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アン・ユナのアンビバレンスな美しさ

コロナ渦で大変な時に私にパワーをくれた「Nizi Project」。終わってしまった喪失感に苛まれていましたが、虹プロから卒業するために書き留めておきたいことがあり、久々に筆を執りました。
感情の大爆発チックなお話なので、「なんだ、こいつ…?」って思ったタイミングであらゆるデバイスの「戻る」ボタンをクリックすることをお勧めします。

そして私が伝えたいことはただ一つ。
「アン・ユナは尊い。必ずスターになる。」

1. Nizi Projectとは

ここ最近韓国では定番となっているアイドル誕生までのオーディション番組。「Nizi Project(通称:虹プロ)」もその一つ。韓国の大手芸能事務所JYP ENTERTAINMENTと日本の大手音楽レーベルSony Musicがタッグを組んで行った共同ガールズグループプロジェクトです。
以前日本では「PRODUCE 101 JAPAN」という韓国のエンタテインメント企業CJ ENMと日本の大手芸能事務所吉本興業、テレビ局TBSの3社合同で行われたプロジェクトが実施され、こちらも話題になりました。PRODUCE 101は韓国でシリーズ化しており、シーズン4まで行われ、社会現象を巻き起こし、4組のアーティストがデビューしています。この韓国のオーディション番組を日本に持ってきたのがPRODUCE 101 JAPANで、視聴者投票でデビューメンバーを選ぶというスタイルのオーディションでした。
一方、虹プロはかつてTWICEを生み出したオーディション番組「SIXTEEN」と近しいスタイルであるものの、日本で売り出すことを最終目的とし、マーケティングを経て構成されたプロジェクトでした。

虹プロは2018年の時点で、JYP ENTERTAINMENTの中長期経営計画にも入っており、JYP ENTERTAINMENTが社運をかけて取り組んでいたと言っても過言ではありません。経営計画を発表すると、日本のダンススクールなどでは「JYPが2020年までに日本人だけのガールズグループを作ると言っている。どこかで大規模オーディションをやるに違いない。」と噂されていました。


そして今回の虹プロ人気の核となった、オーディションを通じて成長するメンバーの姿を映した番組は日本での人気を高めることを狙った戦略的なものでした。K-POPアイドルの文化は長い期間、徹底的に企画して、準備して、ある程度完成された姿である一方、日本のアイドル文化は準備する過程からファンたちが一緒に応援し、成長する姿を共有するため、アイドルたちが完成されていない状態、つまり未熟な姿も気にせず見せるというもの。今回の虹プロはこの2つの文化を合わせて、準備は長い期間徹底的に行うが、その過程をファンたちにお見せするという、韓国と日本のアイドル文化の良いとこ取りをした番組になっていたのです。前述したTWICE誕生番組SIXTEENはあくまでJYP ENTERTAINMENTの練習生として既にある一定のトレーニングを受けた参加者のみでしたが、虹プロは芸能事務所やプロダクションのトレーニングを受けたことがない一般の参加者を選抜するために、大規模なオーディションを開催したことが想定されます。
そして今回の審査は視聴者投票ではなく、あくまでプロデューサーJ.Y.Parkが考える「JYPのカラーは維持しつつ、一段階アップグレードしたガールズグループ」というものを目指す上で必要な審査基準でジャッジされました。
具体的には、

JYPのカラーを維持するために必要な実力があって、自分だけの個性があって、スター性があるメンバーを探す。ダンス・歌が上手なことより大切なことはナチュラルさ。自分の声、自分の表情、自分の性格で踊って歌っているかを見る。

というものでした。


そうして行われたNizi Projectは1万人もの参加者が地域予選オーディションに参加し、そこから選抜された26人が東京合宿に。さらに勝ち抜いた13人が韓国合宿に参加し、最後9人のメンバーで構成されたNiziUが生まれたのです。

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地域予選・東京合宿・韓国合宿それぞれにドラマがあり、参加者一人一人にドラマがありましたが、その中でも私が注目したのが、アン・ユナ(안유나)ちゃんでした。


