『J005311』感想
よかった。
順次全国で公開とのこと。
いまは渋谷ユーロスペースで4/27まで公開しています。
以下感想なので、観てないけど興味あるな〜って人は読まずに観にいくといいんじゃないかな
どんな映画でもだけど、前情報って邪魔にしかならなくないすかって思ってるのと、アタリだとかハズレだとかはその人次第とも思ってるので、オススメだとかは言えないです
でもなんか生きづらい感じの人に見てほしい気持ちになりました
※ネタバレ含みます※
さっき観てきた。
すこし疲れてしまって道端すわって休憩し、一息ついてからとりあえず感想書いてみるかと閉店ギリギリの喫茶店にきている。
いつもこんなかんじ。
なにかをしようと思っても、そのまえに身体が小休止をはさむ。小休止を求めているのは身体なんだろうか、それともいつも疲れ切っている脳みそか?メンタルか?
どれもただしいのだろうし、どれでもいい。
カンザキも都度、小休止をはさむ。
玄関前で座り込む。タクシーを止めるか迷う。ATMに入る前に人が出るまで一度ガラスをとおりすぎて背を向け外で待つ。
カンザキは「キモい」。
のたのたした動作は見ててイラつくし、説明はヘタだし、場をつなごうとする会話はどこか場違いでいかにも真似事みたいな感じ。かしこまりすぎた敬語だって相手からすりゃ気に食わない。コインを弾くにも親指をスナップさせられなかったり、真似事すら上手にできない。
こういうやつを知っている。
アイツとか、アイツとか。
オレとか。
オレは自分のみっともなさが嫌です。
のたのたしているのは昔からで、直んないんです。仕草がいちいち挙動不審でキモいです。口を開けば自分でも退屈だな〜って言葉しか出てこんのです。敬語ばかり使ってしまうのも、どう話せばいいかわからんからで、そのせいでヘンなヤツって思われてんのもわかってるんです。でも直せないんです。他人のマネもうまくできない。
カンザキに対しても自分に対しても「キモい」なんて暴力的な表現を使いたくはない。だけど、そう思われてるんだろうな、って。
日々の暮らしは静かに積み重なっていく。日々ミスしたことや自分の場違いさは静かに体力も気力も削っていく。自己嫌悪を積みあげたって嫌なところは直せない。直せないからまたミスをする。またミスをする。ミス。ミス。凡ミス。たまに大失敗。でも日々は続く。なんとか足掻いて、そしてミス。
カンザキはヤマモトに嘘をつく。しょうもない嘘。そんなん、だれだって嘘だってわかるだろ、って感じの。
ヤマモトだってそれくらいわかる。でもカンザキは嘘だと認めない。はたから見てても他人を馬鹿にしてんのか?ってイラつく。でもカンザキ自身は他人を馬鹿にしてるつもりはまったくない。カンザキ自身がただ馬鹿で、あさはかな考えしか持てないだけだ。自分が嘘だと認めなければ思い通りに進むだろう、なんて、あさはかな考え。でも、あさはかだな〜なんて、観てる人間がカンザキじゃないからそう思えるだけだ。
そうだよ、あさはかな考えで、いつもミスしてんだよ、オレも、アイツとかも。でもあさはかだと気づけないからミスばっかしてる。こういうの、だいたいミスってから気づくんだけど。
自分を卑下しているくせに、なんとなくまあ思ったように進むだろう、って根拠なくやりすごしてしまう。そんな感じの日々を繰り返して、どうにもならないことばかり積み上がって、ぜんぶ自分のせいだよなってあとからやっぱ思うけど、でもオレ、マヌケだもん、こうなっちまう。
ヤマモトだって似たようなもんだ。場当たりになんとなく、なにしたってそんなうまくいかねえから、あさはかに行動する。自分がなにが欲しいかなんてよくわかんねえけど、でも生活しなきゃいけない。なぜ?そんなん知らねえけど、腹は減るだろ。
そんな風に観ていたから、走るカンザキから目を背けたくてしょうがなかった。ひどくブレる長回しの横顔が、自分に見えてしょうがなかったから。
ぐちゃってなって動けないの、わかる気がするよ。似たようなことあったから。でもどうすればいいとか、なにも言えないよ。
ヤマモトも語る言葉を持ってない。適切な言葉を選べるだけのかしこさなんて、持ってない。だからこうなってる。こうやって暮らしてる。でもモヤモヤが積み重なるから、身体が動く。
カンザキとヤマモトはたまたま出会って、でもそれで好転するかなんてわからない。暮らしはラクにならないだろう。カネもうまく使えないだろう。
だけどやっていくしかない。やっていくしかないの?わからんけど、やっていくしかない、としか言葉では言えない。適切な言葉は、いつも見つからない。
だから疲れた。
自分を見ているようで疲れたよ。もうすでに疲れてんのに。自分がどうすりゃいいとかわかんねえ、って、いつも思ってんのに、カンザキやヤマモトに対しても、やっぱわかんねえなって思うばかりだよ。
どーしようもねーって感じてるからこうなってんの。あーすりゃいいのにとか言われても、そんなん言われまくってんの。
でもふたりともなんか生きづらそうにスクリーンに映ってたから、メモしたくなってしまった。ブレてるままに撮ってくれてありがとう。
カフェを追い出されたからまた道端に座って殴り書きしてる。
さむいしねむい。バカだなあ。
あとでパンフ読もう。せっかくだしサインとかもらっとけばよかったな。あとで気づくんだよな、いつも、こういうの。
バカなまま、おもたい身体のまま、日々は続く。
でも、意図せぬ他人との出会いがなにかを変えることはたしかにある。
あさはかでいいから、ミスっていいから、ころがっていこうな。
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