友達がいたらしい。
どうしたのか聞かれたので、再び門の方を振り返りながら指さすと、もうそこにはさっきの顔は無かったんだって。
***
話が終わるころにちょうどチャイムが鳴った。
別れを告げて教室に戻った。
すごく怖くて、誰かに話したかったがまだそんなに仲の良い友達はクラスにいなかったので、誰にも話せずに数日が経った。
不思議と、あの話を聞いてから徐々にクラスの人と会話が出来るようになり始めて、部活にも入り徐々に友達が増えていった。
色々な人と話をする中で、自然とあの話は私の中で記憶として薄れ始め、クラスの中に馴染むことで、いつの間にかあの男のことも会う機会が無くなった。
・・・という話を、大学生になってから夜の公園で友達と集まった時に話をしたんだけど、聞いた友達が怪訝な顔をしていた。
「あれ、俺何か変なこと言った?」
そう聞くと、友達の一人がこう呟いた。
「・・・その男の子って、誰?」
それを言われた時に、ハッとした。
確かに、思い返すとあの男の子が誰なのか分からない。
私の中学校は、学年にクラスが5つで生徒は各クラス40人弱なので、学年全員合わせても200人に満たない。しかもその中で男の子は半分だ。
三年間も通っていれば、顔と名前くらいは大体覚える。
しかも、友達いわく中学に入って他所から引っ越してきたのは私を入れて数人で、その人達は全員顔も名前も分かっている。私も知っている人だ。
卒業するまでに転校してしまった人も非常に少なく、それも全員記憶にある。
・・・あの子、誰だろう。
怖い話を聞いたはずが、知らない間に自分自身が不思議な体験をしていたというお話でした。
ではでは。