個人走(徒競走)についての一考
小谷ちいです!
SNSを眺めていると、運動会における
「個人走の順位に不満」
や「結果へのクレーム」といった声を目にすることが増えていますね。
私も保護者の一人として、「自分の娘が1位になれば嬉しい」という感情はよくわかります。しかし、教師としての私は、娘が「頑張って練習した結果、ここまでやれた」という過程の成果をもっと大切にしたいと感じます。
教師は「過程」を、保護者は「結果」を重視します。この価値観の違いが、今回のクレームの背景にあるのかもしれませんね。
個人走の順位を決めるのは、担当教師の目視によるもの。例えば、6人が激しい接戦を繰り広げる中であれば、すべて完璧な判断は難しいものです。もちろん、ビデオ判定を求める行事ではありません。
それでは、よりよい運動会の個人走をどのように実現すればよいのでしょう?
Mさんの経験(後ろで見ていたこと)を元に、まとめてみました!
1.明確な計画を立てる
みなさんはすでにご存じかと思いますが、
□何人で走るか □どこを走るか □どの順番で走るか □その決定方法は?
など、秋開催の場合なら夏休み中にしっかりと決めましょう。
どこを走るか決めたら、線を引き、当日までその線で走ります。雨が降っても変わらないようにしないといけないので大変ですが…
どの順番で走るかは、タイムで分けた方がよいと思います。(男女別、混合はその学校の特色に応じて)背の順や出席番号順では、最初に走った段階で、ほぼ順位は決まってしまうと思います。タイム別の方が、競争心をもたせることができます!
何のためのタイム測定かはっきり伝えてから、本気で走らせましょう!
それでも、手を抜く児童生徒もいるかもしれません。
そこで、「スポーツテスト」の結果が残っているので、その結果と比較して、あまりにも違う場合には、問い詰めることができます。それも作戦です。
決定方法は、夏休み明けに本気で走らせてタイムを計ります。それを元にグループ分けをします。
ここまでできたら、後は変えません!本番までこのままです。
そうそう、「位置に付いて用意ドン」も全校統一しましょう。これは、体育主任の出番です!
2.練習は簡素に、数回で
何回も走ってしまうと、楽しさがなくなります。並び方、入場、スタート、ゴール後の動き、退場とありますが、特にスタートがきちんと揃うよう、繰り返し練習をしたいものです。「位置に付いて、用意、ドン」とさらっと言ってしまうのではなく「位置に付いて用意、………(ここで身体が動くので、動かさないように指導する)」と「ドン」のタイミングで走り始めることを練習します。この練習1つでも、気持ちのよいスタートが決まります!
特別に支援を要する児童生徒は、ここができるようになると自信に繋がります!
3.1位を取る秘訣
私が見てきた中で、1位を取る秘訣は、
・靴を正しく履く(かかとを合わせて、ひも(マジックテープ)をしっかり止める)
・ゴールの向こう(5m先)まで全力!
・見る先を決めておく(木や建物など)
☆毎日、1回コースを全力で走る
特に☆は、毎日1回だけでも練習します。休み時間に鬼ごっこでもいいですね。
すごい子は、50m走で最初のタイム測定から1秒以上縮めることができます。練習する、しないでかなり変わりますよ。
特別支援学級の児童生徒は、朝の会に運動場で1回走るだけでも、かなりタイムが変わります!
4.保護者に周知する
学年通信で、「運動会の種目をこのように決めました。」と伝えます。さらに「毎日コツコツ走り、タイムが伸びたことを認めてあげたいです」とすれば、「結果にこだわること」から少し意識を変えることができますね。
5.後は当日!
毎日、本気で練習した子は、ほぼ1位になります。私も実際に1、4年生で毎日1回走らせました。6人で走ったら4位までには自分のクラスの児童が全員入ります。赤組なら、1位の所はほぼ赤組です。そうすれば、「毎日コツコツ走ったからいい結果になったね」と「過程(1位なら結果も)」を認めることができますよ!
特別支援学級の児童でも、走るのが苦手だった子でも、いい勝負できました。
運動会を通して、どのような力を付けたいのか、まずはそこからのチェックです!
個人走では、体育の「走る」、運動会では道徳の「自分でやろうと決めたことは,粘り強くやり遂げる」など、様々な教科に関わらせることができますね!
来年度の参考になれば幸いです!