2. アン・ユナという存在の尊さ


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【プロフィール】
名前  :ユナ
本名  :Ahn Yuna(あん ゆな / 안유나)
生年月日:2004年1月19日
年齢  :16歳(2020年6月現在)
出身  :韓国
血液型 :O型
趣味  :ネイル、映画鑑賞
特技  :フラフープをしながら踊る
事務所 :JYP練習生
練習生期間:2年10ヶ月


ユナを初めて見た時、白くてふわふわで天使のような可愛さに驚きました。日韓ハーフと聞いた時には納得。韓国の女の子ならではの色白さ、肌のきめ細やかさ、ふわふわの髪の毛、そして可愛い可愛いBaby Face。完璧。

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ユナは幼少期から韓国で子役やモデルとして活躍していたようで、13歳頃にJYP ENTERTAINMENTの練習生となっています。

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子役時代から驚きの可愛さ。こりゃあアイドルになりたいって思う。

そしてダンスや表現力もきちんとトレーニングされた感があり、非常に高いレベルの実力を持っています。ダンスは少しダイナミックさが欠けるものの、動線が美しく、素早い動きで正確に踊ることができる。またユナの武器は何よりも表現力。子役時代から培ってきた表情や見せ方は1年や2年で身につけられないほどの高いレベルです。

プロデューサーJ.Y.Parkにも「ユナさんは本当に才能があると思います!ガールズグループになるために生まれてきた子みたい。本当にエースになれる…」と言わしめたのです。

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しかし彼女は高い実力を持っていながら、このNizi Projectでの闘いに苦戦することになります。

3. アン・ユナの成長と心の葛藤

Nizi Projectを通じた彼女の成長曲線をグラフにしてみました。

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通常であれば紆余曲折ありながらも、右肩上がりに上がっていくのが想定されますが、ユナは真逆を辿っています。
ユナがどのように成長したのか、それは虹プロを見るとわかると思いますので、今回は虹プロで行われた各ミッションに対するユナのモチベーションと自信の持ちようを推測し、照らし合わせながら、ユナの成長を振り返ってみたいと思います。彼女が持ち続けたアンビバレンスを解き明かしたい。

こちらがユナのモチベーションと自信の推移グラフです。

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※こちらはあくまで虹プロを見ていた私の推測です。

青の線が彼女のモチベーション、ピンクの線が彼女の自信を表すグラフです。度合いとしては0〜100まで。ミッション時だけでなく、ミッションとミッションの間に練習を重ねる中で揺れ動く気持ちもあったように思うので、ミッションの合間でもグラフの点を取っています。

何があったのか。ユナの成長とモチベーション、自信の3点から振り返ってみたいと思います。


4. 地域予選

ユナが地域予選に参加したのはおそらく韓国のJYP本社。虹プロの地域予選開催場所に韓国は無く、マコやミイヒ・リマも東京まで来日し、地域予選に参加していました。そんな中、ユナだけ韓国のJYP本社で特別に参加していた理由はのちにお母さんからのコメントで発覚します。

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ユナは虹プロへの参加自体に悩んでいたのです。そのため、東京での地域予選に参加できず、イレギュラーで韓国にて地域予選を行ったのではないかと推測します。ユナはこれまでにもガールズグループとしてデビューできる可能性の近くにいたと言われています。それを証明するエピソードとしてITZYのシン・ユナとのエピソードがあります。ユナがJYPの練習生になってから、同じ練習生であったシン・ユナと“ユナペア”と言われており、2人もとても仲が良かったそうです。周囲から「デビューが近い2人」と言われていた矢先、先にシン・ユナのデビューが決まったのです。このユナのお母さんのコメントから推測するに、ユナはきっと韓国を拠点とした韓国のガールズグループとしてのデビューを夢見ていたと思うし、目指していたのではないでしょうか。実際K-POPというジャンルが世界的に見ても確立している今、K-POPグループとしてデビューした方が活躍範囲が広いことは一目瞭然です。一方、虹プロはスタート時はあくまで日本を拠点とした日本のガールズグループ、J-POPグループとしてのデビュー。この点にユナ自身の迷いがあったのではないかと思います。なので参加当初はそこまで積極的なモチベーションではなく、まだ迷いがあったのではないでしょうか。
ただこれまでひたむきにトレーニングを積み重ねてきたことから地域予選ではJ.Y.Parkから絶賛の声をもらいます。(前述の通り)


