インドのNavayāna運動
以下の動画が大いに参考になった。“A New Buddhism” by Doug’s Dharma
We will look at the Indian lawyer, economist, politician, and tireless advocate for social justice Dr. B.R. Ambedkar, his career and influence, and in particular his development of a new Buddhist path in so-called "Navayāna" Buddhism or "the New Vehicle". We will see how it differs from traditional early Buddhist belief and practice, and how it is aimed at improving the situation of the most impoverished in India and around the world.
※ビームラーオ・ラームジー・アンベードカル(マラーティー語:भीमराव रामजी आंबेडकर、Bhimrao Ramji Ambedkar、1891年4月14日 - 1956年12月6日)は、インドの政治家(ネルー内閣の法務大臣)、思想家。インド憲法の草案作成者。反カースト(不可触民改革)運動の指導者。
アンベードカル主義者はこの運動をनवयान Navayāna「新乗」と呼ぶ一方、佐々井秀嶺は「新仏教」との呼び名は「アンベードカル博士以前の仏教と私達を意図的に区別し“元不可触民”のレッテルを貼るもの」「ハリジャンにも等しい呼び方」「同じ人間同士に、新も旧もありません」として間違っていると主張し、「仏教復興運動」を称している。このように立場によって呼び名が変わる用語であるので、注意が必要である。
ダリットを基盤として復活した現代インドの仏教は、アンベードカルの独自のパーリ仏典研究の結果として「ブッダは輪廻転生を否定した」という見解を得たとする仏教理解に立脚しており、仏教(とその他インド系宗教の多く)において前提とされる輪廻による因果応報をカースト差別との関連から拒否するなど、その合理主義的な教義がダリットらの人権・解放運動、社会運動の一環と指摘される側面もある。
(カルマがもたらす輪廻を疑問視するという意味では、カルマを信じていないと公言している佐々木閑先生の思想にも近い?)
カルマの思想によって成立するカースト構造という現状に特化した薬を処方するという方向性は、対機説法を行ったブッダとも重なる。反ヒンドゥー運動、人権運動の性格を持つNavayānaは明らかな社会運動であり、一般社会の価値観に従って生きることができない人々の受け皿という釈迦時代のサンガの機能を果たせるかはわからないが、一度は故地インドから駆逐された仏教が今再びインドで(心理療法士釈迦牟尼と、政治家アンベードカル博士のアプローチは異なれど)衆生済度に活かされようとしていることは感慨深い。