拝啓、「歌ってみた」を始める為の宅録機材ガイド。学生時代の僕に捧ぐ!
おはようございます!MaCoです。(MaCo@oddeyelabo)普段はレコーディングやミックス、ライブやイベントのPAなど、音に関する仕事をさせて頂いております!
僕が学生時代の話しで大変恐縮なのですが、その頃にPCを手にしてDTMに触れたのは中学2年生あたりだったかと思います。
当時の僕は「よっしゃ、DTMやるぞ!」っと意気込んでPCを手にしたんですけどね…結果、世の中の大好きな音楽とのクオリティの差に打ちのめされ、DTMを放り出しております。
その辺の話しは置いておいて、今回の本題としては そんな過去の自分を救うべく、今の僕が全力で機材導入についてアドバイスするので、これから始めようかなぁ という方向けの内容となります。
機材名とかは「コレにしよう」と言い切る事があるかもしれないですが、そこに関しては僕(中2)の好みを知ってる僕(レコーディングエンジニア)の意見としてご了承下さいませ。m(_ _)m
1. そもそも、なにが必要なの?
まず頭を悩ませるのが機材選びですね。
PC、オーディオインターフェイス、マイク。
他にもケーブル類とかマイクスタンドとか、地味に小物も必要になります。
モニター環境は、ヘッドホンやイヤホンそしてスピーカーとありますが、今回はボーカル録音を想定して始めたいのでヘッドホンを選択します。
録音時には声だけを録音したいので、静かな環境で音源を聴きながら歌録りをします。
必要な機材
・パソコン
・オーディオインターフェイス
・マイク
・マイクケーブル
・マイクスタンド
・ヘッドホン or イヤホン(スピーカー)
1-1 パソコンのスペック
宅録において、パソコンは最も重要なツールの一つです。最低でもメーカー現行機種よりも2世代前くらいのモデルからのスペックにしよう!
MacならM1チップ搭載のMacBookProですね。
例えば、もしもDTMが続かなかったとしても 生活してく上でPCは娯楽、仕事、買い物と活躍の場は多いので余裕があるならOSのアプデを考えて長く使える現行モデルを選ぶのも良いと思います。
Windowsの場合
- CPU: Intel Core i5以上、またはAMD Ryzen 5以上
- メモリ: 16GB以上
- ストレージ: 512GB以上のSSD
- ディスプレイ: 15インチ以上のフルHD、デュアルディスプレイ推奨
- オーディオインターフェース: 外部USB/Thunderbolt対応
- OS: 最新のWindows
Macの場合
- CPU: Apple M1チップ以上
- メモリ: 16GB以上
- ストレージ: 512GB以上のSSD
- ディスプレイ: 15インチ以上の外部ディスプレイ推奨
- オーディオインターフェース: Thunderbolt/USB対応
- OS: macOS最新バージョン
これらのスペックを基に選んだパソコンなら、宅録だけでなく、他の用途にも十分対応出来るでしょう!
DTM用にカスタマイズされたPCなんかもありますが、ほとんど5〜8年くらいで買い替える事になるのて、オーバースペック過ぎる(プロスタジオに入るクラス)機種は必要ないです。
3年後、「あの時、やっぱりこれにして良かった」と思えるちょうどいいスペックを選びましょう。
1-2 オーディオインターフェースはケチらない
マイクの声をデジタル信号に変換し、PCに送り込む役割を果たすこの装置、ほんとに重要です。1万円くらいのものだと出力に不満はなくても、入力の性能が低い印象です。つまり、マイクの良さを出し切れないので、すごく勿体無いです。5万円くらいのものを選ぶのが吉です。
5万円前後の製品で、スペックはシンプルに入力2個、出力は2個とヘッドホン出力のみ!とかの製品はシンプルが故に内部パーツにコストをかけれている印象で、入力回路もリッチ。オススメは「SSLのSSL2+」です。
SSL2という下位モデルもありますが、SSL2+の方がスピーカーを2ペア繋げられたりとミックスが出来るようになってきた時に重宝します。
音が素直でノイズも少ないのですごく使いやすいと思います。
1-3 自分に合ったマイク選びのコツ
初めてマイクを選ぶとき、正直、ビビりますよね。「これでホントに良いの?」って不安になる気持ち、わかります。でも心配しないでください、選び方にはコツがあります。
まず、最近のマイクは価格が安くても驚くほど高性能なものが多いんです。まるで、スマホカメラが進化しすぎて一眼レフの出番が減っちゃった感じ。なので、焦らず、楽しんで選びましょう。
お店で試してみよう!
できれば、愛用のヘッドホンを持ってお店に行き、自分の声で気になるマイクを試してみましょう。これ、かなり重要です。
マイクを試させてもらうと、「あ、これだ!」という感覚がつかめるはず。最初は違いが分からなくても何機種か比べさせてもらうと、必ず何かしらの収穫があります。
コンデンサーマイクがおすすめ!
ボーカル録音には、コンデンサーマイクという種類が鉄板です。各メーカーからたくさんのモデルが出ていますが、選び方はシンプル。
「自分の声で比較するのみ!」です。楽器屋さんのDTMコーナーなんかで試し録音出来るなら、マイクごとの違いが驚くほどクリアにわかりますよ。
「良い音」って何?
「良い音」の基準は、声質とマイクの相性次第で、千差万別です。これが悩ましいところ。でも一つの目安として、「生々しさ」がしっかり表現できているかどうかがポイントです。
たとえば、低音が出すぎてモコモコしてたら「うーん、これは違うな」となりますし、高音が刺さるように痛かったら「これも違うな」と判断します。「不自然な音」が聞こえるなら、そのマイクとの相性はあまり良くないかもしれません。
距離と角度を工夫しよう!
