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第15節 清水エスパルスvs横浜F・マリノス 2019.06.15(完全マリノス視点)

今回は時間がなかったので、有名な結城康平さんの記事をベースに、局面を切り取りあることないことを書いてみる。

◼️噛み合わせと位置的優位

序盤のシステムの噛み合わせが分かりやすい、清水GK西部がロングボールを蹴ったシーン。このとき清水DH竹内は2択で、清水が2トップ気味になれば最終ラインは数的同数。2トップに対し2CB+SBで対応すると、清水SH中村が浮く。

◼️量的優位+質的優位+位置的優位

4-1-2-3チックなビルドアップ。マルコスが竹内を引っ張って降りて、ポジションを1列上がった天野にはアウグスト。ビルドアップの起点は喜田の量的優位なポジショニングで数的有利を獲得。縦パス製造機(質的優位)の畠中レベルになると、逆サイドの1列前でマークが甘く浮いている偽SB和田(位置的優位)を見逃さない。

◼️This is Fuckin' Marinos

(1)エジガルがハーフスペースに流れ、
 CBを1人釣り出す
(2)マルコスが1列上がってトップへ
 (左ハーフスペース寄りのセンターに位置取り
 CBを釣り出し、右のチャンネルは開放気味)
(3)エジガルがはマルコスのポジションに降りる
(4)CBはついてこず、マルコスにつく
 (エジガルを指さすだけ)
(5)天野はライン間で浮いたエジガルへ
(6)エジガルはレイオフで喜田へ
(7)和田は開門気味のチャンネルへ特攻
(8)エジガルのレイオフ後のポジショニングも絶妙

「これぞマリノス」という見事なゴールだった。
This is Fuckin' Marinos.

◼️偽9番(量的優位)

マルコスが1列降りて空いたスペースへエジガルが降りたシーン。ビルドアップを助けるエジガルのひと手間。このひと手間が、アイラブユー。この日は、エジガルの量的優位(数的有利を生み出すポジショニング)を意識した「偽9番」的な動きが効果的だった。

CBが偽9番について行っても地獄、ついて行かなくても地獄。天野のダイアゴナルランもお見事。ということで天野純。

◼️天野純

バックステップでしれーっとライン間へポジションを上げる天野。この日の清水は少しボールウォッチャー気味だったこともあるのだろうが、これぞエントレリネアス(ライン間)を意識したポジショニング。もちろん、縦パス製造機の畠中がこの動きを見逃すはずもない。このワンプレーだけではなく、天野は常にエントレリネアスを意識していた。
(※ちなみに、幅が取れるティーラトンのおかげもあって、渓太もライン間でわりかし浮けていたのだが、時間の関係で今回は泣く泣く割愛させていただく。渓太ごめん。)

清水SBが渓太(質的優位)に釣り出されてできたギャップも見逃さず、SB裏めがけてダイアゴナルランで位置的優位を獲得。教科書のような動き。ダブルボランチとしてプレーしつつインサイドハーフとしてもプレーできる天野を正当に評価してあげて。もはや扇原が復帰しても、天野から簡単にポジションは奪えないと個人的には思っている。

◼️蹴れるポジショナルプレー

パギの渓太へのフィード。湘南戦では蹴らされ気味にも見えたけど、同数で嵌めてこようとする相手に対して、パギは狙って渓太に当ててるような気もする。清水は後半から選手交代で4-1-4-1にシステム変更して噛み合わせてきたけど、前から嵌めに行くとマルコスのところが浮いてしまう。よって最終ラインは数的同数に。そこへボールを届けられるということは、もはや蹴れるポジショナルプレーではないか。蹴れないポジショナルプレーについては林舞輝さんの記事を参照。

◼️質的優位+位置的優位

やはり若干ボールウォッチャー気味なのか、見れているようで人を見れていない清水の守備なので、簡単にプレッシャーラインを突破できティーラトンへ。ティーラトンは幅を取る仲川へサイドチェンジ。仲川はカットインしアウグストも引き付ける。清水は4-1-4-1なのにも関わらず、マルコスが浮いてしまう。質的優位万歳。

このような問答無用で対策を無効化する質的優位に加え、エジガルの偽9番、天野が1列前に出ることで清水の4-1-4-1に対応した我が軍を見て「成長したな・・・」と一人で酒を呑みながら泣ける試合になるはずだった。勝っていれば。

◼️感想

神戸戦の「マルコス・システム」導入以降、減少傾向だったパス総本数は回復。局面を切り取って見ても数値を見ても、縦にも速い「マルコス・システム」というよりは、従来型の「ボールを繋ぎ倒す4-1-2-3色が強いサッカー」だったなと感じた。これは天野によるところが大きいだろう。清水の後半からのシステム変更にも柔軟に対応できたのも、やはり天野の存在が大きい。ここまでの柔軟な対応は今までのマリノスにはあまり見られなかったのではないだろうか。「マルコス・システム」は成長のひとつのきっかけに過ぎなかったのかもしれない。まあ、扇原が復帰したときにどうなるかは分からないが。エジガルの偽9番もかなり様になってきており、これはいよいよ・・・と思わせる試合だった。勝っていればね。いやはや、残念無念。

次の松本戦はマルコスが出場停止ということもあり、この従来式4-1-2-3サッカーで戦うことになるのでは?と予想する。インサイドハーフに入るのは誰か。松本の仕掛ける局地戦にどう挑むか。マルコス不在でも内容を伴った結果を残せるか。非常に楽しみである。


To Be Continued
(松本戦へつづく)

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