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「裏DUNK」が相当楽しかったという話。~安藤優Drink it up party~

「みんなのことを愛してます!」

髙橋海人(King&Prince)は満面の笑顔で満員のKアリーナを見上げた。
コラボ企画で得意なダンスをそしてオーガナイザーSKI-HIとはラップナンバーをこれでもかと努力の結晶を見せつけた後、幸せそうに語った。

以上は本家「DUNK Showcase 第三章」でのできごとである。
新年の私の初現場はこの「DUNK Shoecase」だった。

…のはずなのだが、
12月中旬に安藤優「Drink it up」初アルバム発売リリースイベントを同日開催でぶつけてきた。
(ちょっと同じ日は無理だな…)チケット購入を諦めかけていた私に安藤優がストーリーで語りかけてきた。
「90分です!」同じようにDUNKに行く予定の方がライブ時間を聞いてくれた。素早い対応だ。
「応援が必要です!」土下座並みのお願いモード。
そんなあきんど優に根負けした私は同じ横浜だから17時スタートのDUNKには間に合うかと思い、と初の同日ハシゴライブに挑戦することにした。


1月13日はちょうど成人式が横浜アリーナで行われる。正午ごろ新横浜は駅から晴れ着を着た成人で埋め尽くされていた。
安藤優のライブ会場は横浜アリーナ向い側。ぎゅうぎゅうの人波の中、着物の帯に触れないように気を配りながらやっとの思いで会場に到着した。

新横浜Lit”は全スタンディングでキャパ200名の小規模ライブハウス。
DUNKの“Kアリーナ横浜”の20,000人に比べたら100分の1の規模だ。
とはいえ事前のお願いモードにかなり心配していた会場の入りは、意外にもほぼフロアを埋め尽くす大入りだった。

会場を見渡すといつも応援している音楽フェス「BLUESOUND」のファン以外にやはりDUNKハシゴ予定のBMSGファンをちらほら見かける。

今日のラインナップのYORO, iyo, roomRはいつもの「BLUESOUND」メンバー。
Okano_skywalker,  むらけんは安藤優の最初に受けたオーディション
「PRODUCE 101 JAPAN」の日プ出身だ。

それに加えて、内山伊織、小原滉平安藤優が2度目に出たBMSG オーディション
「MISSON MISSON」
出身。
前にスタンディングする小原滉平ファンの若い女性2人は
「パフォーマンスの姿はオーディション以来2年振り」
と感涙気味に語った。
たくさんのBMSGファンがハシゴをしてまでここに足を運んできたのが納得できる。

昨年11月11日に発売された安藤優の初アルバム「Drink it up」は面白い試みだ。全8曲のうちソロ曲はたった2曲。残りはすべてこれら彼の仲間とのFeaturingである。
それには彼の広い交友関係や人とのつながりを大切にしてきた人柄の誠実さを想像させる。

「月が綺麗ですねー」
若干遠慮気味なリスポンスが起こった。
オープニング2曲目、彼の人気曲「T.M.U‐月が綺麗ですね‐」が流れた。
曲のラストでいつもオーディエンスが返す愛の告白「月が綺麗ですねー」「BLUESOUND」ではもはや定番だが、やはり慣れていない客層のためか、満場一致の応援とまではいかないようだ。

最初のfeaturingゲストYOROが登場した。
安藤優が1月から所属した46recordsのCEOだ。コラボ曲「Blue Print」でまだ熱し切らないフロアを力強く盛り立てる。
若干27歳のCEO安藤優と同じ日プ出身のアーティスト。
YOROは昨年立ち上げたばかりの会社の第1弾アーティストとして安藤優を選んだ。
「ものすごいいろんなアイデアを出してくる」MCでそう語った。
安藤優のアイデアマンとしての側面にも期待している様子だ。
この1stワンマンにしてFeaturingゲスト7組という異例の試みにも彼の分析の鋭さと大胆な企画力が詰まっている。

軽快なイントロが流れる。
今回私が楽しみにしていた楽曲の一つである「Pop it tag」
Okano_skywalkerとFeaturingしたこの曲はタイトル通りPOPな弾けたサウンド。聴いているだけで気分がアガるので初めて聴いた時からお気に入りだ。楽しそうにパフォーマンスする2人からは無二の親友のような絆を感じる。

