初心者必見!ミキシングが劇的に上達する10の基本思考
おはようございます!MaCoと申します。(MaCo@oddeyelabo)
普段はレコスタでの録音やミックス、ライブやイベントのPAなど、音に関するエンジニアを生業とさせて頂いております!
さて、今回はミックスの基本的な考え方について、例えを加えながらお話ししたいと思います。初心者の方でも分かりやすく、具体的な例やポイントを交えながら進めていきたいと思います!
1. リスニング環境を整えよう!
なぜリスニング環境が重要なのか?
ミキシングは、耳で音を判断してバランスを整えます。
そのため、自分が聞いている音が正確でなきゃ、せっかくのミックスも的外れなものになってしまいます!
具体的な対策は?
モニタースピーカーの選択:フラットな周波数特性を持つものを選びましょう。Yamaha HSシリーズやKRK Rokitシリーズなどはコスト面でも初めての方は導入しやすいです!
ヘッドホンの活用:環境音が整理されていない場合は、オープン型のモニターヘッドホンも合わせてを使うと良いです。Sennheiser HD600やAKG K702などがオススメ。
部屋の音響調整:可能であれば、吸音材やディフューザーを設置して部屋の反響を抑えましょう。難しい場合は、スピーカーの位置を調整するだけでも効果があるので諦めたらダメです!
ポイント
参考曲を聴く:自分の環境で好きなアーティストや参考の楽曲を聴いて、どのように聞こえるかを把握する事が超大事です。
逆に言えば、曲(参考音源)がどんな鳴り方をしているかが ”分かれば良い” ので、機材はなんでも良いという事にもなりますね!
考え方
例えば、料理人が鈍い包丁で食材を切ると、美味しい料理を作るのが難しくなりますよね?
同じように、正確でないリスニング環境でミキシングをすると、細かな音のニュアンスを聞き取れず、良いミックスを作るのが難しくなります。
低音から高音域、左右の配置や音色の捉え方を、楽器や声のそれぞれ単体で注目してみてピントが合いやすい切れ味抜群なリスニング環境を目指しましょう!
2. ゲインステージングを理解する
ゲインステージングとは?
ゲインステージングとは、各トラックの信号レベルを適切に調整することです。もともとはテープレコーダーの類で使われたみたいです。音のクリアさや歪みを防ぐために信号の強さを管理していた事をさして呼んだそうです。
今のデジタルオーディオでも考え方は同じで、大切なのは!ただただメーターの数値に合わせるのではなく、最良の音を得るために信号をどう調整するかが重要な事です。クリアに聞こえるポイントを見つける為に 録音しては聴く、そして また録音しては聴く。というトライアンドエラーを繰り返して理想の音を録れるように時間をかけてみましょう!
具体的な対策
録音レベルの確認:音が歪まない範囲で録音することがルールです。一般的にはピークが-12dBから-6dBになるように調整しますが、最終的には音がきれいに聞こえるかどうかがポイントです。
トラックの音量バランス:全体のミックスが均等に聞こえるようにフェーダーを調整します。0dBを超えないようにしつつ、各楽器やボーカルの音量を調整しましょう。
プラグインの設定:エフェクトやプラグインを使う場合は、入力と出力のレベルを確認しながら音量はプラグインがONとOFFで同じにして音質変化をしっかり把握する事がとても大事です。使ってみて変化が分からない(理想ではない)時は、思い切って外すことも大切です!
ポイント
メーターを活用:各トラックやマスターのメーターを常にチェックし、クリッピング(赤色表示)を避けましょう。
考え方
ゲインステージングを、料理の火加減に例えてみます!
火が強すぎると食材が焦げ、弱すぎると十分に火が通りません。音も同じで、信号レベルを適切に調整することで、音が明瞭で美しくなります。ただし、数値に固執するよりも、最終的にどれだけ美味しい音ができているかが大事です。
時にはゲインを上げて(強火で)、ボリュームを下げる(フライパンを浮かせる)事で、理想的な質感を得られる事も全然ありえます!
3. EQで不要な周波数をカット
EQの役割
EQ(イコライザー)は、特定の周波数帯域を強調したり、ぼかしたりするためのツールです。これを使って各トラックの音質を整え、ミックス全体の見通しを向上させクリアに仕上げます。
具体的な対策
ハイパスフィルター(ローカット):ボーカルやギターなど、低音が不要なトラックでは、80Hz〜100Hzあたりから下をカットするのはありですね!
