見出し画像

復帰プログラム 12

朝の会は、クラスの一日の始まりを整えるための大切な時間だ。進行にテンポがある。毎日少しずつ積み重ねてきた成果が、確実に形になっているのだろう。子どもたちは、このリズムにすっかり慣れ、素早く整列して次の活動への準備を進めている。まるで、決まったステップに合わせて踊るように、朝の時間が流れていく。

だが、全校練習が予定通り進まず、急遽延期されることになった。その瞬間、教室に微かなざわめきが広がる。しかし、そんな時こそ、朝の会で伝えるべきことがある。「今日はどうやって動くのか、どんな目標を持つのか」、そういった情報を丁寧に子どもたちに伝えるのだ。「縦横を揃えて整列しよう」「きれいなお辞儀をしよう」「準備体操はしっかりと」など、具体的な目標を掲げて、彼らがスムーズに動けるように心がける。この積み重ねが、朝の会をより効果的なものにしている。私はこの時間が、一日のスタートを整えるために、いかに重要かを常に意識している。

その後、国語の授業では、子どもたちはグループでテーマをまとめる活動に取り組んでいた。あるグループが、なかなか意見をまとめられずに苦戦している様子が見られた。授業時間を延長して支援し、最終的には「兵十が母親にウナギを持っていきたかった」という形で意見がまとまった。しかし、まとめ終わった後も、子どもの口からは「これからまとめます…」という言葉が漏れた。まだ自信がないのだろうか。私はその言葉に少し引っかかりながらも、どうすれば彼らがもっと自信を持って表現できるのかと考え続けている。彼らの意見を引き出し、まとめる力を育てる支援が、今後も必要だと強く感じる瞬間だった。

算数の授業では、「概数」の理解に取り組んでいた。数を四捨五入しておおよその値を出す手法だが、まだ手順が完全には身についていない子が多い。授業では、①どの位までの数字を対象にするか、②次に四捨五入する位を確認するか、③切り上げるか切り捨てるか、という手順をマークを使ってわかりやすく教えた。児童たちは一人ひとり違う方法で理解する。そのため、支援の仕方も多様である必要がある。例えば、「1周815mで390周分」という問題では、1という数字が不必要に感じるかもしれないが、「1周」という概念が「かけ算である」ことを証明するために重要だ。掛け算の基本的な概念である「1つ分の大きさがいくつ分か」という理解も、授業中常に意識させている。

特別支援学級では、さらに個別対応が求められる。概数の理解は進んでいるが、答えを導き出す順序がまだ定着していない子もいる。このような子どもたちに対しては、記入方法を教えるべきか、できるだけ自分の力でやらせるべきか、そのバランスに悩む。例えば、日常生活に結びつけた支援として、お金のやり取りを通じて切り上げや切り捨ての使い方を教えている。実生活に応じた概数の使い方は、彼らにとって実用的なスキルとなる。

一方、ローマ字の習熟には個人差が大きい。書くことに精一杯で、進度がバラバラな子もいる。授業中、児童が教師に質問しながら進めていく場面が多々あるが、時に児童同士で協力し合うことで理解が深まることもある。ただし、定着が十分でない場合は、キーボード入力をローマ字でさせるのではなく、ひらがな入力を許容するなど、柔軟な対応を考慮している。

給食の時間では、クラス全体で効率的に配膳を進めることが重要だ。給食当番だけではなく、全員がスムーズに動くことで、配膳のスピードが向上する。配膳が終わると、すぐに座るように指導し、次の行動にスムーズに移れるような流れを作っている。

理科の授業では、影の測定を行った。児童たちは測定の手順に沿って道具を使い、協力し合いながら活動を進めた。しかし、さらに効率的に進めるためには、班内での役割分担がより明確になる必要があると感じた。活動の後、本を借りに行く際には、帽子を片付けたり机を整えたりする習慣も教えていく。こうした小さな行動の積み重ねが、全体のスムーズな活動につながる。

最後に、クラス全体の学習環境を見直すことが重要だと感じている。「静」か「動」か、さらに「喋る」時間を意識的に区別することが必要だ。しかし、今のクラスでは、「静の時間」の感覚がまだ定着していない児童が多い。授業中に、ほんの少しの時間でも「静」を意識させることが、彼らの集中力を養う第一歩だと思っている。

「静」と「動」、そして「喋るべき時間」。それらをうまく使い分けることで、クラス全体の学習環境がよりメリハリのあるものになるだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?