産後は夫のフォローがないとかなり厳しい
わたしのお産は少し稀な展開になったせいか、産後、夫はかなりフォローしてくれた。
普段、積極的に家事をするタイプではなかったので「食器を洗ってくれている…!」「ゴミをまとめてくれている…!」と逐一驚いたものだった。
その後、わたしの体が回復するにつれて通常営業に戻っていったものの、もしこの時期に、ソファに寝転んで動かないとかスマホをひたすら見ているとかだったら、どうなっていたのかと思う。
わたしのメンタルも夫への気持ちも家の中の荒れ具合も。
産後のママの体
冒頭にも書いた少し稀な展開になったお産。
もしかしたら、現場ではまあまああることなのかもしれないけど、出産前に読んだどの本にも書いてなかったので「こんなケースもあるよ」というのを書いてみようと思う。
お産を終えたと思ったら
自然分娩の後、「出血が止まらない」「どこから出血しているかもわからない」と説明を受け、緊急手術になりました。
いったんは「ひと晩様子を見て出血が止まっていたらいいのですが」という説明で、「止まっていなかったら?」「輸血してないけど大丈夫なの?」と不安しかなかったので、その日はいないと聞いていた院長が現れて「今から手術をします」と伝えられた時は「ああ、よかった」と安堵する気持ちでした。
手術は無事に終わりましたが、結果的に1,600mlの出血で貧血になり、翌朝になっても立ちあがることができません。
歩くってどうするんでしたっけ
何度か立ちあがる練習を繰り返していたお昼すぎ、突然「あ、大丈夫そう」という瞬間がやってきました。
「では歩いてみましょう」助産師さんにそう言われて、考えるまでもなく昨日まで当たり前にやっていた動作をと思ったら足が持ち上がりません。
「歩くってどうするんでしたっけ」
そんな質問が口をついて出ました。
けれど、歩けないからと安静にしているわけにはいきません。
この入院中に、授乳や沐浴などの育児の流れを学ばないといけないのです。
産院の廊下で歩く練習を繰り返す間、これから入院すると思われる妊婦さん、その旦那さん、ご両親らしき人たちが入れ替わりやってきました。
どの人も困惑の表情だったのが思い出されます。
点滴のスタンドに体重を預けると、少々楽になることを発見して、すり足ながらも、少しずつ前に進めるようになりました。
母子同室がはじまる
病室に戻ると、すぐさま母子同室がはじまりました。
しかし、点滴スタンドと壁をつたいながらのすり足。
泣きだした子どもにたどり着くまでにひどく時間がかかります。
子どものもとへと苦悩の表情でにじり寄る様は、今思い返すと笑えますが、当時は思うようにお世話ができない悔しさと「また前のように歩けるようになるんだろうか」という不安で泣いてしまうこともありました。
点滴スタンドを使わずに歩く練習が始まったのは、手術から5日後のこと。
抜糸をしてもらったら、ずいぶんと楽になりました。
2日後には退院です。
自宅での暮らし
7日間の入院生活を終え、いよいよ退院当日。
歩き方は相変わらずのすり足ですが、座る、立ちあがる以外の動作は壁や手すりをつたわずにできるようになっていました。
だんだんと回復していると実感できるだけで、泣いていたあの日より気持ちは楽でした。
とはいえ、迎えに来てくれた夫の車に乗り込むのもひと苦労。
今日から新居で暮らすので、産院から自宅までの道のりは遠く、車の振動が傷口に響きます。
チャイルドシートで眠る我が子を、痛みに顔をしかめながら眺める様は、思い返すとやっぱり笑ってしまうのです。
自宅で迎えた初めての夜。
この日から、頻回授乳と細切れ睡眠が始まりました。
子どもの泣き声で目が覚めて、起きあがろうにも体に痛みがはしります。
まさに生まれたての小鹿のように四つん這いになって、ぷるぷると腕の力で体を起こし、子どものもとへとにじり寄るのでした。
とにかく必死だった記憶しかないので、できることなら今の体でもう一度0ヶ月の育児をしたいくらい。
初めての外出
夫の車で行った産後の健診は除いて、自分の足で初めて外出したのは退院から20日後のこと。
目的地は、自宅から徒歩5分の距離にあるコンビニにしました。
足を前に出す度に付け根に痛みを感じ、やや不自然な歩き方。
それでも入院中に比べれば、ずいぶんと回復したものです。
この20日間、必要な物は夫に頼んで買ってきてもらう日々だったので、コンビニの雰囲気も、自分で商品を選べることも、自分でお金を払うことも、なにもかもがうれしくて楽しい時間でした。
ちなみに、7ヶ月たった現在はというと、小走りはできるものの、全力疾走はまだできません。
ある日、バスの発車時刻が迫っていたので、いつものように走りかけたら左右の足がリズムよく出ないのです。
個性的なスキップをする女性アナウンサーのよう、と言えば伝わるでしょうか。
痛いというより骨がかみあっていないような、子宮が上下に揺れるような、なんとも説明しにくい違和感。
「走るってどうするんだっけ」
今もまだ考えあぐねているので、いつか全力疾走できるようになった時は、追記します。
産後は夫のフォローがないとかなり厳しい
そして、話はここに戻る。
産後の体は、交通事故にあったのと同じくらいと言われるけど、わたしのケースは目に見えてわかりやすかったと思う。
しかし、お産はその数だけ様々。
普通に歩ける人でも、しばらくは股から血が出ているわけで、骨盤に違和感があったり、目に見えない体の異変を感じていたりする。
体に限らず、慣れない育児で自分の食事がおろそかになったり、細切れ睡眠で連日眠かったり…いけない。大変さを書き連ねる手が止まらなくなってきた。
とにかくここに書いた経験は、予想していないものだった。
実家や義実家のサポートがあると、また違ったのかもしれないけど(どちらも遠方なのでお願いしなかった)なかったからこそ、夫の新たな一面を見ることができたとも言える。
この時の夫のフォローは、今でも時々思い出してはやさしい気持ちになれる。
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