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YBCルヴァンカップ プライムステージ 決勝

 まずは16日のゲームの話をしよう。去る16日は天皇杯決勝戦が行われた日。サンフレッチェ広島は初戴冠を目指し意気揚々と日産スタジアムに乗り込むも無念の敗戦。ゲームは前半で勝負がついていたとの見解もあるが私はそうは思わない。どの競技にも共通すると思うが、ナンバー1を決める試合は必ず劇的なドラマが生まれる。もちろん今回の天皇杯決勝戦も多くのドラマが待っていた。

 前半序盤は予想通りサンフレッチェが主導権を持ち押し込んでいたがシュートどころかコーナーキックすら得られずにいた。そんな微妙な空気感のなかヴァンフォーレ甲府にカウンターを許すとそこから一気に両チームのメンタリティが変わった。ここが大きなポイントになったのは間違いないが、チーム力のあるサンフレッチェは0-1で耐え後半へ。流石のスキッベ監督はカップ戦の采配を発揮。後半開始から意欲的に選手交代を試み、それが功を奏し1-1の同点。まさに後半はサンフレッチェペースでいつもなら逆転している、そんな展開だった。しかし90分は同点のまま延長戦へと続き、甲府は徐々に足が止まってきて、サンフレッチェは変わらず走り回っていた。延長戦30分も終始サンフレッチェペースで試合を運んだが勝負を決めきれずPK戦へ。そしてPK戦の結果、悔しい敗戦となる。

 "前半で勝負が決まっていた"では片づけられない程多くのドラマがあり、観る側はその都度食い入るようにゲームにのめり込み最高に刺激的な時間を過ごした。

 流石に負けという現実を受け入れるのに数日かかってしまった。そんな中何が足らなかったのかを考えると、やはり答えはメンタリティに行き付く。勝者のメンタリティという言葉があるが、あの時のサンフレッチェにはそれは無かったのだと思う。決勝戦という重圧にのみ込まれ、甲府はそれに付け込んだという結果だろう。下馬評がどうだったかは知らないが、今期のサンフレッチェをしてもタイトルを獲ることがこんなにも難しいものなのだと思い知らされた。サンフレッチェはこれで6回も天皇杯決勝で敗れて立派なシルバーコレクターだ。タイトルを獲るにはシルバーコレクターとして苦い経験を積みリバウンドメンタリティを高めないとならないのだろうか。だとすれば6度目のチャレンジで涙を流した経験は必ず糧となり自身やチームに還元される。

 そして幸運なことに、そのリバウンドメンタリティを発揮できる機会がすぐにやってくるのである。それがもう一つのタイトルマッチ、YBCルヴァンカップ決勝だ。明日22日、日産スタジアムの3万人より数万人多い観客が予想される新国立競技場でセレッソ大阪を相手に13:05キックオフとなる。天皇杯の辛い敗戦から気持ちを切り替えられたのは、あのような痺れる、劇的なドラマが待っているファンタスティックなゲームを再び観ることが出来ると気が付いたからだ。ここまで連れてきてくれたサンフレッチェには本当に感謝しかない。

 もうざわついた感情は落ち着いたであろう。チームもファン、サポーターもいつも通りに100%のパフォーマンスを発揮して勝利を掴みにいこう。もう何度も対戦した慣れ親しんだ相手だ。お互いに特別なゲームを100%楽しみ結果的に少しでも相手より上回ればいいだけなのだ。

ODA SYCLE
小田
 

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