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【レースレポ】VJC大阪大会
2022年11月6日(日)、Vertical running Japan Circuit (以下VJC)の最終戦となる第3戦が開催されました。小山視点にはなりますが、レースの模様を綴りましたのでご覧ください。
大会概要
会場: あべのハルカス
高さ: 285m
階数: 59階
段数: 1,610段
VJC公式ホームページ
出場選手
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まずのっけから話題をかっさらったのが一斉スタート。男子20名が同時にスタートし、アプローチ約15mを経て階段へ。
スタートポジションは第2戦終了時のランキング順に選べる。渡辺良治→加藤浩→加藤聡→矢島昭輝と順々に配置し、小山は9番手。2列目左から2番目に陣取りました。
え?いいの?9番手のおれがこんな最高のポジションでいいの?1列目の選手喰っちゃうよ〜
すぐ目の前に加藤浩、左斜め前に矢島昭輝、右斜め前に渡辺良治。スタートから飛び出すであろう選手が前にいるので、おのずと空間ができるから前に出やすいってわけ。
スタートまで2分。ここで作戦を練り始める。
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作戦
●ぬるっとスタートした選手は容赦なくぶち抜く
●階段に入って10Fぐらいまでスピードに乗る
●その後は極端にペース落とす
●「お先にどうぞ」で後から抜かす
前列の者たちよ聞け。弾かれたくなくば大人しく道を空けよ。一斉スタートの恐ろしさを思い知らせてやる。覚悟しろーーーー!!!!
これまでのレースや練習で自己ベストが出ることは間違いないと思ってたからぶっちゃけタイムはどうでも良い。
それと上位勢に抗っても勝てないことは明確だったので、いかに一桁順位に入るかだけを考えた結果この作戦になった。
スタート
3・2・1・GO!
MC TANEの美声が響く。
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およよ?矢島なにしてんだ?そんなノロノロ運転でいいのか?ここで炸裂させてやらぁ!「秘技!弾き出し!」その筋骨隆々の身体、捻じ伏せてやる!
別に嫌がらせとかじゃなく、これが勝負の世界。一斉スタートが当たり前の世界戦がこれから頻発するので、その練習も兼ねて当たらせてもらいました。
1F〜20F
結果的には前列を1人喰って階段へ5番手で入る。やはり一斉スタートの熱は凄まじく、全員やや速いペースで登っていた。ここで前に着いていくと早い段階で失速することは間違いないので、5Fあたりで徐々にペースを下げ、10Fあたりで定速モードに突入。走れミク、高前直幸、吉井将晃ら実力者たちが続々とパスしてくる。
お先にどうぞ。せいぜい上位陣で潰し合うがよい。俺は俺のペースで登る。落ちてこようもんなら容赦なくアタックさせてもらうぜ。
と、ここで予想だにしない光景が目に飛び込んでくる。
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うおい!この階段スケート野郎!張り付くな!俺のペースを利用するな!ベトナム優勝したからってハルカスで着いてこれると思うなよ!
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お前らもかーい!金魚の糞たちめ!
10Fまでに一度先頭に立ち、前半ぶっ込むことに美学を感じている中田直樹と勝俣章博をパスしたと思ったら大名行列の出来上がり。
金魚の糞たちがゾロゾロ着いてきたので「やられた」と、嫌な展開を悟ることとなった。
20F〜40F
しばらく膠着状態が続く。戸取大樹、前田剛志、佐藤あきら、今井洋二、業天一生と5人に張り付かれていた模様。
1Fに要する時間は9〜10秒ぐらい。踊り場で折り返すたび金魚の糞たちが視界に入る。
誰か仕掛けないかなー。ちょっとペース落としてみようかな。
ほんの少しペースダウンすると、金魚の糞たちも揃ってペースダウン。完全にカモにされていた模様。
30Fを過ぎたころ、今井洋二が大外から一気に仕掛けてきた。さすがスカイランナー、動きが滑らかだ。と相手のフォームを見る余裕はあった。今井さんはこれまでのハルカスの持ちタイムから見ても格上だったので、正直眼中に無し。ひたすら後ろに張り付く金魚の糞たちとの格闘だった。
いやもっと前を追えよ愚か者。
40Fに獣現る
40Fを過ぎてから間もなく、ドド度ドドド怒ドドと地鳴りがしてきた。
なんだ地震か!?
後ろを振り向く間もなく、大外からけたたましいうめき声と共に黒い影が通り過ぎて行った。ヤツはしたたり落ちる汗だけを地面に残して消えて行った。
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45〜55F
前田剛志、佐藤あきらに続けてパスされる。ここまでペースメイクを自分だけでやってきたツケが回ってきた。上手いこと利用してきた金魚の糞たちが加速して前へ出てくる。
それでも前へ出るだけパワーを使うので、さほど離されなかった。ほんの少し余力を残しておくことを頭の片隅に置き、前2人を追った。
ヤバい!キツイ!苦しい!でも自己ベストより遥かに速い!いいぞ俺!楽しい!こんなレース展開初めてだ!楽しんでるぜ俺!
フィニッシュ直前は段差が上がる。前2人もボロボロだったけど、俺はボロ雑巾以下だった。
フィニッシュ
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ハルカスはきつい。60Fは長い。閉鎖空間の中でただただ階段を登るスポーツを、何故始めてしまったのか。
レース中はそう思うこともしばしば。でもやっぱりフィニッシュ後の達成感というか爽快感というか。やめられない理由はそこにあると思う。
●タイム: 10分19秒55
●順位: 12位
天空回廊が丸々短縮されたことを考えても、自己ベストを30秒ほど更新する記録だった。
総合リザルト
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8〜12位が10秒以内にひしめく混戦だった。その中で仲間たちと勝負できたことを誇りに思うし、ここまで駆け引きに徹したレースは初めてだったので嬉しくなっちゃって久々にNOTE更新した。
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この時間が一番好き。結局渡辺良治が一番強くて、それにヒョコヒョコ頑張って着いていく様は、俺らこそ金魚の糞なんだなって。
レース中は相手を倒しに行く鬼の形相。全て終われば笑いながら健闘を讃え合う仲間たちの存在。
VJCいやバーティカルランニングは、スポーツの本質を味わえる場所だなって改めて感じた大会でした。
まだまだ続く
VJC最終戦が終わり、しばしの休息。
とはいかず、11/12にドバイにて初の世界選手権。遠征続きで身も心もボロ雑巾ですが、灼熱の地でも金魚の糞やってきます!
世界戦で活躍する選手を応援するプロジェクトを立ち上げているので、是非とも皆様のお力を貸してください!!!!!!