
「オルカン」と「S&P500」一択のリスク③ 経常黒字の「第1次所得」にアクセスする
「為替リスク」を避けて、確実にリターンを得るためにはどうしたらいいのでしょうか?
それはやっぱり「日本株」に投資するのが一番です。
「何を言っているんだ。日本は少子高齢化で2100年には人口が6000万人まで減ると言われている。そんな国の企業に投資して大丈夫なわけないだろう!」
そんな声が聞こえてきそうですね?
確かに日本の少子高齢化は深刻です。
一般的に「人口の増減」と「GDPの増減」は密接に関係しています。よって人口減少が確実な日本の経済規模はこれからどんどん縮小していく… それは自然な考えと言えるでしょう。もし何もしなければ国力の衰退に合わせて国内企業の収益はどんどん悪化していくに違いありません。
ですが、日本の企業はもはや国内ではなく国外で儲けるのが当たり前になっているということをご存知ですか?
日本企業の「国際化」は、もうとっくに済んでいるのです。
日本は「貿易赤字」。
日本は「経常黒字」。
そんなニュースを見聞きしたことはありませんか?
「ん? 結局、日本は赤字なの? 黒字なの?」
マスコミはもう少しわかりやすく説明するべきなんですよね。
では言い換えてみましょう。
「日本は貿易赤字であり、経常黒字である」とは…
「国内からの輸出による収入よりも国外からの輸入による支出の方が多い」けれど、「国外での稼ぎがとてもとても多く、計算上は貿易赤字を吹き飛ばすほどの黒字で、それは中国、ドイツについで世界第3位」だということです。
下のグラフを見てください。日本はもう何年も連続で経常収支は「黒字」なんです。つまり「黒字」がずっと累積していて「大黒字」状態。(元記事を添付しておきました。)

その「黒字」を支えているのが「第1次所得収支」です。
「第1次所得収支」をむちゃくちゃ簡単に説明すると「日本企業の海外の子会社の『稼ぎ』のうち、日本本社に支払う『分け前』(債券の利金とか株の配当金とか技術利用料とか)」のことです。その『分け前』がものすごいことになっているんです。※上の記事を参照。
でも、最近そのお金が日本に戻ってきていないみたいなんですよね。
みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミストの唐鎌大輔氏の名著『弱い円の正体』にもあるように、現地での儲けを現地に再投資する傾向が強く、それが「円買いドル売り」の絶対量の減少に繋がり、構造的な「円安」になっているというのです。(唐鎌氏は他にも「デジタル赤字」や「コンサル赤字」も構造的円安の原因として挙げています。)
ほら、日本製鉄や日本生命をはじめ、日本のJTCって最近盛んにM&Aをしてませんか? あれですよ、あれ。
そうやって事業規模を拡大しながら、現地の住民の雇用を支え、収益を上げる。
そういう収益の上げ方を日本企業はもうとっくの前に作り上げているのです。
だから、そういうふうに海外で利益を得ている日本企業の株主になればいいんです。そうすれば彼らの「第1次所得」にアクセスすることができますよ。
だって株主になれば年二回、確実に「配当金」が手に入るんですから。
特にこれからも人口増加が期待できる「アメリカ」や「東南アジア」に積極的に投資をしている企業、それを探してその企業に投資をすればいいんです。
彼らはもう収益の基盤を日本国内から海外に置いているので、日本の人口減少など関係なしにこれからもどんどん儲けてくれます。
しかも、配当金の「為替リスク」は企業が負ってくれます。
私たちはただ待っていればいいだけ。
彼らはタイミングの良いときに「円買ドル売」をして、株主に支払う配当金を作り、そして私たちの口座に年に2回、ちゃんとお金を振り込んでくれます。
ただ利率はあまり高くはありません。よくても3%。
とても「オルカン」や「S&P500」のような10%を超えるような高リターンはありません。
でも、メリットはあります。
多くの投資信託は「配当金」がありません。だから「大暴落」が起きたり、「円高ドル安」になったりしたら、「資産」が一気に消滅します。そして、それはいつ戻るかわかりません。
一方、海外で稼ぐ日本優良企業の個別株ならば、「大暴落」が起きたとしても「配当金」は入ってきますし、また、その「配当金」を「再投資」すれば「複利効果」も期待できます。また、それを「国内債権」で運用すれば、利率は低くてもちゃんと増えていきますし、「債権」ならば償還まで待っていれば元本割れすることなく、自分の資産を守ことができます。
これが「分散」投資です。
別に「オルカン」や「S&P500」を否定している訳ではありません。
「一択」がダメなんです。
「分散」になっていないから。(ポートフォリオに組み込むのはもちろんOK)
特にアメリカの「景気悪化の予兆」がほんの少しでも出たら…
今、世界中の資金がアメリカ「一択」で集まっています。
ネット証券の広がりによって、まさに全世界から資金が集まっています。
そして、AIバブルと半導体バブル。
AIはマネタイズに疑問の声が上がり始めています。半導体はもともと「超」がつくほどの「景気敏感株」です。
「貯蓄」から「投資」への流れは間違っていません。
日本も世界標準の「年率2%」のインフレを目標にするのならば、資産を利率の低い銀行に預けているだけなら、実質的にどんどん減っていきます。
でも、思い出してください。
「株」はもともとリスク資産です。
そして、「海外株」投資には常に「為替リスク」がついてまわります。
要するに、「オルカン」や「S&P500」一択投資は「二重リスク投資」だということです。
そもそも新NISAは年金だけでは確実に不足する老後資金を増やすための「非課税口座」のはずです。「安全第一」の運用が必須。
ですから、海外株インデックス投資一択の風潮に危機感を感じます。
万が一のとき、
日本中がパニックになならないように祈るばかりです。
みんなが誰かのせいにする、あるいは犯人探しをする
そんな危ない空気にならないように祈るばかりです。
投資は「自己責任」が原則。
「ほったらかし」投資なんて存在しないんです。
ちゃんと自分の人生に責任を持った「投資リテラシー」が高まるといいなあと
心から祈るばかりです。