見出し画像

FCRのセッティング

 キャブレター(気化器)とは本当によく出来たデバイスである。エンジンに取付けられ、ピストンが生み出す負圧によってそのデバイスは機能する。シンプルなキャブは本当にこれだけで燃料を空気と共にエンジンに必要量を供給している。もちろん現代ではフルアナログなこのデバイスはフルデジタルなインジェクションへと取って代わっている。インジェクションはフルデジタル制御であるため、必要量の燃料の調整はいとも簡単というか極細部まで微妙な調整が可能である。調整といってもスマホをタップするレベルの話だ。だがキャブレターはこうはいかない。なぜならフルアナログだからだ。

 液体を入れたコップにストローを挿し、その先端を横から勢いよく息を吹きかけると入っている液体がストローから吸い上げられ先端から出てくる。これがキャブレターの基本原理である。このような自然界の法則を利用して燃料供給をするのだからその供給は不安定になりそうなものだが、FCRに代表する高性能キャブレターはそのような懸念は無いのだからすごいとしか言いようがない。ただしそれぞれ様々な条件下で必要量が変化する燃料を調整するためにはストローの径などを変えるというアナログな作業が必要になる。

 キャブレターもインジェクションもセッティングとはそのエンジンに供給する燃料の量を最適化することであり、キャブレターに関して言うと、それはストローの径の変更に当たる、ジェットやニードルの交換、ニードルスクリューの開度の調整によって行う。

 今回はFCRをベースにキャブセッティングの方法を解説していこう。

FCR 35(口径35mm)

ここから先は

3,498字 / 3画像
この記事のみ ¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?