5. 東京合宿

1万人から26名に選抜された参加者の中にユナはいました。最初のダンステストでは地域予選で指摘された関節を大きく動かすということをきちんと理解し、たくさん練習をしてきたユナ。その点についてはJ.Y.Parkからも称賛を受けます。ですが、ユナの一番の障壁。この虹プロでユナが最後まで闘い続けることになる障壁をこの合宿で告げられるのでした。

それはユナが自分らしさを表現すること。

J.Y.Parkの言葉は下記の通り。

「ユナさんがもう少し楽になってほしいです。楽になるというのは練習を適当に済ませるということではなく、ダンスをしたり歌を歌う時にとても切迫して見えるのは問題だと思う。ユナさんが見えない。僕はユナさんが普段どんな表情をしているのか見えない。歌の合間に見せる表情がユナさんの表情であるべきなのにユナさんの表情ではなく、全てが練習したように見えるのが本当に惜しい。事務所などに入って小さい頃からアイドルになる準備をしたら、実力はたくさん伸びるけど、気楽でナチュラルな姿が無くなるのが短所です。練習生生活の。」

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ダンスや歌を歌う時に聴いている人が「どんな人なのかを感じられるようにしてほしい」とのこと。

ユナはこの言葉を受けて、「心に刺さった」と言っています。

「何かをやる時、それ自体がプレッシャーになってきて。友達とかみんな上手になっていくのにいつもそうなっちゃうから、誰よりも上手くなりたいし、上手に見せたいけどあんまりできない私がちょっと…なんか、あまり好きでもないと言えばいいですか…怖いのもあるし…作られたユナじゃなくて自分自身のユナを見せたいという気持ちがありました。」

ユナはこのJ.Y.Parkの言葉に救われた反面、ずっと蓋してきたパンドラの箱を開けなければならない時が来た、と感じたのではないでしょうか。子役や幼少期のモデルというのは自分自身を出すことよりも、求められる表情や世界観を表現できることで評価される世界。そこで長年生きてきたユナはこの虹プロに来て、自分自身を表現すること、自分自身の素の姿をさらけ出すことを求められたのです。それは彼女にとっては未知の世界であり、まだ経験したことのないことだったはず。でも心のどこかで周囲はどんどん上達し、自分が伸び悩んでいることの差はどこにあるのか、そんなことを悶々と考えていたと思います。そしてその差はきっと彼女の中で周囲と比べて成長が遅れている自分を受け入れ、ありのままの自分の姿をさらけ出せるかどうかということだったのではないでしょうか。それをユナ自身も気付いていたけれど、受け入れることができずにいた、そんなところだったのではないでしょうか。

ユナはその後のボーカルテストでも音程が不安定になり、歌い切ることができません。その理由をJ.Y.Parkは緊張だと指摘します。
「毎回実力はとても良いのにユナさんが期待したほどの評価をまだ受けられていなくて、どんどん緊張してしまっていると思います。」

この言葉を受けて、涙を浮かべながらも笑顔でいるユナに彼女の苦悩が垣間見えるように感じました。

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「なんか、本当に私がやっぱり練習生の期間が長いので、ちょっと期待されているのもあるし、自分もできるのに、そういう時毎回緊張しちゃって、それで見せれないのが悲しくて…」

この言葉はユナが自分自身に常にこういう言葉をかけて、自分自身を雁字搦めにしてしまっているのではないかと思いました。周囲からの声を「期待されている」と取るのも自分の受け取り方だし、自分自身も自分に「期待している」。それがプレッシャーになっているのではないかと。

その後のスター性テストでは「自分の長所を確実にアピールしたパフォーマンスでした」と良い評価をもらい、SHOW CASEでもTWICEのサナ・モモから良い評価を受けます。
ダンス審査8位、ボーカル審査8位、東京合宿最終順位6位で次回への韓国合宿に進むことになります。


