チャイノイがゴメラを2回KO、WBCミニマム級戦でパンヤはワンヘンとの再戦を制す。
サワディーカップ
(某サイトに2022年4月4日掲載)
パンヤ対ワンヘンのWBC世界ミニマム級タイトルマッチを始め、3月後半に幾つか注目のボクシング興行がタイで行われましたので、今回はその模様を伝えたいと思います。
まず、3月26日に、スーパーバンタム級のプロスペクト、WBCアジア王者のチャイノイ・ウォラウットがNKLBOXINGのリングに登場し、ここまで14勝6敗2分の元フィリピン王者、ジェルベルト・ゴメラを2回で沈めて無敗(16勝1分)の記録を伸ばしました。
ゴメラは日本でOPBFの決定戦に出場(大竹秀典に判定負け)したこともある選手です。チャイノイは途中でスイッチを見せて最後は右カウンターで仕留めました。ゴメラは座り込むように崩れ落ちる、衝撃のKO勝ちとなりました。
チャイノイはここ2戦は元世界王者を相手に判定勝が続いていましたが、久しぶりの”倒し屋”ぶりでした。”ROCKMAN”を公式ニックネームとする彼は、大手ナコンルアンプロモーションに所属し、チャンスを伺っています。
世界ランキングもWBC8位につけており、試合後のリング上で「チャンスがあればいつでも大きな試合をしてみたい」と述べました。
同じリングに、チャイノイの実兄ペットチャチャイも登場しました。5勝5敗のフィリピン選手にパワフルなパンチを振り回し、判定勝ちを収めました。これでデビュー以来2連勝です。
ペットチャチャイは、また弟とは違ったタイプですが、今後どう勝ち上がっていくのかが楽しみです。
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27日には、ウルフジム期待のこちらも兄弟ボクサー、ライトフライ級のタノンサック・シムシー、ミニマム級のシティサック・シムシーがシンマナサックスタジアムのリングに登場しました。
それぞれがABF(アジアボクシング連盟)の王座決定戦に出場し、兄のタノンサックは2回KO、弟のシティサックは初回KOで見事ABFチャンピオンの座を獲得しました。
タノンサックは22戦22勝、シティサックも10戦10勝と、無敗レコードを伸ばしています。WBO4位のタノンサック陣営は、年内の世界タイトルマッチを実現したいとします。
ABFの会長を努める大物プロモーター、ナリス・シンワンチャー氏も「団体にこだわらず、チャンスを模索していきたい」とします。
この日はウルフジム契約選手のペッチバンボーン、アチャリア(ゲンタワン・サーサクンジム)も勝利を収めています。ペッチバンボーンは2度ダウンを奪っての6回判定勝ちで48勝11敗1分、アチャリアは2回KOで9戦9勝としました。
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そして29日は、WBC世界ミニマム級王者パンヤ・プラダブスリ対前王者ワンヘン・ミナヨーティンの、立場を入れ替えてのリマッチがありました。
タイ版、矢吹正道対寺地拳四朗2とも言えるこの試合、試合開始のゴングから前に出たのは、やはり前王者ワンヘンでした。
モチベーションの低下、高齢(37歳)からくる衰えなど、あまりいい情報が聞かれないワンヘンでしたが、さすが12回防衛の元王者、しっかりと仕上げて来ていました。
普段は積極的ではない「待ち」のボクシングで、のらりくらりとしたファイトが印象的ですが、初回から積極的に前に出て攻めだるまとなります。
パンヤも足を止めて応戦し、序盤から激しい打ち合いとなりました。ハイペースで早い回でのノックアウトもあるかと思われましたが、試合は長引きます。
4回までの公開採点は38-38が2名、39-37でワンヘンが1名とほぼ五分でしたが、これが8回の公開採点でチャンピオン側が逆転、77-74、78-75が2名でそれぞれパンヤを支持しました。
ワンヘンは挽回を狙って積極的に攻め、9回は右ストレートでパンヤを吹っ飛ばします。ロープで跳ね返され、幸運にもパンヤはダウンを免れます。
8回の公開採点を抜きにすれば、ややワンヘン有利の展開のように思われましたが、判定はやはりチャンピオン、パンヤを支持しました。117-111が3名という意外な大差でした。
惜しくも敗れたワンヘン、初回から積極的に攻め、これまでにない姿を見せてくれました。
福原戦、大平戦をはじめ、何度もワンヘンの世界戦を見てきましたが、今回が、最も良い試合だったと思います。これで55勝2敗となったワンヘン、再びリングに戻ってくるか分かりませんが、最後の意地を示したことをボクシングファンは忘れません。
一方、苦しい戦いの中生き延びたチャンピオン、パンヤは38勝1敗となりました。この試合を良い経験とし、今後伸びていくと思います。素晴らしい試合を見せてくれた2人の偉大なミニマム級に拍手をおくりたいです。
パンヤ対ワンヘン2の前座には、元世界王者のコンパヤックが6回戦に登場し、2戦2勝のホープの相手を努めていました。40歳のコンパヤックは、かつてはWBC、WBAと2つのベルトを獲得しましたが、ここ10戦で2勝8敗と噛ませ犬路線です。しかし、この試合ではベテランの意地を見せてドロー、戦績はこれで61勝13敗1分となりました。
NKLBOXINGはテレビ中継がメインでまだ客入れは行っておりませんが、ボクシング興行も増えてきたタイの状況です。
タノンサック、チャイノイは先日のホープ紹介の記事でも取り上げさせて頂きましたが、いずれ世界戦のリングにも上がるでしょう。タノンサックは7月にも日本のリングに立つ計画があるそうです。
タノンサックのABF戦
チャイノイ衝撃のKO
パンヤ対ワンヘン2