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何者、表現文化学科
30代を目前に控えると、人は何者かになりたくなるようです。
私の好きな芸人も、優勝した賞レースで名言を発し、それを題名にした著書を来月出します。
私はと言えば、小さい頃から空想好きで、しすぎのせいか、ぼんやりと生きるのが得意です。
漫画家になりたいなー。作家になりたいなー。司書になりたいなー。文学館の学芸員になりたいなー。歌人になりたいなー……。
ぼんやりと夢を描き、中途半端に諦めたり叶ったりしてきました(漫画を雑誌に投稿するも最低評価で終わる。図書館司書と学芸員の資格を取得し、図書館スタッフや学芸員の補佐として勤務。短歌を公募に出したら佳作になり結社に入る、が3年で退会)。
私は、大学の人文学部表現文化学科卒です。
今現在、学部学科はおろか、大学自体ありません(別の医療系の大学になり建物がそのまま存続しているので、寂しさはないです)。
表現文化って何するところなの? と疑問ですが、私が答えるなら、「日米文学哲学映像学日本語学といった、表現に関すること全般を学べる、文系学問のごった煮学科」です。
個性的な先生ばかりで、毎日楽しかったです。
そんな面白い学科なら、表現の道に進んだ卒業生もいるだろうと、思われるかもしれません。
……私の知る限り、1人、います。
別の1人は、なろうとしています。
つまり、普通の社会人になっている卒業生が圧倒的に多いです(過去に地元の文学賞の受賞者が数名いますが、全国規模で見たら大したことないですよね)。
私の知る1人は、ゼミの同期です。
とてもマイペースでゆるいけれど、芯がしっかりしているというか、自分の世界を持っている人です。
ギリギリ20代のうちに、ミステリー作家デビューしていました。『ふくしま手帳』に似た名前(ペンネーム)を見たのがきっかけです。「これ、君?」と聞いたところ、「よく分かったね」と。彼が読書家で執筆もするのは知っていたのですが、ミステリー好きだとは知りませんでした。
当然応援したくなり、彼の本はすべて新刊を買って読みました。江戸川乱歩を少し読んでいる程度でミステリー初心者な私ですが、訳分からん、です。トリックとかついていけない。まあ、応援はします。彼と出会ってとても救われているので。
……はい、もう1人は、ゼミの後輩です。
2歳下の既婚者で、数年前から仙台市民です。
第一印象としては、しっかりしてる子。元演劇部とあって、はっきりした声をしていて、とても良い子です。学内の文芸サークルに入っていて、当時は日本語に興味があると言っていました。
そんな彼女が執筆熱を再燃させたのは、仙台に転居してから。第一環境が良いですもんね。宮城と福島を駆け巡り、読書会やワークショップに参加したりZINEの制作と販売をしたりと活動し、いつの間にかライター志望になっていました。人生を謳歌していてよろしいですわ。
ただ、少し怠け癖があるようで。もう少し器用でまともな子だと思ってたんだけど(偏見先輩でごめんよ)……まあ、意欲はあるようだし、あとは自分次第でしょうね!
私はというと、文学好きが高じて、
詩人→作家→歌人と移り変わっていますが、
結社を辞めてから、短歌が全くできていません。
短歌にふれる機会が減ると、こんなにも出てこないものなんですね。一時期焦りましたが、だからといって死ぬわけじゃないし、表現の方法はいくらでもあるので、出たら出すということで、ゆるくやっていきたいと思っています。
今、また新たな学びの幅が広がってきたので。古文書。
考えてみたら、古文書も表現であり、謎解きでもありますよね。辞典を引いたり文面から読みを推測したりして。ミステリー作家さんにも教えてあげようかな……?
私は何者か、と問われたら。
私(こさと)
と、答えます。
生きます。