6. 韓国合宿 ミッション①


韓国合宿最初のミッションは個人レベルテスト。一人でパフォーマンスをし、評価を受けるというものです。ここでは今持ち合わせている実力をいかに成長させることができるか、ということが評価基準となります。
ユナはmissAの「I don't need a man」を披露します。「私らしさがあまり見えないという指摘をもらった」ことを改善しようとダンスも歌もひたむきに練習を重ねます。しかしミッション当日のリハーサルで声が思うように出せなくなってしまいます。本人は声が思うように出せない不安とステージの大きさから緊張してしまった、と言っていましたが、声が出ない原因も緊張であり、すべての根元が緊張、さらに言えば、その緊張が生まれている要因を考える必要があるところまでこの時来ていたと思います。
そして実際の評価でも歌声が自分の思い通りに出ていないとJ.Y.Parkから指摘を受けます。これまではステージを楽しめていなかったことを指摘してきたが、今回楽しめていなかった部分は良くなった、だが実力の部分で指摘すると。

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この個人レベルテストは10位という順位で終えます。

東京合宿で本人が話していた通り、練習生の期間も長く、練習生としての自信とプライドもあるユナ。東京合宿での紆余曲折を経て、良い結果を出すと意気込んでいたし、練習もうまくいっていたことから自信もモチベーションもどちらもあったと思います。また芸能界でのキャリアも長いため、他のメンバーと自分の実力の差を見せつけたいという気持ちや「トレーニングを受けたことがない他のメンバーと自分は戦うレベルが違う」という気持ちがあったかもしれません。そしてそれがやる気ではなく、他のメンバーと比べて見た時に、余裕に繋がってしまっていたように見えました。しかし、韓国合宿のこの最初のミッションでトレーニングを受けていないメンバーの実力が伸び、順位も伸びた。その中でのユナの10位という順位。この順位をどう受け止めるかがユナのターニングポイントだったと思います。
「緊張のせい」「声がうまく出なかったから」「ステージが大きすぎたから」全てその通りだと思いますが、その根底にあるユナの葛藤。「自分はこれまでこれだけのことをやってきたんだから、もっと上手くやれる」という自分自身への期待、自分の素の姿や感情をさらけ出すことができず、伸び悩んでいることを自覚しているのに自分自身でそれを認められない弱さ。この二律背反、アンビバレンスを抱えながら闘うのがユナのNizi Projectなのです。


7. 韓国合宿 ミッション②

韓国合宿2つ目のミッションはチームミッション。チームの中でどんな役割を担うのか、チームワークにどんな影響を与えるのか、そこをポイントにジャッジをします。

ユナはリクのリーダーのもと、モモカと3人でチームミッションに挑みます。ミッション曲はTWICEの「Heart Shaker」。3人はこのミッション曲に歓喜し、練習をスタートするものの、一つのチームとして息を合わせること、考えを合わせることに苦戦します。この時の様子を見ると、3人がそれぞれお互いに歩み寄ろうとしていない姿が見えます。パフォーマンスとしても個々人が自分の個性を主張することばかりしてしまい、揃わない。練習する3人の関係性を見ても「今回のミッションを一緒にやることになったメンバー」といったドライな関係が根底にあり、お互いに高め合うという意識が見えない。
ユナの日本語がネイティブではないこともあるかとは思いますが、

「チームミッションだから一番つらかったことは、やっぱりチームをしていると、自分だけ上手だとうまい評価がもらえることじゃなかったので、あとの2人の子たちとチームワークを合わせていかないとダメだったんですけど、違うチームよりチームらしくチームワークが出だしたのが遅くなっちゃったので、その部分がつらかったです。」

という言葉が全てを物語っています。
これまでずっと「自分の実力を、自分のスター性を、他の誰よりも強くアピールしなきゃ」そういう意識を持って勝負をしてきたのに急に「みんなと足並み揃えて、息合わせて」なんて言われて簡単にできるはずがありません。それはきっと「周りに負けたくない」という勝ちたい気持ちを強く持っている人であればあるほど難しいと思います。
J.Y.Parkは敢えて狙ってチームを決めたのだと思いますが、実際に

