2年前にアンジュルムの笠原桃奈を送り出した。

推しがアイドルを辞めて、次のステージに行く。そんな出来事を経験したことはあるだろうか。

2021年11月15日。


私の推しの一人が次の夢を叶えるため、『アンジュルムを卒業』していった。

正直、当日になるまでは実感がなかった。夢を叶えるためというポジティブな理由ならいいだろうと思っていた(その間海外にいて修行していたとしても)。

仕事が被っていたこともあり、送るのを諦めていたのだ。しかし、友人から「絶対休みを取れ」と言われたので上司にダメ元で聞いたらあっさりOK。優しい上司でよかった、久々にライブを観られてうれしいな、と能天気に考えていた。

しかし、その考えが死ぬほど甘かったことを私は彼女の卒業公演を見て思い知ったのであった。

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卒業前までは桃奈の話題を極力入れないようにしていた。落ち込んで仕事に支障が出ることがないように、と思っていたから。

幸いにも、気を逸らすのは難しくなかった。その当時はつばきファクトリーの新曲ラッシュだったし、新メンバーに集中すればよかった。超新星が七人も入り、全員歌もよくて可愛いから、明るい未来だけを見られた。

※卒業≠暗い 卒業=悲しい

特に研修生で推していた豫風瑠乃ちゃんと江端妃咲ちゃんが昇格したことが嬉しくてしょうがなかった。

でもハロステやハロコンで桃奈のことを見るのは苦じゃなくて、踊って歌っている彼女は本当に素敵だった。

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卒業を実感し始めたのは、ライビュの申し込みをして、支払いをした11月だった。


チケットが手元に来て、「あれ?もう桃奈卒業しちゃう...?」という気持ちになった。そうなると急激に焦りだした。ますます桃奈を直視することができなくなっていく。彼女がハロステ、アプカミに出ることで『卒業』を実感していく。そしてますますしんどくなっていった。

どうやら、私は自分で想像しているよりもずっと彼女のことが好きだったらしい。

幸いだったのは、仕事が忙しくてそれほど見る時間がなかったこと。ど繁忙期と被っていたから何もみずに寝るだけの日々が続いた。

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そして、本番当日。この日にやりたいことを全て詰め込んだ。ずっと行きたかったカフェに行き、アイスを食べ、美術館へ行き、買いたい服と履きたい靴を買った。


ライブビューイングで画面越しに見た桃奈は、いや、笠原桃奈さんは、圧倒的に美しかった。彼女が着ていたのは、スパンコールがついており、フリルがついた真っ黒いタキシードだった。私はカッコ良すぎて震えることしかできなかった。


一歩歩くごとに輝きを増していき、美しくなっていく人を、私は初めて見たかもしれない。

「最後の瞬間は、ファンがピンクのライトを振ってくれるから彼女は「アンジュルムの笠原桃奈」でいられるんだよ。彼女が舞台から去ったらそうじゃなくなるんだよ」っていう友人の言葉に嗚咽を漏らした。


呆然としながらファミレスで友人と桃奈の卒業について語り合い、滂沱たる涙を流した。完全に不審者である。


あまりにも美しくて、綺麗で、かっこよくて。次の日仕事なんか手につかなかったし、上の空すぎて転んで怪我をしてしまった。
あの時の痛みは今でも覚えている。

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そして、2023.9.10。
「ドキドキしたい?私に任せなさい」

101ガールズオーディションに出てる、桃奈の映像を見つけた。YouTubeのおすすめであがっていたのだ。


画面越しに見た桃奈は、二年ぶりの桃奈は、美しさに磨きがかかっていて。でも、キラキラしていて、全力なことは何も変わってなかった。


電車のなかで嗚咽した。あの時ちゃんと現地に行って送り届けられなかった苦しみの涙ではない。あの輝きを見れなかったことへの悔しさでもないし、ましてや悲しみでもない。また現れてくれたことへの感謝と喜び、感動で。

私は決意した。
絶対彼女に花道だけを歩かせる。
そして、テッペンを、一位を取ってもらう。

今日も私はleminoを開き、投票をするのだった。もちろん、笠原桃奈に。

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編集後記
こんな拙い文を読んでくれてありがとうございます。

当初これは、桃奈が卒業した時の自分の気持ちを赤裸々に書いたのみの文でした。ふ応援したい気持ちはあったけど、悲しくて、辛くて。

彼女が帰ってきてくれた今、喜びの文章に変えることができて嬉しく思います。

てっぺんとろうね、桃奈!

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