ロマンス詐欺!?
いいねが届いていたので早速相手を確認してみた。
名前はA美としよう
以下が彼女の簡単なプロフィールだ。
【年齢】40代後半
【職種】看護師
【身長】155cm
【体型】ぽっちゃり
プロフィールをよく読むと紹介文に詐欺はお断りと書いている。
このサイトにもサクラがいるのだろうか?
まだ業者のような怪しい女性には出会っていないが、彼女の体験談に興味が出てきた。
僕はいいねを返した。
そしてマッチング後に早速彼女からメッセージがきた。
「初めまして!」
中々素っ気ない。ただ女性から最初にメッセージがくることがそもそも少ないからこんなものだろう。と僕は勝手に納得した。
挨拶を返したら早速彼女から次のメッセージがきた。
「ところでぽちょさんは詐欺じゃないよね?」
どうやら詐欺についての詳細は僕が聞くまでもなく彼女が話してくれるみたいだ。
なんとなくこの雰囲気からして何か彼女の中に面白そうなものが潜んでそうだ。
「詐欺じゃないですよ。というかまだなにも詐欺っぽいこと提案してないですよね」
と僕はニヤニヤしながら返信した。
「そうだよね。ごめんね一度別のサイトで詐欺にあったから警戒しているの」
と彼女から返ってきた。
「未婚で婚活サイトなら分かるけど、なんでこの人は一回騙されているのにまだ不倫相手探してるの」
と僕は心の中で突っ込んでしまった。
ひょっとして彼女は未婚で色んなサイトを試したあげくこのサイトに迷いこんだのだろうか。
そしたら登録する場所を間違えている。
僕はそもそも彼女の既婚というステータスに疑問をいだくようになった。
「ご結婚ってされていますか?」
愚問かもしれないが。
ここだけははっきりさせようと思ってA美に聞いてみた。
「もちろんしてますよ。子供も一人います。じゃないとこのサイトに登録しないじゃないですか」
やはり愚問だった。A美はすべてを分かったうえで登録していた。
そんな感じの話を続けているうちにA美から次のメッセージがきた。
「私たちもう結構話してるよね?ご飯に誘わないの?」
このメッセージを読んで僕は飲み物を吹きそうになった。
誘い方が斬新すぎる。こういう誘い方もありだと思った。
次は僕もこの誘い文句を使ってみよう。
すぐにマッチング解除されそうだ。
「そうだね。もう仲良くなったしご飯に行こうか」
「いつが空いてますか?」
僕は怖いもの見たさにA美と会うことにした。
「土日と平日の夜以外だったらいつでも大丈夫よー」
平日の昼しか空いてないじゃん・・・
A美が働いていると言っていたからてっきり平日の夜に会えると期待したが、間違っていた。
ただ不思議なことに僕は彼女のキャラを徐々に好きになり始めていた。
「仕事終わりはきついの?」
僕は少しねばってみた。
「ご飯作らないといけないから夜遅くには帰れないの」
あっけなく撃沈した。
ここは久しぶりに半休を使うしかないようだ。
こうして僕らは平日にランチをする約束をした。
会う前に容姿について彼女の写真の写りがちょっと悪いんじゃないかと期待したが残念ながら写真通りだった。
お店は彼女も気にしていなかったし、普通のイタリアンになった。
席に着いて料理を注文してから僕は早速本題に入った。
「ほら、こうやってA美の前に現れたから詐欺じゃないでしょ?」
と僕は言った。
「本当ね。いきなり疑ってごめんなさい」
とA美は謝ってきた。
「誰かに騙されたの?」
と僕は一番聞きたかった質問をした。
「そう!別のサイトで知り合った人がいたんだけど、その人のこと好きになってしまって。そしたらそのうち彼が投資しないかと誘ってきて・・・」
と彼女は話してくれた。
「そんなに彼は魅力的だったの?」
僕は続けて聞く。
「毎日私に愛しているとメッセージを送ってきてくれたの。今まで何人か会った人はみんな付き合わずにセックスを求めてきたから彼は他の人とは違って私を見てくれているんだと思って」
彼女は少し寂しそうに話してくれた。
「それで投資についてはお金を払ったの?」
興味津々に僕が聞く。
「うん。払っちゃった。20万ほど。そしたらさらに50万必要と言うようになってきたから、さすがにそれは大金だからと断ったら、彼豹変したの。
僕のことを愛していないの!?と怒ってきたから恐くなって。結局そこから払わなかったから連絡こなくなったけど」
テレビの画面の向こうの出来事と思っていただけにいざその被害者が自分の前に現れると僕は衝撃を受けた。
そして、この類の詐欺は未婚の男女があうイメージがあったが既婚者でも騙されるのだろう。
「20万は結局返ってこなかった?」
ともう少し事件について詳しく聞いた。
「実はそのあと騙されているんじゃないかと思って弁護士にも相談したの。そうしたらこのお金は取り返すのがすごく難しいから勉強料だと思って諦めてくださいって言われたわ。この時ばかりは夫にばれないかとめっちゃヒヤヒヤしたー」
と彼女はさらに詳細を教えてくれた。
「なんで一度騙されたのにまた不倫サイトで相手探してるの?旦那さんとそんなに仲悪いの?」
と僕は半分呆れながら彼女に聞いてみた。
正直A美がそこまで恐い思いをして不倫相手を探し続ける理由が理解できなかった。
「なんでだろう。ドキドキ感が欲しくて。夫とも仲は悪くないけど一緒に出掛けることはなく最低限の話しかしないし恋人って感じではなくなってきたからね。さらに職場の人も何人かセカンドパートナーがいて楽しそうだから」
それは本当に仲がいいと言えるのか・・・
とまた内心僕は突っ込んだ。
A美と話していたら突っ込みのスキルは上がりそうだ。
「今日はありがとう。楽しかったよ。そろそろ時間だから帰るね」
そんな話をしているうちに時間がきたから僕は帰ることにした。
「わかった。ちなみに会ってみて私どうだった?〇?△?×?」
手で〇などのサインを作りながら彼女が店を出た直後に聞いてきた。
僕はそんなA美のストレートのような変化球のような質問に困惑してしまった。
「A美は素敵な女性だと思うよ。じゃあそろそろ時間だから帰るね」
結局曖昧な返事しかできずに僕は逃げるようにその場を去ってしまった。
今度〇△×の質問形式は使わせてもらおう。