「リクチームは各自の色がそれぞれ色がとても濃いので1つのチームとしてまとまるのかという心配が少しあります。この3人が“Heart Shaker”を歌いながら各自の実力も、各自のスター性も全て表現しながら、果たして1つのチームに見えるだろうか。」

と言っています。
最終的に遅ればせながら、リクがリーダーシップを発揮し、徐々にまとまっていったチームですが、他のチームと比べてもそのチームワークは不足したものでした。きっとまだリーダーとして少し頼りないリクを練習生や芸能界でのキャリアのあるユナがサポートし、モモカのスキルアップを助けることを狙ったのではないかと思うチームメンバー構成でしたが、結果としては3人でお互いを助け合うということができず、「3人が全然1つに見えませんでした」という評価で終わってしまいました。

またユナ個人としての評価も非常に厳しいものでした。なんとこのミッションでの個人順位は12位

「ユナさんはJYPで3年以上も練習してきたのにこのJYPアーティストのダンスをリクさんの方が何倍も上手に踊れていました。」

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「ユナさんはダンスと歌に優れた才能を持っています。なので才能の問題ではなく、態度の問題のように見えます。」

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「なぜその優れた才能に恵まれて今このレベルしかできないのか、本当に悲しくて、残念です。」

「態度の問題」とJ.Y.Parkはユナに伝えましたが、「態度」という言葉に含まれていることこそ、自分の弱さを受け入れ、そこに言い訳せず、向き合うこと、ということだったのではないかと私は感じています。そしてもしかしたら心のどこかで「トレーニングも受けていなくて、ついこの間まで普通に学校に通っていた他のメンバーと私は本気で戦う必要なんてない」みたいな気持ちがあったとしたら…、それを捨てて真摯に向き合いなさいというアドバイスだったかもしれません。J.Y.Parkはきっと虹プロ史上いちばん厳しい言葉をこの時ユナに伝えたように思います。ですが、この時ユナが自分で認識していたユナと周囲が認識するユナに乖離が生じていること、ユナが自分自身への評価として期待しているほど、ユナは今できていない、ということをトレーニングを受けていなくともこの韓国合宿から急成長を遂げたリクを引き合いに出すことで、伝えたのです。ユナの成長する力を信じるからこそ、期待を込めて真正面からユナの過信とプライドを折ったのです。私はリアルタイムで見ている時からユナを応援していますが、この言葉をJ.Y.Parkが言った時、「よくぞ言ってくれた。ユナ、ここからがスタートだよ。」って本気で思いました。できていないことを遠回しに伝えるのではなく、ちゃんと本人にストレートに伝えると同時に期待も伝えるJ.Y.Parkに感謝しました。

しかしこれだけの言葉を言われても一切涙を見せなかったユナ。この時納得できていなかったからなのか、彼女が強いからなのか、真相はわかりませんが、美しかった。

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8. 韓国合宿 ミッション③

韓国合宿3つ目のミッションはチームバトルミッション。イメージをベースに分けた3つのチームでバトルを行います。
ユナはマヤチームに入り、マヤ、ミイヒ、アカリの4人でTWICEの「Feel Special」に挑みます。

前回のミッションで非常に厳しい評価を受けたユナがどのように成長するのか、期待半分、不安半分で見ていたのを思い出します。
今回のミッションでは本番の前にJ.Y.Parkが各チームの練習を見に行き、事前にアドバイスをするというサプライズがありました。そこでユナはJ.Y.Parkからある言葉を言い渡されます。

「ユナさんはこの曲が本当に似合う。今までの中で一番いいと思う。ダンスがすごく上手に見える。13人の中でユナさんが上手にできる可能性とできない可能性の幅が一番大きいと思う。ユナさんは1位にもなれるし、13位にもなれる。それが誰にかかっているかというと、ユナさん自身にかかっている。ユナさんが本当に上手であることを知っているから、私からすると、残念なんだよ、もどかしくて。ミッション2が終わったあとに、ユナさんが入ったばかりの頃の映像を見たけど、その時の方がもっと上手に見えた。スランプがとても悪いタイミングに来たみたい。一番頑張らなければいけない時期にスランプが。もし残りの2週間で最善を尽くさなければずっと後悔することになると思う。最後のチャンスだよ、ユナさん。

