汎発性脱毛症が(現状)ほぼ回復している私が気づいたこと ①病院に行くべきか
2年ぶりの更新です。
2020年の春ごろに突如全身の毛が急激に抜け、汎発性脱毛症になってしまいました。色々本当に大変でした。ですが幸運にも、2022年の春に脱ウィッグすることができました。今でも抜け毛が増えることもありますし、体毛はまだ生えそろっていませんが、今のところは円形脱毛症の症状は抑えられています。
毛が生えていく経過はこちらでご覧いただけます。
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病院では、ステロイドパルス、ステロイド・フロジンの外用薬、局所免疫治療(DPCP)、エキシマライトを試しましたが、全く効かず全身ツルツルのままでした。ですが、2021年から自分なりにできることを追求・実践していったら毛が生えてきました。
あくまで個人の体験であり感想であることを前提に、これから数回の記事にわたって、自分なりに脱毛症対策で思ったこと、効いたことをまとめてみようと思います。
突っ込んだ発言もあるかとは思いますが、一体験としてお読みいただければ幸いです。
言うまでもなく、ここに書いたことを皆がした方がいいということではありません。一番大切なのは、自分で改善方法を納得した上で選び、ある程度自立した形で実践していくことだと思います。
病院に行くべきか
初回は病院について書いてみようと思います。
急に脱毛症状が現れたら、病院に行くべきか。
脱毛症を病院で治療するかどうかは別として、個人的には一度は病院に行くべきだと考えています。特に症状のスピードが早かったり、範囲が大きい場合は、何かの病気の症状のひとつとして脱毛している可能性があるので、医師に確認してもらったほうがいいと思います。
脱毛症状が出た時に病院で確認すべきだと私が思う項目は2つあります。
①何かの病気の一症状としての脱毛なのか。
②円形脱毛症なのか、その他の脱毛症なのか。
①は皮膚科より内科のほうが向いていると思いますが、特に自分で「ここが弱ってそうだな」と感じるところがあれば、その専門の内科でもいいかもしれません。胃腸とか、甲状腺とか、肝臓とか、脱毛と関係のある臓器はたくさんあります。
大きい病院である必要はないと思いますが、最新の研究にまで目を通しているような、柔軟な医師だと理想的です(こういう医師は少ないですが)。
②は皮膚科に行くことになりますが、皮膚科医でも厳密にこの判断ができない人もいます。全ての皮膚科医が脱毛に詳しいわけではなく、教科書の上澄みレベルしか知らない皮膚科医も結構います(私はこういう人に数人遭遇しました)。脱毛にも免疫系やホルモン系など様々な系統があり、対処もそれぞれ違うようです。
かといって、脱毛の専門医だと円形脱毛症を治せるか、というとそうでもありません。医師の個人の手技で何かが変わるということは基本はないと思います(もちろん全く同じというわけではないですが、手術とかよりは差は少ないと思います)。薬も同じです。ただ、専門医のほうが脱毛症の「常識」は兼ね備えているので、話は早いですし、脱毛の種類はある程度は見分けられるようです。
一方で、脱毛症の専門医は数が少ないので、患者の人数が多く、通院のストレスは大きいです。私がステロイドパルス後に出会った皮膚科医は脱毛症のイベントのトークショーに出るような界隈では有名な方でしたが、患者数が多すぎるのか、毎回ほぼゼロから説明するような状態で、かなりストレスでした。血液検査も中々してくれなかったです。複数の治療も効果は全くなく、自力で色々試して発毛した際は「偶然生えた」としかされず、何をしたのかも聞かれなかったです。そんなもんです。
地方などに住んでいて、なかなか脱毛症の専門医のところに行けない、と心配な方もいるかと思います。が、円形脱毛症に限って言えば、病院環境の格差が回復に大きく関わることはないように感じます(しかしこれは私が都会にいて実際に様々な病院に行けたからこそ言えることでもあり、ある種の奢りでもありますが…)。