この曲が好きな私に友人が「Monster (Feat.KEN THE 390)」を勧めてくれた。
Okano_skywalkerが3年前にKEN THE 390とfeaturingした楽曲だ。
今日私はこの曲を聴きながら会場にやって来た。

(あ、やるんだ。)予習通りの「Monster」Okano_skywalkerの妖し気なバースが始まる。
複雑なフロウと次第に高速になる怒涛の硬いライムがとても難しそうな楽曲。KEN THE 390のパートを歌うのは安藤優だ。
(大丈夫かな?)
私はオープニングから走りっぱなしの安藤優が少し心配になった。

”一歩すらじっとしないきっかけは一回じゃないビッとしなほらまだまだ何も始まってないからMonster目指してんならDon't stop !"

(ヒュー!!) 
思わず吹けない口笛を吹きたくなった。
この高速バースをいとも簡単そうに余裕でこなす安藤優
これは一朝一夕の練習でできるものでもない。
思えばこの2人異様に息がぴったりだ。音源のさらに上を行くユニット感。
(これはそうとう2人でやりこんでるな。)
後で聞いたのだがこの2人は以前同じボーイズグループで活動していた過去があるそうだ。
さすがの阿吽の呼吸だった。

少しづづ上がっていく会場のボルテージにおなじみの「BLUESOUND」アーティストのroomRiyoが続く。
すでに昨年からの馴染みのFeaturingゲストに会場は安定した盛り上がり。
さらに安藤優はここで飽きさせないと、どちらにも新曲を用意して披露した。

iyoとの新曲は「FWB」
iyo特有の浮遊感のあるサウンド
の中を泳ぐように歌う2人。ここでは抑え気味に低音で歌う安藤優もこの曲の世界観を生かしている。
roomRとの新曲「to TOKYO」は今ステージ上でタイトルが決まったようだ(笑) 3時間前にできたばかりの曲だとRICK(roomR)が言った。
あまり語らないroomR2人の今後の活動が常に心配で気を病みがちなファン(主に私、笑)にとっては新曲をここで披露してくれたことが何よりも嬉しい。


…とうとう問題の人が来た。
だいたいライブのフライヤーのアー写が上半身裸なところからおかしいと思ってはいた。
安藤優tube(安藤優のYoutubeコンテンツ)でレコーディングの様子が公開されたが、なぜかずっとリングの上なのもよくわからなかった。

むらけん”だ。
村松健太”というその人はステージ前方ギリギリのところまでやってきて長い脚でこちらを一蹴したと思ったらまた引き返してあちら側にも圧をかけた。
時折スパーリングのような仕草を挟みながらステージを縦横無尽に駆け巡り留まることなく動き続ける。
その様子はまるで初めてみるヒト科の猛獣のようだった。
しかしよくみると190センチくらいはありそうな高身長に小顔のイケメン。スラっとまるでモデルのようなスタイルで歌も上手かった(ような気がする。)
とにかく初っ端からその奇妙な動きに圧倒され、気づいたらお腹を抱えて笑い転げていた。後列のBMSGファンのお客さんも声をあげてゲラゲラ笑っているのが聞こえた。
(よし、きっとこれで満足して帰ってもらえるだろう。)
謎の安堵感が生まれた。

初見を分け隔てなく楽しませることができるのは素晴らしいエンターテイナーの証拠だ。
それなのに衝撃のあまりセトリを思い出せないのはレポ主として失格だ。
しかしきっとまた今年どこかで会える気しかしないのでここまでにしたい。(の割にはかなりの文字数を使った)

むらけんがステージを降りてからひと時の時間が流れた。
ステージにはスタンドマイクが置かれ安藤優内山伊織が登場した。
安藤優がエモーショナルに歌いだす。

あまりに急変したシリアスな雰囲気に
まだ笑いが収まってなかった私は呼吸を整えるために下を向いた。
続いて内山伊織の歌声が響く。ものすごく上手い。
一瞬で笑いが引いて顔をあげた。
何の歌かは知らないけれど、歌で笑いが収まったのは初めての経験だった。