不要な共振の削除:特定の周波数帯域で不快なピークがある場合、ナローバンド(Q幅をギュッと細く)でカットします。
周波数の整理:楽器同士が同じ帯域を占めている場合、飽和している音色を狙ってどちらかをカットしてスペースを作ったり、共存させたりします。
ポイント
耳で判断する:視覚的なグラフに頼りすぎず、グラフィック情報は参考程度に確認します!カットし過ぎてそのそもの音色を破綻させないように、実際に音を聞いて調整しましょう。
事例・例え
EQで不要な周波数をカットするのは、料理で言うところの「下ごしらえ」に似ています。食材の不要な部分を取り除くことで、料理の味が引き立ちますよね?!同じように、不要な周波数をカットすることで、各トラックの良さを引き出すことを意識してみましょう!
4. コンプレッサーでダイナミクスをコントロール
コンプレッサーの基本
コンプレッサーは、音量の大きい部分を抑えて、全体のダイナミクスレンジを縮小するエフェクトです。これにより、音が前に出てくる感じや、一体感を演出する事が可能です。
具体的な対策
スレッショルドの設定:どのレベル以上の音を圧縮するかを決めます。ピークレベルを見ながら設定しましょう。
レシオの設定:圧縮の強さを決めます。一般的には2:1から4:1程度がナチュラルです。
アタックとリリース:アタックは圧縮が始まるまでの時間、リリースは圧縮が解放されるまでの時間です。音のキャラクターに応じて調整します。
ポイント
過度な圧縮は避ける:圧縮しすぎると音が潰れて不自然になるので、適度に調整しましょう。リダクションメーターの目安としては、10dBのコンプレッションを境に違和感になってきます。そこを上手くレシオやアタック、リリースで調整して欲しい効果を狙います。
事例・例え
コンプレッサーの使い方は、写真の露出補正に似ています。明るすぎる部分を抑えて、全体のバランスを整えることで、見やすい写真になりますよね。同じように、コンプレッサーで音の強弱を調整することで、聴きやすいミックスになります。
5. パンニングでステレオイメージを作る
パンニングの重要性
パンニングは、各トラックの定位(音の位置)を左右に振り分けることで、ステレオイメージを作ります。これにより、ミックスに広がりと深みが生まれます。
具体的な対策
センター配置:ボーカル、ベース、キックドラム、スネアドラムなど、重要な要素は中央に配置します。
左右への配置:ギター、シンセサイザー、パーカッションなどは左右に振り分けて、スペースを作ります。
対称性を意識:左右のバランスが崩れないように、配置を対称にすることも大切です。
ポイント
モノラルチェック:ステレオで定位を追い込んだら、モノラルでもバランスが取れているか確認しましょう。そうする事で左右に振った音色も合わせて聴く事になるので対称性の確認もできます!
事例・例え
パンニングは、オーケストラの楽団配置に似ています。ヴァイオリンは左側、チェロは右側など、楽器が配置されることで音の広がりが生まれます。同じように、パンニングで楽器の位置を設定することで、リスナーに立体的な音像を提供できます。
6. リバーブとディレイで空間を演出
リバーブの使い方
リバーブは、音に残響を加えて空間的な広がりを演出します。これにより、音が自然になりミックス全体に一体感を与えます。
具体的な対策
適切なプリディレイ:リバーブがかかり始めるまでの時間を設定し、音の明瞭さを保ちます。
リバーブタイプの選択:ホール、ルーム、プレートなど、楽曲に合ったタイプを選びます。
センド・リターン方式:複数のトラックで同じリバーブを共有することで、空間の統一感を出します。
ディレイの使い方
ディレイは、音を遅らせて繰り返すエフェクトで、リズム感や奥行きを出すのに役立ちます。
具体的な対策
テンポに合わせる:楽曲のBPMに合わせてディレイタイムを設定します。
フィードバックの調整:繰り返しの回数を調整して、適度なエコー感を出します。
ポイント
かけすぎに注意:リバーブやディレイを過度に使うと、音がぼやけてしまうのでバランスが重要です。ディレイは聴こえるか聴こえないか程度でも効果抜群なのでこまめにON←→OFFをして確認しましょう!
事例・例え
リバーブやディレイの使い方は、絵画での背景描写に似ています。背景を適切に描くことで、主題が引き立ちますよね。ただし、背景が強すぎると主題が埋もれてしまいます。音楽でも同じで、リバーブやディレイを適度に使うことで、音に深みを持たせつつ主役を引き立てます。
7. オートメーションで細部を調整
オートメーションとは?
