放浪記 8/8
ここに放浪記を記すことにする。
隣町から、その隣町へかけて
ある街では、電車の騒音とその車輪でしか、皆電車を知らぬが、高架下には地図が書かれていて、斎場だと思ったらラブホテルであった。
骨のような、決して開くことのな一千の窓のような装飾がビルを飾り、崩れそうなネットを被ったジグラットがあり、そして常に蜂は刺すものを狙っている。そういう場所だ。
そこは学園都市で、広がりすぎたホワイエの横には意味を持たなくなった昭和文字が書かれた、どこにも続かないゲートがある。
また、その近所には、山をなくした神の宮もある。
皆殺されないように上辺の挨拶を、お陰様で、といい、最も強すぎる日が人を一番殺めているに違いはない。
行き止まりはいつだって、白い屋上に四方を囲まれている。そこにはインテリアと呼ばれるものは一つも置かれず、子供は知らぬ家の塀を主人の前でよじ登る。
平成で時が止まったままの、美しい人々が彷徨っている。多くは、大きすぎる衣に身を包んでいる。そして、まだ母を探しているような顔立ちをして、印象深い目をアスファルトに向けている。
手前のスーパーで少し足を止める。
ここは平和だ、皆今晩のアイスを悩むのだから、そして我々もひんやりと、冷やされている。駐車場も二フロア、持て余している。
そこら中の家のドアがふらりと開き、年の合わない茶髪が出ていく。
それを、吹き曝し、風の溜まり場となっている寮に住む役人がサイレンを鳴らさずに監視している。
ホテルや武道館、病院などの施設は、何よりも大きくそして高く、建てられている。