第8節 北海道コンサドーレ札幌vs横浜F・マリノス 2019.04.20(完全マリノス視点)
スタメンはこちら。
◼️ワインでも飲んで落ち着け
(A)前に当てても、対応するマーカーの寄せが速く前を向けない
(B)扇原のプレーテンポが遅い or 周りが速すぎる
(C)(A)(B)のせいか、とにかくパスがずれる
(58秒畠中→広瀬、2分45秒松原→扇原、2分59秒チアゴ→畠中)
(D)松原とチャナティップの相性が悪い
(E)(C)(D)の結果、3分15秒に先制点献上
個人的に気になったのは扇原のプレーテンポ。機動力がありフリックやターンもある喜田との落差かもしれないが、アンカーのプレーテンポがこの試合でいきなり落ちて、周りは合わせ辛そうにも見えた。2失点するまで扇原は札幌2トップに重点的に消されており、ボールを受られるような位置に動き直す前に前方へパスが送られるような状況だった。
加えて札幌のマンマークによる寄せの速さに対する焦りもあったのか、幾度となくパスがずれる。必要だったのは速いテンポでパスを回すことではなく、ワインでも飲んで落ち着くことだったのではないだろうか。ここからは完全に妄想だが、ボス(ポステコグルー )は速すぎる展開→ネガトラ→カウンターを避ける為に、敢えて扇原をアンカーで起用することによりラ・パウザ(休止)を取り入れたかったのかもしれない。
◼️松原健とチャナティップ
松原とチャナティップの相性がとにかく悪く、チンチンにちゃぶられていたのは先制点のシーンだけではない。ここで他のマリノスレビュワーの方々のようにデータを引用してみる。
松原健、先発時のデュエル勝率
第5節・鳥栖戦:6/10・・・60%
第6節・浦和戦:2/5・・・40%
第7節・名古屋戦:5/16・・・31%
第8節・札幌戦:1/5・・・20%
参考サイト:https://www.sofascore.com
デュエルに勝った1回というのは、恐らく34分25秒あたりのネガトラ時の即時奪回プレス。これはいいプレーだった。しかしその1回を除けば松原健は、数字が示す通りチャナティップにチンチンにちゃぶられていた。
◼️機能しなかった三好の偽9番
個人的には「マルコスをウイングに戻したい&扇原を使いたいけど喜田と三好も外すわけにはいかないから仕方なくこうなりました」にも見えた三好の偽9番。残念ながら、ほとんど機能していなかったように思う。
そもそも偽9番とは、ウイングが高い位置で幅取り+CFが降りることによって、相手CB前に意図的に作り出したスペースを有効活用しよう的なエアーだったと記憶している。そのスペースを活用できたのは、25分50秒と27分25秒のPA外からのシュート2本だが、こんなものはIHでも打てるシュートだ。
①三好がボランチの高さまで降りてしまう
②両WGor天野が中に入るのが早すぎる
③現状の三好には9番の要素がない
①三好がボランチの高さまで降りてすぐ②CFの位置に誰かが入るなら、それはただのポジションチェンジだ。ならば最初から三好がIHで仲川かマルコスをCFで起用すればいいだけの話で、偽9番をやる意味はない。
③偽9番と言えども、メッシやトッティ、メルテンスといった面々にはそもそもシーズン2桁得点できるくらいのストライカー成分が含まれている。フランチェスコが点をトッティなのである。果たして今の三好にそのようなストライカー成分が含まれているのかというと・・・。
扇原と交代で出場した大津はCFの位置に入り、三好はIHへ。大津は交代直後から効果的に右サイドへ流れ、何度も中央にスペースを作り出していた。背番号を7番に変更し、IHで勝負したいとコメントしていた大津。だが、マリノスの9番としての才能は隠しきれていなかった。大津もシーズン2桁得点を記録したことはないのだが、この男の「お願いしたら何でもできそう」な天才気質には脱帽である。リアル桜木花道。
◼️どうしたら得点は増える?
1試合あたりのボール支配率やシュート数はリーグ2位なのに、総得点は8位。なぜ得点は増えないのか。前節指摘させていただいた「残り30mのクオリティと創造性」ってどうしたら解決するの?というお話。結論から言うと、両ウイングがドリブルを成功させて、シュート数のわりに少ない決定機(リーグ6位)をもっと増やせばいい。
(ドリブルとドリブル成功の定義についてはakiraさんのopta翻訳記事が分かりやすいです)
以下は今シーズンの1試合あたりのドリブル成功数(成功率)である。
仲川輝人:1.3(45%)
マルコス:0.8(50%)
遠藤渓太:0.3(33%)
参考サイト:https://www.sofascore.com
マルコスはCF起用で数値が少し下がっている面もあるだろう。また、マルコスをウイングに戻したボスの決断も分かる。ただ後述する他チームの選手の数値を見てもらえれば分かると思うが、マリノスのウイング勢の数値はお世辞にも高いとは言えない。
ここでマンチェスターシティ(17-18)のウイング勢の数値を見てみる。
スターリング:1.9(54%)
サネ:2.7(64%)
参考サイト:https://www.sofascore.com
続いてリバプール(17-18)。
サラー:2.2(63%)
マネ:1.9(64%)
参考サイト:https://www.sofascore.com
魑魅魍魎が跋扈するプレミアリーグでこの数値。うーん化け物。絵に描いた化け物。ベジータ。マルコスがクリリンなら彼らはベジータ。悟空ー!早く来てくれーっ!
参考までにフリーザ(17-18)。
メッシ:5.1(72%)
参考サイト:https://www.sofascore.com
(中略)
身近で参考になる数値はないかと探してみる。
偽10番(2017):2.0(67%)
アンデルソンロペス(2017):1.6(74%)
マルティノス(2017):1.4(49%)
伊東純也(2018):2.2(52%)
参考サイト:https://www.sofascore.com
偽10番とは川崎の19番のことである。悔しいけど優秀。偽10番には負けてられないということで、やはりマリノスのウイング勢にも試合平均2.0回以上を目指して欲しい。仲川とマルコスがこの目標値をクリアすると仮定すると、
仲川0.7+マルコス1.2=1.9回
このうち3割が得点に結びつくとして、
1.9×0.3=0.57点
1試合あたり0.57点UP
3割という掛率に明確な根拠はない。今のマリノスの戦術下でのウイングのドリブル成功はだいたいチャンスだろうから、最低でも3割はゴールに結びつくんじゃないかという希望的観測に基づく。この1試合0.57点UPというのは、単純計算で引き分けの半分は勝てるし、1点差の負けの半分は引き分けに持ち込める数値。おっと、これは決定力不足の解決どころか、優勝まで見えてきた。
◼️提案
ウイング勢が1人しかランクインしていないのは何とも寂しい限り。ウイング勢がもっと頑張ってくれるのが一番いいのだが、1位の三好をウイングで起用してみるのも面白いかもしれない。しかし彼のビルドアップでの貢献やエントレリネアスな一面を考えると、やはりIHでの起用も捨て難い。ということで、最近コメントが凹み気味の2位天野はどうだろう。昨季に幾度となく見せつけたエグい精度のクロスを連発して、自信を取り戻すのもありではないだろうか。
To Be Continued
(鹿島戦へつづく)
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