(アーカイブ掘り起こし)人口20万人を達成する3つのキーワード

本記事は2020年8月に執筆した記事です。
アーカイブ記事の掘り起こしを行っています。

1.なぜ20万人を目指すのか

  #2「なぜ小田原市は人口20万人を目指すのか?」で「20万人を目指す理由が実は語られていないのでは」と記述したが、以下の記事を見つけたので引用する。

引用:【タウンニュース小田原・箱根・湯河原・真鶴版】世界が憧れるまち”小田原” 意見広告 人口20万人を目指す 守屋てるひこ https://www.townnews.co.jp/0607/2019/10/12/501684.html
(省略) 高齢化に伴い増大する扶助費や、今後さらに多様化する市民ニーズにしっかり対応するためには、まちの稼ぐ力を増やしていくことが不可欠で、そのために人口増加、企業誘致、雇用創出が求められます。定住人口は20万人を目指し、併せて、関係人口、交流人口も増加を目指します。(省略)

扶助費の増加については、#2「なぜ小田原市は人口20万人を目指すのか?」の記事でも触れたが、再度触れさせていただく。

引用:小田原市HP 財政指標等の推移 義務的経費の推移https://www.city.odawara.kanagawa.jp/municipality/finance/details/financialindex-copy.html
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いろいろな要因はあると想定されるものの、数値だけ見ると約20年で3倍近く増えていることが分かる。

上記は「義務的経費」と表現されていることから、必要に迫られて予算計上しているものの、約1,200億円の市債を抱えている小田原市としては、扶助費抑制とともに、守屋市長の表現をお借りすると「稼ぐ力」を身につけることが必要であることに異論がある方はいないであろう。

ただ、他の市区町村の事例を踏まえると、人口1万人以上(小田原市の現在の人口は19万人弱)増やしている地域は、共通して都心部へのアクセス至便であることが多く、東京駅から東海道本線で80分かかる小田原市は少し分が悪いと考えている。

たしかに新幹線こだま号に乗ると東京駅まで35分で到着するのであるが、片道3,280円という金額をどう見るか。家を買うことを考えれば、都心部で買うよりも、小田原市で買って新幹線で通った方がオトクですよ、と言えると思うし、実際そのような記事を多く見かける。私自身も異論はない。

とはいえ、日常を生きていく中で、目の前の資金繰りをどうしようかと考えたときに「毎日片道3,280円の負担は重い」と感じる方も多くいらっしゃることと想像する。新幹線代を支払ってくれる企業ばかりではないであろう。

やはり小田原市で人口1万人増やすというのは、今のままではなかなか難しい。抜本的な施策とターゲット選定がとても重要である。

守屋市長が表明されている「扶助費の増大」と「市民の多様なニーズへの対応」への対策としては、「人口を増やさないという方向性」も本来はあるのかもしれない。ただ、今の市政は「人口をどうやって増やしていくか」という方向性であるし、投票者の過半数はそれを望まれたと解するべきであるから、本記事では「どうやったら20万人を目指せるか」を考えていきたい。

2.人口を増やすにはターゲット選定がとても重要だ

あえて言うまでもないが、ターゲット選定がとても重要だ。小田原市に来て欲しい方々を見定める、と言い換えてもよい。

一般的に考えると、定住人口を増やすのであればファミリー層や子育て層に多く来てもらいたい、と考えるのではないであろうか。

ただ、ファミリー層や子育て層に来て欲しい、と考えるのは小田原市だけではない。他の首都圏自治体と「奪い合い」の状況である。

こうした戦略から方針転換する必要はないが、それだけでは「1万人増やすには心もとない」と考える。やはり、他の自治体にはない抜本的な戦略が欲しい。

そもそも「人口20万人」に到達したい時期はいつか。このマイルストーンにもよるが、人口が1年間に数千人ずつ減少する小田原市である。仮に毎年5千人減少すると考えると、5年後に純増で1万人増やすには「毎年7千人」の増加が必要ということになる。ちょっとストレッチな目標過ぎるか。

