ステムベアリングコンバージョンの手引き
ステムベアリングとは何か?バイクのハンドルを切った時、ハンドル、トリプルツリー、フロントフォーク、フロントホイールなどから構成されるフロント周りがフレームと繋がっている部分を支点に左右に旋回する。その支点となる部品がステムベアリングだ。ここで言うステムとはステアリングステムシャフトを指し、そのシャフトはトリプルツリーアンダーブラケットに取付けられている。そしてステムベアリングはそのシャフトの上下に配置され上記フロント周りが滑らかに左右に旋回する役割を担う。
車体に使われるベアリングにおいて重要なベアリングは、ホイールベアリング、スイングアームベアリングそしてステムベアリングである。ステムベアリングが損傷するとステアリングに悪影響を及ぼす。ベアリングの損傷とはつまり滑らかに動かなくなることであるので、ハンドルを右に左に動かす時に引っ掛かりがあったり、ゴリゴリとした触感があったり、酷くなるとステムシャフトとフレームのネックのクリアランス過大によりガタつきが生じる様になる。それらは全て走行に悪影響しか与えない。
そうなる前にやはり重要なのは点検だ。フロントホイールを浮かせてハンドルを左右に切ってみれば異常があればすぐわかる。そしてフロントフォーク下部を掴み前後に動かしてガタの有無を確認する。たったこれだけの点検でベアリングの状態が把握できるのでやらない手はないだろう。是非定期点検を。
さて、そのステムベアリングだが車種やメイカーによって様々な物が使用されており、種類としてはボールタイプとテーパーローラータイプの2種類だ。国産車はボールタイプが多い印象で、ハーレーもビンテージモデルはボールタイプが使われている。とはいえハーレーは1949年からのテレスコピックフロントフォーク(ハイドラグライド)の採用時からテーパーローラーベアリングを採用している。しかしそれはビッグツインの話でスポーツスターは1977年までボールタイプを採用し78年以降はテーパーローラーを採用している。
ボールとテーパーローラーとの大きな違いは耐久性にある。走行中ステムには非常に大きな負荷が掛かりベアリングはそれを受け止める。そんな過酷な状況下で必要となるのは耐久性だ。ボールは点接触でありテーパーローラーは面接触であるため耐久性は後者が断然勝る。ならば全てテーパーローラーを使えばいいと思うが、そこはコスト面も考慮し国産車のような軽量車両にはボールが使われているのかもしれない。そう考えると比較的軽量なスポーツスターにボールが使われ続けたことは理解しやすい。しかし相対的に見て軽量モデルではないスポーツスターにボールという組み合わせは少々頼りない物になっているのが現実だ。77年までのいわゆるアイアンスポーツのステムベアリングの交換頻度は割と早い。
そんなウィークポイントを解消するパーツがアフターマーケットにあるのがハーレーの強みと言えるだろう。それがタイトルにあるステムベアリングコンバージョンキットだ。
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