2023.3.18 SIBU TOWER RUN
2023年3月/18(土)、マレーシア・サラワク州では唯一のステアクライミング大会「SIBU TOWER RUN 2023」が開催されました。
コースに仕掛けられたトラップ?と格闘しながら、偉大なるチャンピオンが持つコースレコードを目指して奮闘した過程をお楽しみください。
大会概要
【会場】Wisma Sanyan RH Tower
【高さ】110m
【階数】28階
【段数】627段
【参加人数】252名
【参加国】マレーシア、タイ、シンガポール、ベトナム、インドネシア、日本
1人ずつ15秒ごとのウェーブスタート。5m程度のアプローチから計測マットを通過し屋内階段へ。築30数年の建造物、暗いシンプルな階段を登り切り屋上エリアへ。
出場選手
この大会はマレーシア・サラワク州を拠点するUndergroundSibuが主催する、サラワク州では唯一のステアクライミング大会。更にはMalaysia Towerrunning Associationが主管する大会であり、世界的にも大会開催や選手育成に熱量のあるマレーシア階段界から多くの参加者が集まった。
マレーシアといえば現在TWAランキング1位のSoh Wai Ching選手が超有名。昨年の世界選手権では渡辺良治を破り堂々の世界チャンピオンに。コースレコードもSoh選手が2020年に叩き出した2分56秒が残っている。
しかしSoh選手はワルシャワにて開催の大会に出場するため不在。エントリーリストにはマレーシアNo,2のJustin選手、同No,3のErvin選手や台湾No,2のYan選手など、東南アジアを中心とした上位層が名を連ねていた。
日本からはTWAランキング65位の戸取大樹選手が海外2戦目。英語が堪能でベトナム遠征に続き小山の通訳係を担っ...頼りになる良き遠征パートナーです。
女性はシンガポールのチャンピオンYan Wei選手、マレーシアチャンピオンのMichele Tan選手、更にはNo,2のJennifer選手など強豪揃い。ここに海外初参戦の原田知華子選手がいかに喰らいつくか個人的な楽しみでもありました。
作戦
事前にアナウンスされたスタート順は
1.ジャスティン🇲🇾
2.小山孝明🇯🇵
3.ヤン🇹🇼
4.エルヴィン🇲🇾
5.戸取大樹🇯🇵
だったため、先頭スタートのジャスティン選手の過去記録から見て15秒差でスタートしても追いつけると思ったので前半から攻める作戦に。15階ぐらいまでには追いついて金魚の糞で回復。相手が落ちてきたらしれっと内側から抜いてフィニッシュするというイメージでした。
ところがどっこい、スタート直前になってジャスティン選手の欠場が判明。小山が先頭スタートに。
コースもよく分からないし、なんならSoh選手のコースレコードがあまりにも時間がかかりすぎていることを考慮すると「下手に攻めることができない」が正直なところ。
ということで作戦変更!
◎前半10階は62〜63秒でゆったり通過
◎コース確認しながら余裕を持つ
◎イレギュラーあれば対応
ぐらいの様子見ながらの展開をイメージ。
スタート→10階
10秒前からカウントダウン。記憶が正しければカウントダウンのタイミングがズレまくって何度かやり直ししてたと思う。まぁ「GO」を聞ければいいと思ってたからその辺は冷静でした。
「スリー!トゥー!ワーーーーーーーン」
と心の中で思いつつも、時間が来たので周りの空気に触発されながら勢い良く飛び出しました。勢いは初っ端のアプローチだけ。すぐさま練習でイメージしていたリズムに入ろうとしたその瞬間、いきなりボス登場。
このブラりと垂れ下がったコード。おそらく計測システムのためのものだと思うんだけど、これが掴みたい手すりを掴めなくする超厄介者!
手すりをタイミングよく掴めたとしてもその後引っかかって続かない。3階まで来た時点でいつもの使い方を諦めて、手すり頂点(階段から一番遠い部分)を掴むスタイルで攻める。体力に余裕のある前半、かつ極端なスピードコースではないからこそできるものである。
10階→20階
10階通過は1分03秒。狙っていたタイム通りに通過したので一安心。というよりトラップを避けながらなので上出来か。
ということでチラッと時計を確認してリズムを上げる。スタートから10階までは実質9階分しか登っていないので、20階のターゲット的には2分08〜10秒ぐらい。即座に計算ができるほど余力はありまくっていた。
リズム上げると言っても、既に1分以上登ってるわけでスタート時の勢いは無い。階段は比較的登りやすく、踊り場もトリッキーではないのでこのまま行けば3分切りは確実。あとはコースレコード2分56秒との戦いだ。
20階→フィニッシュ28階
いよいよ終盤戦、20階到達タイムは2分09秒と予想通りの展開。
とまぁ自分を鼓舞しながら一気に切り替えたのだけは覚えてます。これまで1階あたり約7秒で登って来てるので、このままのペースで登ると3分05秒かかってしまう。
もちろんそんなことは百も承知なわけで、だからこそのスピードアップ。当初の作戦「イレギュラーがあれば対応」がなかったので、その分スピードに回せたことが大きな要因。
と、半ば強引にコードを引っかけながらラストスパートをかけるわけです。あれよあれよと28階、フィニッシュ地点へ。そのままスピードは落ちることなくむしろ最後は加速してゴール。
もちろんきついんだけど、いつものぶっ倒れる感じはなく不完全燃焼な感じ。それでも最後にペースアップできたのは小山の数あるレース経験でも稀。
総合リザルト
2分59秒37 総合優勝
Soh選手のコースレコード2分56秒には3秒ほど届きませんでしたが、2位以下を14秒引き離して総合優勝。史上2人目の3分切りでFASTEST MANをいただきました。
総合優勝の賞金として現地通過800RM。日本円にして25,000円ぐらい。物価が日本の1/3〜1/4ってことを考えると結構な金額。
同カテゴリに出走した戸取大樹選手は3分21秒で4位入賞!女子エリートの原田知華子選手は海外初参戦ながら3位入賞!それぞれがパフォーマンス発揮して上位に食い込めたことを喜び讃え合うことができました。
その後は数多くの現地メディアに取材を受けるなどこの日はヒーロー気分でした。賞金、メディアは日本においては課題です。州全体がこの大会に注目していることは間違いなさそうで、他大会もこのクオリティでレースが開催されていることを考えると、マレーシア全土で盛り上がりを見せていると言えそうです。
以上、マレーシア遠征の様子でした!
掲載記事一覧
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?