マイクと口との距離や角度でも音質は変わるので、注意が必要です。
たとえば、少しモコモコするけど好きな音だなぁ と思えたマイクがあったら、少しだけマイクと口の距離を離してみると、音がバッチリになることもあります。これなら、そのマイクが相性バッチリということです。
何が起きているかというと、マイクには ”近接効果” という現象があってマイクと口(発音元)との距離が近ければ低音域が多くなる傾向にあります。
反対に離れすぎると低域のないスカスカした音になるので、プリセットとしては『こぶし1個分』の距離から始めるとマイクのキャラを掴みやすいです!
ルックスも大事!
音質が大事なのはもちろんですが、見た目も重要です。これから一緒に頑張る相棒ですから、見た目が気に入った方がモチベーションも上がりますよね。
僕(現役)が僕(中2)に選ばせるとしたら「ASTON MICROPHONESのSpirit」だ!これ、見た目も音も大好きです。
Spiritのいいところ
- 高音がクリアに抜けるけど、耳を刺さない!
- 低音も存在感バッチリ。でも、邪魔しない。
- 近接効果が控えめだから、マイクコントロールが下手でも大丈夫。
Spiritの微妙なところ
- 周りの音も拾いやすいので、部屋の反響音が気になる場合はリフレクションフィルターがいるかなー
- 内蔵ポップガードがあるけど、歌唱時にはポップノイズが入ることも…。
- 重い。SM58が2個分くらいの重量を感じます。
マイクに関して長くなっちゃいますが、、、もう一つだけ。5万円以上のマイクだと 必要無くなって売る場合に次のオーナーが見つかりやすいので、将来的な機材巡りも視野に入れて“買い替える”という流れも意識出来ると良いですね!
2. 初心者が直面しやすい問題とその対策
さあ、機材も揃ったし、いざ録音だ!…ってなるんですが、ここで初心者がよくハマるのが「声がオケに上手いこと混ざらない。。。」これが、やめちゃう理由ナンバーワンだと思います。
一見するとミックスの話では?っと思いがちですが、なんのその!マイクとオーディオインターフェイスの使い方悪い問題勃発です。
大前提ですが、音データ素材はたっぷりレンジを使ったリアルでクリアな音であればあるほど完成のクオリティが上がります。
・オーディオインターフェイスの入力ゲインが適正でない
・マイクと口との距離が適正でない
の2点が大きな要因となります。
たとえば、ヘッドホンで歌を録る時の悪い例で
1. DAWから流れるオケがデカすぎてビックリ!
2. じゃあ、インターフェイスの『ヘッドホンのボリューム』を下げよう。
3. いざ!ボーカル録音! あれ?自分の声が聞こえない。
4. インターフェイスのマイクゲインを上げよう!
5. 歌えるようになった!(声も聞こえるようになった!)
ということがよくあります。このボーカル音源をソロモード聴いた時の音質、、、モコモコしてパツパツして歪んでしまっている箇所もあったりする傾向だと思います。
マイク選びでは、お気に入りの音質のものを選んだのになんでだ!!
解決策は、
まずスピーカーやヘッドホンの音量を決めること。
DAWのメーターを見ながら、適正な音量になるようにフェーダーで調整します。
具体的には、マスターフェーダーが「−6dB」を触れるように(超えないよう)オケトラックのフェーダーを調節します。
そして、次にインターフェイスのヘッドホンボリュームをゆっくりと上げて自分の歌いやすい音量までもっていきます。
そして録音するボーカルトラックのフェーダーを0dBにしたまま、インターフェイスのマイク入力ゲインを上げていきます。
マイクと口のポジションは「こぶし1個分」です。
マイクの入力ゲインは、録音トラックのメーターが「−6dB」を行ったり来たりするくらいが理想です。
サビなどで声を張った時に、0を超えてしまうのであればNGなので、その分 インターフェイスの入力ゲインを下げて調整します。
これで、基本設定は完了です。
ただし、オケの音圧があって歌いにくい(声が聞こえにくい)場合があります。そんな時はオケトラックのフェーダーを下げて調整しましょう。
ポイントは
・声の入力ゲインは美味しい所をキープする事。
・録音レベルは0dBを超えてはいけない。
・声を基準にオケトラックの音量を調整する。
という事です。
3. 機材投資とモチベのバランス
最後に、最も伝えたい事です!
それは「自分がどれくらい本気でやりたいか」です。お金をかければいいっていう事でもなくて。大事なのは「好きだ!楽しい!」という気持ちと投資額のバランス。これが崩れると、楽しさが消えてしまうこともあります。
「高い機材を買ったから、絶対やらなきゃ!」ってプレッシャーを感じるよりも、無理なく進められる範囲で機材を選び、自分のペースで楽しむことが一番です。
学生時代の僕に言いたい、「もっと楽しんでやれ!」と。
オススメ機材(2024年8月現在)まとめ
ここまでの内容を踏まえ、「歌ってみた」の宅録想定で始める際におすすめの機材のまとめです。
・パソコン
最低でも現行モデルより2世代前のスペックのPC
(MacBookProならM1チップ搭載機以降の機種)
・オーディオインターフェース
シンプルな機能で5万円前後のモデル
(SSLのSSL2+)
・マイク
コンデンサータイプで自分と相性が良いやつ
(ASTON MICROPHONESのSpirit)
そして、初心を忘れず 楽しむ気持ち です!