次に1人でステージに上がったのは小原滉平だ。
ステージ中央で彼のオリジナル曲「皆既日食」を歌いだした。
この曲は彼がオーディション番組を終えた後、一緒に切磋琢磨した仲間に向けて創った曲らしい。
今日おそらく一番長尺であろうその曲はあとで音源を探ったら5分以上あった。トラックがシンプルなだけに歌唱力が問われる楽曲だ。

小原滉平は怯むこともなくまっすぐ前を向く。
オーディエンスの目を一つ一つ確認するように見つめながら丁寧に歌い続けた。
初披露で2年振りのパフォーマンス。観客の前で歌うのはさらに何年も前のことかもしれない。

(伝えたいのだ。)
私は直感でそう感じた。彼がここで堂々とパフォーマンスをしているのは何も彼が特別に負けん気が強いとか自信に満ち溢れているとかではないだろう。
とにかく今”この気持ちと感謝を目の前にいるオーディエンスに伝えたい”その一心である気がした。
真摯な想いは会場すべてに行き渡った。


安藤優内山伊織が再びステージに戻ってきた。
「Memoria」のイントロが流れる。
Aile The ShotaがBMSGフェス用に制作した大人気のこのナンバー。安藤優tubeでこの3人がカバーした動画はあっという間に2万再生を突破した。

最初私はこの動画を知ったときとても不思議だった。
(なぜ自分たちを不合格にしたオーディションの会社の曲を3人揃って歌うのだろう?)
もし自分が面接とかで不採用にされたらその企業に対していい感情を持つはずはない。

”今さら思い出してしまうのはカサブタの意味に気づけたから”
内山伊織が巧い。奥行きの深いリリック、原曲でも難しいそうなパートをまるでため息をつくかようにそっと音に乗せていく。

”星になった想いを忘れやしないよ僕はずっと”
「皆既日食」で語った小原滉平の仲間への想いがここでリンクする。
(嘘のない言葉だ。)
歌を通して彼らのこの気持ちが本音であることを知る。

”永遠になってMoonlight"
クライマックスはここだとばかりに内山伊織が感情のままに声をあげる。
”あの日の君へ僕の言葉が届きますように”
安藤優が絞り出すように叫び、届けた。

素晴らしいステージだった。
余すことなく彼らの内なる感情が音楽になってフロアに響き渡った。
この曲はいまは彼らの曲だった。
パフォーマンスを見て分かった。
この曲だからこそ“彼らだけに織り込める痛み”があったのだ。


”Monster 何言われても聞く耳ない俺はラップのたびによみがえる三井寿”
DUNKが終わった帰り道、電車の中でぼんやりと今日のライブを思い出していた。
安藤優が怒涛の高速ラップを披露した「Monster」がふと蘇った。

そういえばDUNK髙橋海人もラップが上手かった。何度もTVで観てきた彼だが、あんなにしっかりとバースを蹴れるアーティストだったとは知らなかった。
すでに全てを手に入れているようにみえる有名な彼であるが近年いろいろあったことは何となく知っている。

“大渋滞なら 自分で作った道いっときな
最終回 なら 人に決めさせない見ときな”

髙橋海人と安藤優…
会場の規模もチケットの価格も(笑)私が1日で体験したギャップはすごかった。
でも今日は2人ともステージで満面の笑みを浮かべていた。

急に共通点に気がついた。
2人とも今日披露した姿は彼らがアーティストを目指した頃“思い描いた理想の姿”とは異なるものであったはず。
それでも今日2人は幸せだった。


何があっても好きな音楽を諦めないアーティストって私からみたらまるでほんとに”Monster ”
止まることのない彼らは今日からまた始まりの歌を歌い始めた。

”一歩すらじっとしないきっかけは一回じゃないビッとしなほらまだまだ何も始まってないからMonster目指してんならDon't stop !"

頭の中に今日聴いた「Monster」の高速ラップが駆け巡る。

Monster” の最終回は必ずハッピーエンドでなくてはならないと強く思った。





























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