写真はあくまで記録であった
山旅をする中で、幾度となく美しい光景は目にしてきた。それは下界の雑踏とはまるで違う、現実離れした世界。
その景色を写真に残そうとしても、自分の体験している景色とは違う、平面な世界になってしまう。写真は本当に難しい。目の前にある、この、この景色と色と音と空気と香り・・・全てを写したいのに。
しかし写真はあくまで記録と思っている。この景色とその時の記憶を留めるほうが私にとっては大切なこと。
それでもたくさんの写真を撮っていく中で、記憶に残る写真もある。
それがこの一枚だ。
今からちょうど4年前の8月、八ヶ岳。テン泊装備で稜線に上がるとガスが切れ、この景色が現れた。4年も前だというのにどういうわけか、この写真は記憶に残っていた。
逆光写真。
光と影の中に、言葉に出来ない魅力がある。何故惹かれるのか。
気付けばまた、光と影の世界を見つけている。