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【男性育休】子どもに伝えたい「ヤンキーの好きな音楽を聴いてもいいよ!」

わたしが通った中学は荒れていた。

いわゆるヤンキーが多く、授業中に机が燃えていたり、他校の不良グループが殴り込みにやってきたりと、ドラマ『スクールウォーズ』のような世界が繰り広げられていた。

壁には、スプレーやマジックで書かれた落書きもあった。

BOØWY
布袋さん
COMPLEX

当時のわたしにとっては、ヤンキーの「記号」でしかなかった。


現在、育休中のわたしだが、妻に無理を言って一泊二日で東京にでかけたことがあった。

2024年5月15日。
東京ドーム。
COMPLEXの『日本一心』というライブを観るためだ。

COMPLEXは、ギタリスト布袋寅泰さんと、歌手 吉川晃司さんのユニット。

1988年に結成したが、2人のケンカ別れで1990年に活動休止したバンド。

そして、ヤンキーが聴く音楽という偏見を抱いていたバンドだ。

ライブの感想は、月並みだが、

ひたすらカッコよかった。

アホ丸出しだが、それしか言えない。
他の表現が思いつかない。

会場では、自分よりも上の年代の方々の姿を多く見かけた。
昔はヤンチャしてたんだろうなあという風貌の方も大勢いたが、そんなオトナたちが、みんなワクワクドキドキして盛り上がっていた。

この日を待ちに待った5万人が集まり、ひとつになって、最高に幸せな時間を共有した。

ヤンキーとか、いい子とか、どうでもよかった。

私がCOMPLEXを好きになったのは、2011年の東日本大震災復興支援のチャリティライブを観たのがきっかけだった。

当時は、活動休止以来21年ぶりのライブということや、震災後の自粛ムードの中で敢行された大規模なライブということで注目を集めていた。

そんな情報を元に、衛星放送のWOWOWで何気なく観たが、ひっくり返った。

久しぶりかつ、震災後という特別な状況の中でのライブということもあってか、2人からあふれ出る緊張感や覇気や決意といったものが画面を通してビシビシ伝わってきた。

果し合いのような力のぶつかり合いのようでもあり、凄まじかった。

完全に食らった。

もし、またライブがあれば必ず観に行くと心に誓って、13年が経った。


そんなCOMPLEXだが、リアルタイムではまったく聴いていなかった。
理由は、中学時代のヤンキーが好んでいた「不良が聴く音楽」だったからだ。

1学年上のいとこもヤンキーで、問題を起こしては親を困らせていた。そして、ご多分に漏れずBOØWYやCOMPLEXに傾倒していた。

だから私の母は、そんな音楽は聴いてはいけないよ。とよく言っていた。

「いい子」だった私は、親をガッカリさせてはいけないと、聴かないようにしていた。

それから月日が経ち、2011年にはじめてライブを観て激しく心動かされた時、中学時代に先入観や偏見から聴かなかったことを、激しく後悔した。

そして、COMPLEXに対して申し訳なく思った。ヤンキーにも申し訳ないと思った。
先入観や偏見にとらわれていた自分が恥ずかしくなった。

だから、自分の子どもには、先入観や偏見を植えつけるような言動には気をつけなければ、と思う。
人を傷つけることもあるし、自分の視野も狭くしてしまう。選択肢を狭めることにもなるかもしれない。

母親は反面教師になってくれた。
育ててくれたことや、学校に通わせてくれたことなど、親には感謝していることはたくさんあるが、そのうちのひとつとして心に留めておきたい。

自分が気に入ったもの、大切にしたいものを信じたほうがいい。

たとえそれが、「ヤンキーが好きな音楽」だったとしても。


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