![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/17920862/rectangle_large_type_2_a977a3e1fe72a6d37c03e5c25a3ef7ba.jpeg?width=1200)
すべてのものが
ピタッとハマった
素晴らしい一日でした。
太陽と山と空と
奏者と聴き手とサポートと
そこにいる人みんなでつくる
空気感は
ライブでないと伝わらない
ここへきて体感して欲しい
.
カバー写真は里山の公園の中に作られたスウェーデンスタイルのお庭で毎月開催されている岡崎トレッドゴードマーケットの風景だ。
このマーケットの音楽プロデュースを僕の会社が担当しており、1月11日はスウェーデンスタイルのフィドル(バイオリンのこと)奏者高垣さおりさんとブズーキ奏者の山田晋吾さんがスウェーデンの伝統音楽をお届けした。
ヨーロッパの伝統音楽にはクラシック音楽とは違ったカタチでバイオリンの音楽があり高垣さおりさんはスウェーデンの音楽を専門で演奏している。
ちなみに僕自身もミュージシャンとしてアイルランドのフィドルを弾くし他にもスコットランドやイングランド、大陸にもいろいろなスタイルの音楽がある。
.
.
日本人に生まれて、大人になってヨーロッパの伝統音楽と出会い始めた私たち。教室がある訳ではなく体系的なメソッドが日本である訳ではないので独学や現地滞在でのレッスン、CDや動画をみたりを繰り返して少しずつ理解を含めていく作業をしていく。
現地(ヨーロッパ)の好きなミュージシャンやお手本としているミュージシャンの演奏があって、そこにたどり着くためイメージを重ねていくのだが、「果たして自分のやっている音楽は誰に何を伝えたいのか」ということに向き合う段階が訪れる。
リスナーがヨーロッパの現地の人であれば「どんなスタイルが好まれるか」はある程度イメージが出来るが日本ではそうではない。
「現地の本場のものが正しい」とは言えるが「じゃあカリフォルニアロールのような寿司は正しくないのか」みたいなことが起こるし、そもそも音楽として「正しい」ことに何の意味があるか謎だし、人前で演奏するにあたってオーディエンスに正しさを伝えたくて弾いている訳ではない。
と、ここまで書いたが実は僕自身は20代から30代前半にかけては現地の伝統的なものを追っかけていたし、伝統音楽の持つ良さや奥深さを日本の人に伝えたいと強く思って活動していた。その思いを伝えることが出来ていいミュージシャンが周りに今は増えたと思うし、周りの人々の伝統音楽の理解度も始めた当初より深まったのではないかと思う。
一方で「正しくない」と思っていた音楽を馬鹿にしたり、言動として人を傷つけたことも多かった。ごめんなさい。
.
話しは戻って岡崎トレッドゴードマーケットに出演いただいた高垣さおりさんの音楽。この日の彼女は輝いていた。
雰囲気の良い北欧デザインの庭で自分の大好きなスウェーデンの音楽をで弾き、そこに温かいリスナーがいること。
大好きな旋律を丁寧に自分と向き合って弾くこと。曲の背景について話すこと。スウェーデンの踊りについて説明すること。自分の音楽をリスナーがしっかり耳を傾けて聴いていることへの喜び。(リスナーがどう聴いていうかは本当に大事なことだ)
どれも彼女のアートに対する「愛」が溢れていた。そして、その行為はその場にいた誰もを幸せにした。奇跡の光景だと思った。
スウェーデン本場の名手が来たとしても、あの日の空気感は生まれない。1月11日にあの場所に集まった人間たちが作り上げたもので、その中心にあったのは高垣さおりという人間の愛だった。
彼女のブログを読むと彼女自身も「伝統とは?自分の音楽とは?」を悩み葛藤し表現を続けていることが分かる。
アイルランド音楽や北欧の伝統音楽の周りのプレーヤーは、こうした自己との対峙を繰り返しながら少しずつアーティストとして進化していく。そんな彼らの良さや面白さ、奥深さを最大限に発揮できるようなイベントの制作を続けたい。
そんなことを強く刻んだ冬の良い一日だった。