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ここまで言われても涙を流さないユナ。強くて、しなやかで、美しいと思いました。この言葉がユナに響いていないとは思えず、彼女は淡々と受け止めているような様子でした。これまでは厳しい評価を受けた時、少し腑に落ちていない感じもありましたが、この頃にはユナ自身も自分の弱さやできていないことを受け止めることができるようになってきたのかな、と変化を感じました。

J.Y.Parkのこの言葉を受けてユナは

「自分は何で頑張ってたのにこれぐらいしかできなかったんだろうと思ったんですけど、今考えたら本当にアホやなと思うぐらいの。本気じゃなかったかなと思って…スランプだしとか…“私はスランプだから”がたぶん言い訳で大きかった感じがするんですよ。今日本当にJ.Y.Parkさんに色んな話を聞いてから本当に今回こそはキューブをもらいたいし、必ず1位になって、J.Y.Parkさんの言葉が間違ってなかったってことをはっきり見せていきたいと思います。」

と力強く話しています。

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この時ユナは自分の弱さをちゃんと受け止められたんだと誰もが確信を持ったと思います。スランプという言葉を使っていることからも「私はトレーニングも受けてきて、上手くできる実力があるから、そこまで本気にならなくていい。今評価されていないのはスランプのせい。」という気持ちが強かったんだと思います。他責というか、自分以外に原因と理由を置いて、自分を納得させていたのだと思います。ですが、J.Y.Parkや今回のメンバーの力を借りて、今自分が置かれている状況を受け止めることができたのだとこの言葉から感じました。
同じ練習生のミイヒ、韓国に来てから急成長したマヤ、最下位から逆転したアカリ、この3人と一緒に頑張ることで、“できない自分”と正面から向き合う勇気を得られたのだと思います。そしてJ.Y.Parkからの「最後のチャンスだよ」という言葉によって、これまで自分自身が描いていた理想と成功体験への固執がが良い意味で吹っ切れ、自分の現実を受け止め、立ち上がったユナ。「Feel Special」の歌詞の意味を4人で考える中でメンバーたちが葛藤していることや悩んでいることを知り、弱さを共有することの大切さ・支え合うことの大切さを身をもって体験したのだと思います。

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結果として「Feel Special」のパフォーマンスは言うまでもなく、大成功。ユナはJ.Y.Parkからも絶賛を受けたのです。(個人順位7位)
ユナの最初のパートを歌い上げる自信に溢れた姿とJ.Y.Parkの感動的な表情、これは虹プロの見どころの一つだったと思います。

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「練習生13人の中で僕が一番気にしていた練習生がいました。練習生の期間が一番長くて、自分が一番上手くやらなければいけないというプレッシャーがあったと思います。そのプレッシャーが完全にストレスとなって様々な良くない状況を引き起こしたんだと思います。それで一番長く練習していたのに最後まで自分の実力を見せられずにデビューメンバーに選ばれなかったらどうしよう…もちろん審査は公平にしなければなりませんので最後まで公平に見ますが。しかし曲が始まって踊り始めたらダンスから全然違いました。とてもリラックスして自信を持ってダンスを大きく上手に踊っていました。そして歌い出したとき、初めて細くて不安定な声ではなく、とても力強い声が出ました。ユナさんがどれだけストレスを受けて、辛かったのか僕は想像できるので急に僕が泣きそうになりました。今まですごくこの言葉を言ってあげたかったんですが、本当に上手でした。

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この言葉を聞いたユナの涙。

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これまで厳しいことを言われても決して泣かなかったのに、強い強いユナだったのに、この言葉に涙するユナはもっと強くて美しくなっていた。自分に打ち勝った、乗り越えたユナに本当に感動しました。ユナが変わったからこそ得られたこの言葉、ユナの勇気と努力が結んだこの結果。ここまでのユナの紆余曲折を考えるとこちらも感動の涙が止まりませんでした。

