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オイルシールの取り外し方

 オイルシールとは、機械の回転部分や動作する部分において、潤滑油やグリースが外部に漏れるのを防ぎ、また、外部からの異物(ほこり、水、汚れなど)が内部に侵入するのを防ぐために使用される部品である。主に自動車、産業機械、農業機械、ポンプ、コンプレッサーなど、回転や往復運動を伴う装置で使用される。もちろんハーレーにも多用されており、主な使用箇所としては、エンジンスプロケットシャフト、カムシャフト、トランスミッションメインシャフト、フロントフォーク、などが挙げられる。これらの箇所はやはりオイルが漏れると具合が悪い。

 オイルシールの主な構造は以下の通りだ。

  1. シールリップ(Sealing Lip)

    • シールの主な機能を担う部分で、回転軸や移動する部品に接触してオイル漏れを防ぐ。

    • 通常、適度な弾性を持つゴムや合成樹脂で作られる。

  2. リップのばね(Spring)

    • シールリップの圧力を一定に保つためのばねが内蔵されていることが多い。

    • 主に「ガーターばね」と呼ばれる小さなリング状のばねが使われる。

  3. 外輪(Metal Case or Housing)

    • オイルシールの外周部で、シールをハウジング(機械の穴部分)に固定する。

    • 金属や強化プラスチックで作られる。

 オイルシールの最重要ポイントはシャフトなどの部品と常に接触しているリップである。それはシャフト等の表面を確実にトレースできる様に柔軟性に富むゴムなどで作られ、内部のオイルが漏れ出さないように努めている。しかし常に接触しているため当然摩耗(ゴム等のリップも、シャフト等の部品も両方)し、その部分のシール力が低下してオイルが滲み出てくるようになる。こうなるとシール交換が必要だ。

 オイルシールの交換は非常にシンプルである。オイルシールを取外して新しい物を取付ける、それだけだ。しかし、こうして文章にするとたったこれだけだが、この作業には確かにノウハウが存在する。私は以前、オイルシール交換が好きではなかった。好きではないということは不得意であるということなのだが、それは全て確固としたノウハウを構築できていなかったことに起因している。したがって、現在はそれを獲得しているため苦手意識なぞは微塵もない。今回はこのノウハウを紹介しようと思う。

 大なり小なりオイルシール交換はこの手法で安全に取り外せるはずで、今回は分かり易い様にエンジンスプロケットシャフトオイルシールを例にとって解説していく。

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