10年後にしても「毎年6千人」の増加が必要。やはり定住人口だけではなく、関係人口や交流人口も含めていかないと、この数値達成は難しいのではないかと感じてしまう。

少し話を戻したい。

先ほどファミリー層や子育て層ではない新たなターゲット選定が必要と述べたが、意外と狙われていないターゲットは、

・おひとり様
・DINKs(Double Income No Kids。夫婦2人、子供なし)

ではないであろうか。

定住人口を増やすという意味では、おひとり様やDINKsは少々流動性があるかもしれないが、こうした世帯に対する施策を打って人口を増やしていく、というのは案外面白い取り組みかもしれない。

3.Uターン人口だって重要だ

小田原市のような地方自治体は、都心部に進学や就職等で流出してしまった方々が、Uターンで戻ってきやすい、戻ってきたいと思えるような流れを作っていくことが言うまでもなく重要である。

Uターンで戻ってきたい、と思えるポイントは、

・今までと同じ生活基盤(学校・会社等)や生活水準を維持できるか
・小田原市に戻ってきても、同じ生活基盤や生活水準を維持できるか(都心部でのコミュニティを断ってUターンする場合)

このあたりではないであろうか。

都心部では就職先があったが、小田原市に戻ってきたら望む就職先がなかった、就職できなかったという事態にならないような施策も必要だ。

そのためには、小田原市として企業誘致等を進め、就職先の多様化を図っていくことも必要であろう。

あるいは小田原市発祥のスタートアップ企業やベンチャー企業を育成することも寄与するであろう。「小田原市に戻ってきたら起業できますよ」なんてキャンペーンも面白いかもしれない。

なんか小田原市ってヒトクセあるな」「面白いことを考えているな」と思ってもらえるような施策をいろいろ打っていけると良いのかもしれない。

4.小田原駅周辺の開発を進めたい

私は以前、川崎市に住んでいた。

川崎市に住んでいて、武蔵小杉の変貌ぶりを目の当たりにした。

タワーマンションが10年くらいで十数棟建てられ、タワーマンションの合間に「グランツリー武蔵小杉」や「ららテラス武蔵小杉」といった大型ショッピングモールが開業した。

新しくできた横須賀線のホームは人で溢れかえり、改札を通過するのに大渋滞ができた。(今後ホーム拡張予定であり、こうした問題は多少は解消されそうだ)

駅周辺には大企業もあり、関係人口も多い。

武蔵小杉の記事を引用しようとすると、昨年の台風によるダメージの影響もありマイナスな記事が多いので引用はしないが、近くに住んでいて武蔵小杉の街としての機能性には本当に助けられた。

また、新しい街と古き良き街が混在しているのが、武蔵小杉の魅力でもある。訪れたことがない方は、ぜひ訪れてみて欲しい。

武蔵小杉に関わらず、キーワードは「駅周辺の開発」である。

小田原駅周辺では、通称「新幹線ビル」のタワーマンション化が控えている。

引用:【タウンニュース小田原・箱根・湯河原・真鶴版】新幹線ビル解体始まる 3年後に新ビル完成予定 https://www.townnews.co.jp/0607/2020/07/18/534994.html

小田原城側でも、いくつか高層マンションの建設が進んでいるようである。

とはいえ、まだまだ土地利用が進んでいない場所も多い。

最たるものが、「小田原少年院の跡地活用」である。

敷地すぐそばに新幹線が走っていたり、そうした影響か夜間暗くなったりすることが気になるものの、跡地に高層マンションがいくつも立てば・・・みたいな期待感を抱いてしまう。小田原駅徒歩5分圏内。

小田原城や歴史的景観との融合することを前提に、無秩序な建設とならないように統制を取りつつ、再開発を推し進めて欲しい。

5.まとめ

最後に「人口20万人を達成する3つのキーワード」を述べる。(今までのまとめとして)

・ターゲット層の拡大(ファミリー層・子育て層だけではなく、おひとり様、DINKs世帯もターゲットに)
・「Uターンしたい」と思える生活基盤(就職先等)の整備、生活水準の維持
・駅周辺の再開発(タワーマンションや高層マンションの建設。景観との融合は必須)

「朝起きたらお城が見える生活」「相模湾が見える生活」「新鮮な海産物や農作物が毎日食べられる生活」。

小田原は本当に魅力的な地方都市である。

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