そしてもう一つ注目すべきは周囲との関わり方の変化。J.Y.Parkのユナに対する言葉を聞いて、涙する他のメンバー。

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それだけユナと一緒に歩んできたんだということが伝わり、前回のチームミッションでは感じることができなかったお互いの支え合いや絆を感じました。
そしてミイヒのパフォーマンスへの評価に対して、ステージを降りてユナがみんなに向けて発したこの言葉。

「私はずっと考えてたのが、もうちょっと私たちができていたらミイヒのプレッシャーを受け取れたと思う。私はミイヒの本当の実力を分かっているから、J.Y.Parkさんは“惜しかった”と思ってるだけだと思うからあんまりスランプにハマらないでほしい、本当に。」

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ユナがメンバーを本当に大切に思う仲間だからこそ出た言葉だと感じました。支え合うこと、助け合うこと、補い合うこと、相乗効果を生み出すこと。そんなことの価値を感じることができたチームミッションだったのではないでしょうか。ユナの人間性が大きく成長したミッションでした。


9. 最終ミッション

ファイナルミッションは2つのチームに分けて、2回の対決を行います。最初の対決は各チームのカラーに合わせて、J.Y.Parkが作った新曲でのチームミッション曲対決。自分のチームのカラーを一番上手く表現したチームが良い評価を受けます。2回目の対決は虹プロに勝ち残った12名の練習生たちのために作ったデビュー曲でのJ.Y.Park自作曲対決。同じ曲を両チームに歌ってもらい、その曲をより上手く表現したチームが勝ちます
今回の最終ミッションでユナはマコチームでマコ、リオ、アカリ、アヤカ、リリアと一緒に戦うことになります。

チームミッション曲対決では「虹の向こうへ」という曲で勝負します。この曲は明るく、エネルギッシュで、1人1人が自分の実力を存分に発揮できるチャンスがある曲だとJ.Y.Parkは語ります。1人1人が生き生きしているチームが見たいと。
「虹の向こうへ」を初めて聴くためにみんなで集まった時のこのユナまぢでかわいい…。

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寝起きなのか…?破壊力と癒しがすごい。かわいい。
時々カクカクした動きするのなんなの、かわいすぎる。

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「虹の向こうへ」はテンポも速く、歌もダンスも難易度が高く、チームワークが試されるものでしたが、ユナもチームのメンバーと協力しながら頑張る姿に、これまでのチームミッションとは違う成長を感じました。

そして個人的に胸キュンしたのは家族からのメッセージをみんなで見る時にマコとユナがナチュラルに手を繋いでいたこと。

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この2人にはきっと練習生時代からの絆があるんだろうなと改めて思いました。感動的。

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メンバーとチーム感・仲良し感出ていて、幸せな気持ちになります。

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このキョトン顔も最高にかわいい。

肝心のパフォーマンスは緊張があったのか、いっぱいいっぱいな感じが観ている側にも伝わってきました。

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ユナは残念ながらJ.Y.Parkからのコメントは得られませんでしたが、過去のミッションよりは確実に成長しているように感じました。
チーム全体としては「最初の曲はどうしても緊張が大きかったと思います。次の対決では本当に心から楽しんでほしいです。練習の時に悩んで心配していたことは全部忘れるべきです。」というアドバイスをJ.Y.Parkからもらいます。
そしてチームミッション曲対決はマヤチームの勝利となり、マコチームは負けてしまいます。

続いてはJ.Y.Park自作曲対決。J.Y.Parkが虹プロのメンバーのありのままの姿によく似合うイメージの曲を作ろうと努力した「Make you happy」という曲での対決です。同じ課題曲を2チームで取り組む理由はこれから1つのチームになることから、同じ基準で審査するためにこういったミッションにしたとのこと。そして「この曲は本当に練習生たちの姿をありのまま表現するように作った曲なので、一番自分らしい姿を舞台で見せたメンバーが一番上手なはずです。」とJ.Y.Parkは話しています。
マコチームはダンスが得意なメンバーが多く、パワフルなダンス表現ができる一方、歌を安定的に歌えるメンバーが少なく、その点でマヤチームとの差を感じながらも、全員で補い合いながら練習に打ち込んでいる姿が印象的でした。