オートメーションは、時間軸に沿ってパラメータ(音量、パン、エフェクトの設定など)を自動的に変化させる機能です。これにより、ミックスに動きと表情を加えられます。
具体的な対策
ボリュームオートメーション:ボーカルの特定のフレーズを持ち上げたり、逆に抑えることが可能です。
エフェクトのオン・オフ:サビ部分だけリバーブを強める、ディレイを追加するなどの演出が可能です。
パンニングの変化:特定の音を左右に動かして、ダイナミックな効果を出します。
ポイント
過度なオートメーションは避ける:聴き手が混乱しないように、自然な範囲での変化を心がけることを基本に置いて、不意をつきたい効果とのメリハリを付けると調整範囲も最小限にシャープに仕上がります!
事例・例え
オートメーションは、映画のカメラワークに似ています。重要なシーンでズームインしたり、パンニングで視点を変えたりしますよね。同じように、オートメーションで音の動きをコントロールすることで、リスナーの注意を引きつけることができます。
8. リファレンストラックを活用する
リファレンストラックの重要性
プロの楽曲をリファレンス(参考)として使うことで、自分のミックスがどのように聞こえるべきかを客観的に判断できます。
具体的な対策
目指すサウンドに近い曲を選ぶ:ジャンルや雰囲気が似ている曲を選びましょう。
ボリュームを合わせる:リファレンスと自分のミックスの音量を同じにして比較します。
特定の要素に注目:ボーカルの音量、低音の出方、ステレオイメージなど、気になるポイントをチェックします。
ポイント
頻繁に切り替えて比較する:ミックス中にリファレンスと自分のミックスを行き来しながら調整します。
事例・例え
リファレンストラックを使うのは、絵を描くときにお手本を見ながら描くのと同じです。お手本があることで、自分の作品がどのように見えるべきかを理解できます。ミキシングでもリファレンスがあることで、目指すべき音像を明確にできます。
9. 休憩を取りながら耳をリフレッシュする
なぜ休憩が必要なのか?
長時間の作業は耳が疲れて感覚が鈍くなり、正確な判断ができなくなります。休憩を取ることで耳をリセットし、フレッシュな状態で作業を続けられます。
具体的な対策
1時間ごとに休憩:目安として1時間作業したら10分程度の休憩を取ります。
リスニング環境から離れる:部屋を出て散歩したり、軽いストレッチをして体を動かします。
他の音楽を聴く:全く違うジャンルの音楽を小音量で聴いて、耳をリセットします。
ポイント
疲れを感じる前に休憩する:精神的にも体力的にも効率が下がるだけなので、思い切って一旦作業を中断しましょう!
事例・例え
休憩を取ることは、スポーツでのインターバルに似ています。連続して全力を出し続けるとパフォーマンスが落ちますよね。適度に休憩を挟むことで、常にベストな状態を維持できます。
10. フィードバックを求める
なぜフィードバックが重要なのか?
自分一人で作業していると、どうしても主観的になりがちです。他人の意見を取り入れることで、客観的な視点を得られ、ミックスの改善点が見えてきます。
具体的な対策
信頼できる人に聞いてもらう:音楽仲間やエンジニアの友人など、客観的な意見をくれる人に頼みます。
具体的なポイントを聞く:全体的な感想だけでなく、「ボーカルの音量はどうか?」など具体的に聞いてみましょう!
ポイント
フィードバックを素直に受け入れる:批判的な意見も成長のチャンスと捉えましょう。自分にない感覚に気がつける1番の近道です。採用するかしないかは自分が決定出来るので(クライアントワークは別ですが。)単純に引き出しが増えると思うと+でしかない。
事例・例え
フィードバックを求めることは、料理を作った後に試食してもらうのと同じです。自分では美味しいと思っていても、他人の口には合わないこともあります。意見を取り入れることで、より多くの人に喜ばれる作品になります。
まとめ
最初は「うわ、、、めっちゃ難しい」って感じるかもしれません。でも、基本的なテクニックをしっかり押さえて、コツコツ続けていけば、必ず上達します。大事なのは焦らず、楽しみながら実践を重ねることだと思います!
最初はうまくいかないことも多いけど、その失敗を確実に次へのステップに繋がるように活かせば、「あ!なるほど!」というポイントがいくつもやってきます。
奥が深くて、自分の耳や感覚を研ぎ澄ませる過程はすごく楽しいです。
時間をかけて自分のスタイルを見つけていくのも、どんどん音楽が形になっていく感覚も、どちらも本当に最高です。
一番大切なのは、自分のペースで成長していき焦らずに楽しむことで、きっと良い結果が待っているはずです!!
ここまで読んでくれてありがとうございます!
もしミックスが必要な方がいたら、ぜひ気軽にご依頼くださいませ!
一緒に良い作品が作れたら幸いです(^^)