ガラスの靴と真っ赤なバラと
小さい頃、おとぎ話が大好きだった。
その中でも、ドレスを着て、王子様とハッピーエンドな主人公に憧れていた。
大人になったら自分もそうなれるものだと夢見ていた。
少し大人になった頃、そもそも前提が違いすぎるしプリンセス無理ゲーやんって当たり前の現実に直面した。
それでも、物語を思い返すと実は、主人公の人生は逆境から始まっていたりして、少しだけ夢を見続けることができた。
人生山あり谷あり、どんな世界の人も同じ。
そう思うと、苦しくても心強かった。
けれど、広い世界の中でいろんな人と出会って、いろんな人生が、物語があることを知ったとき、例外に出会うこともあった。
プリンセス目に見ても、人生イージーモードすぎん?ってなると思う。
周りが知恵やモノを多方面から与えまくって、どんなところにいてもレールが生まれる無敵人生。
そんなうまい話あるわけないと思ってたけど、知れば知るほど間違いないことに気づいてしまう。
成功するには自力で頑張るしかないって思ってきた私には、衝撃的すぎる他力だった。
怖いぐらいトントン拍子に上手くいく様子を目にして、自分の人生がばかばかしくなった。
おとぎ話みたいな遠い世界の話であってくれればよかったのにって何度も思ってしまう。
寝ても覚めても現実でしかなくて、嫌気が差して、卑屈な気持ちから抜け出せない。
けれど、そんな存在を否定するのは違うよなあって心の底では葛藤している。
結局、嫌気の矛先はぜんぶ自分に向かってくる。
これまでずっと、100%自分の力で高い高い山の頂上まで登らないといけないって勘違いしていた。
苦しいしかない時点で自分には向いていなかったし、そもそもひとりで戦おうとしすぎて無謀なことが多かったと思う。
そして案外、頂上なんて目指すべきものでは無さそうだった。
大人になったいま、綺麗なドレスどころか、振袖すら着たことがない。レンタル代高すぎて踏み出せない。
現実的すぎて夢もへったくれもないけれど、憧れてきたハッピーエンドを諦めきれない自分もいる。
中腹らへんでひと休みしていても、運良く魔法にかかることだってあるかもしれない。
あるわけないって思ってるけど、ほんのちょっとは報われたい。
いろんな可能性を信じて、スニーカーでのんびり山に登ってみる。
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