「チェコが育てた」とチェコが誇るヴァイオリニスト 石川静
ヴァイオリニスト石川静の軌跡をご存じの方も多いかと思うが、2024年6月、日本での久々のリサイタルが催されるので改めてご紹介したい。
15歳でチェコスロヴァキアへ
石川静が留学でヨーロッパに渡ったのは東西冷戦の真っ只中であった1970年春。中学を卒業後、チェコスロヴァキアのプラハ芸術アカデミーでヴァイオリニストのマリア・ホロウニョヴァー女史(Marie Hlouňová)につくためであった。幼少時からヴァイオリンに才能を表していた石川静は、当時東京藝術大学の客員教授として来日していたホロウニョヴァー女史の目に留まり、当時は給費留学しかありえなかった社会主義国チェコスロヴァキアでの生活を15歳の少女はスタートさせた。
チェコ語を覚え、どっぷりとチェコ人の中で生活することで、リズムやフレーズが身に付いていったという。あるインタビューではこう語っていた。
プラハ芸術アカデミー在学中から活躍
1972年、18歳になったばかりの頃にプラハから受けに行った第6回ヴィエニアフスキ国際ヴァイオリンコンクールで2位になり、合わせてシマノフスキー賞も受けた。
当時のコンクールでの演奏が当コンクール公式HPから聴くことができる。
また同じころにヨゼフ・スークのピンチヒッターでチェコ・フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会に登壇し、ブラームスの協奏曲でデビューを大成功におさめた。その後もチェコ・フィルの室内楽シリーズに参加し、オイストラフやリヒテル、モラヴェッツ等の大家と並び話題になった。オイストラフから「実に素晴らしい。美しい音色といい、輝かしい技巧といい、卓越した表現力といい、第一級の才能の持ち主だ」とお墨付きを得たという。
その後度々チェコ・フィルをはじめチェコスロヴァキア内外のオケのソリストに抜擢され、ノイマンやコシュラー、ペシェック、ビエロフラーヴェクが指揮を務める来日時などにはソリストとして日本の楽壇でも名を知られるようになった。
現在のように思い通りに往来ができない時代に一人で相当な苦労もあったはずだが、以来2024年現在まで拠点はプラハであり、東京と頻繁に往復して演奏活動や後進の指導に飛び回っている。
録音活動も華々しくコシュラー、ペシェック、ビエロフラーヴェクらの指揮の元、数々の協奏曲のアルバムを出している。
クーベリック・トリオ
私達オクタヴィア・レコードと石川静とのお付き合いは、1999年の会社設立前にプラハで知り合って以来、主にクーベリック・トリオの録音を多く行ってきた。
また、2024年はスメタナ生誕200年ということもあり、世界各地や日本でもチェコ音楽にスポットを当てた企画が催されています。
→詳しくはチェコ音楽年2024(チェコセンターサイト内ページ)
石川静 & EXTONのおすすめCD
オクタヴィア・レコードではEXTONより、ソロの2タイトルとクーベリック・トリオのアルバム7タイトルをリリースしています(一部現在在庫切れ)。
おすすめは特にこの2タイトル。
2024年 久々の日本でのリサイタル
石川 静 ヴァイオリンリサイタル
石川 静(ヴァイオリン)
ルカーシュ・クランスキー(ピアノ)
2024年6月15日(土)
15時開演 14時30分開場
会場:東京・銀座 王子ホール
今回のリサイタルでは、半世紀以上にわたってヨーロッパで活躍してきた石川静の超円熟の音楽をお楽しみいただけます。ちょうどスメタナ生誕200年にあたり、世界中でチェコ音楽が企画されています。スメタナのヴァイオリン作品の傑作「わが故郷より」や、ドヴォルザークのロマンスも演奏されます。
また、広島・宮崎・長野での地方公演も行われます。
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