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意思の強いユナ、かっこいい。

当日のパフォーマンスはこれまでのユナのどんなパフォーマンスよりも安定していて、自信たっぷりで、「最後に仕上げてきたな」という印象でした。(1サビの「忘れちゃった笑顔も〜」のところの音を少し外してしまったのが、悔やまれる、、)一番声も出ていたし、ラップも含めソロパートが多い中で堂々とパフォーマンスする姿に涙が出ました。

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パフォーマンス終わったばかりのかわいすぎるユナ。

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パフォーマンスを終えて、J.Y.Parkからの評価を待つ間、人一倍緊張しているユナの姿に私もドキドキ。

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J.Y.Parkがマコのリーダーシップを褒めた時、真っ先にマコに敬意を表したのはユナでした。

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このシーンに胸打たれた人は多かったと思います。前回のミッションのミイヒの涙もあり、みんなのお姉さんであるマコを支えなければと思っていたのはユナだったのかもしれません。

そしてアヤカが褒められた時に真っ先に微笑みかけたのもユナ。

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ユナのチームメイトとの関わり方の変化をすごく感じました。

そして今回のユナのパフォーマンスへのJ.Y.Parkへの評価は、

「ユナさんは自分の声が出る時と出ない時がありますよね?さっきのステージ(「虹の向こうへ」のステージ)では出ていなかったですが、今回のステージでは出ていました!最後のステージでパワフルでよく通る声が出ていて本当に嬉しかったです。

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嬉しい気持ちを噛み締めている表情で、J.Y.Parkの親心を感じます…。

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この評価を受けたユナの笑顔はこの虹プロを通して、一番輝いていたように思いました。心の底から笑っている笑顔を初めて見られたような気がします。

そしてこのJ.Y.Park自作曲対決はマコチームの勝利となります。

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この対決をもって、デビューメンバーの発表に移るのですが、皆さんご存知の通り、ユナがデビューメンバーに選ばれることはありません。残念ながらNiziUにユナはいません。

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マコ、リマ、ミイヒ、ユナ、この練習生4人が泣きながら抱き合う姿には涙が溢れました。

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そして何故か「ごめん、ごめん…」と謝り続けるユナ。「一緒にデビューできなくてごめん」ということだったのかな。


10. アン・ユナの「Nizi Project」

ユナはこの虹プロを通して、これまで自分が抱えていた弱さと向き合い、スランプを乗り越え、仲間と支え合うことの素晴らしさを学び、自分らしいパフォーマンスをすることの楽しさを感じたと思います。ユナは虹プロに取り組む中で努力によって裏付けされた自信を持つことはできたけれど、自分自身の個性の表現まで昇華させることができなかった。3回目のチームバトルミッションでスランプを抜け出し、新たな一段階上の自信を持つことができたユナ。その自信を持って表現することで自分らしさや個性を見つけることができ、成長は加速されると思うのですが、それを虹プロの中で完結させるためには自信を持ったタイミングが“遅かった”―。ただそれだけだったように感じます。もちろんこの虹プロは与えられた環境・決められた期間内でどれだけ成長を遂げられるか、それによって結果が決まるものなので、それも込みで勝負です。ですが、それは虹プロの中での話。ユナはまだ16歳。まだまだ時間はあります。今どうしているかはわからないけど、もしJYPに残っていてくれたら…虹プロを通して成長したユナがデビューする日はそこまで遠くないのではないかと淡い期待を抱きます。

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練習室を「第2の家」と力強く言えるユナのストイックさと努力があれば、夢を叶えられるのではないでしょうか。

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ユナはこの虹プロを通して、自分自身と向き合い続けた―。そして自分自身の人柄・内面を変えることで成長するという他のメンバーとは違う成長の仕方をしたように感じます。この葛藤し、打ち勝った姿が本当に美しく、私にとっては大好きで、尊い存在になりました。
これからデビューまでには挫折もあるかもしれませんが、この虹プロを通して培った自信が表現の幅に繋がり、自分らしいパフォーマンスで輝くユナの姿が見れるその日まで応援し続けたいと思います。

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おけい

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