さて、皮膚科で判断がついたあと、そのまま医師の提案の治療を受けるべきか。
これは個人的な考えですが、必ずしも病院の治療を受けるべきというわけではないと私は思っています。
病院での脱毛症治療は、全て対症療法です。また、自己免疫疾患であるゆえ、ステロイドなど免疫を抑制するような治療が主力の治療法になっています。髪の毛の症状だけで、強い免疫抑制をするのは大きなリスクがあります。
私は急性の脱毛後にステロイドパルスをしました。あまりに脱毛のスピードが速く、ステロイドレベルの治療でないと、何も効き目がないようにこの時は感じました。しかし、この治療を機に一気に体調が悪くなり、仕事ができないほどの不眠と慢性疲労が3年以上続いています(これはもともと弱っていた副腎などに相当な負荷がかかった結果かと思います。最近やっと少しずつよくなってきていますが…)。そのうえ、完全に全身が脱毛し、汎発性脱毛症となりました。
ステロイドパルスを受ける際には副作用の説明を受けましたが、実際に体調が悪化しても、皮膚科では副作用だとは認められませんでした(複数の大学病院レベルの皮膚科医に会いました)。
それから2年ぐらい経ったあと、新しくいった内科でようやく私の体調不良とステロイドパルスは関係あるだろう、という医師に出会いました。しかし、それが分かっても、病院でできることはありません(対症療法としてステロイドを服用することはできると言われましたが、ステロイドで体調が悪化したのに、ステロイドをまた飲むという選択は、どう考えてもできません)。
ステロイドパルスを受ける脱毛症患者のほとんどは、「治療をやらないで後々後悔はしたくない」という気持ちがあると思います。私もそうでした。
しかし、「治療した後悔」もありえるのです。
これは最近出てきている高価な新薬にも言えると思います。
医師が免疫抑制の治療を勧めると、ほとんどの患者は「医師がそう言っているなら、やったほうがいいのかな」と感じるでしょう。医師が誠実で親身であれば尚更です。ですが、本当に免疫抑制をすべきかは、脱毛症以外の自己免疫疾患の治療方法や薬の副作用も含めて、自分で調べてみたほうがいいと思います。
医療不信になれ、ということではなく、あくまで自分で決めた方がいいということです。
特に、円形脱毛症と診断され、内科的にも異常が見つからなかった場合、危険な懸けに出る必要があるのかは、十分に考えた上で選択することをおすすめします。円形脱毛症の場合、「病院治療が上手くいかなかったら一生毛が生えない」というわけではありません。
どんな方法をとったとしても、全て毛がない状態から生えそろうにはそれ相当の時間がかかります。毛がないと、回復を急ぎたい気持ちにはなりますが、かといって急いだから回復が早まるわけでもありません。
ここから数回にわたって、脱毛症について気づいたことを書いていく予定ですが、今回は最後に回復の参考にした本をご紹介したいと思います。
『うつぬけ食事術』と『免疫の反逆』はたいていの図書館にはあるかと思います。円形脱毛症は免疫が自分自身を攻撃してしまう自己免疫疾患ですが、どちらも免疫過剰を押さえるヒントを教えてくれます。
『脱毛症治療に人生をかける』は図書館にありませんが、安価で必要な情報が平易に書いてあります。本当にさらっと大事なことが書いてあったりします。韓国で脱毛治療をしている方の著書で、日本人に対しても通販や治療をしているようですが、私は本だけ購入しました。
円形脱毛症の原因は完全には解明されていませんが、解明されていないだけで、原因は確かにあるはずです。その原因を個人個人で見つけていくことが回復のカギになるかと思います。疲れたら休みつつ、焦らずじっくり、試行錯誤していくことが大事になるようです。
円形脱毛症は命に直接かかわらないため、軽視されることがまだまだ多い病気ですが、髪の毛がないことによって被る社会的・経済的不利益は大きいです。こうした社会が変わることを求めつつ、患者の皆さまの回復をいつも祈っています。