パズル63(2次小説:類つく)
〜類〜
このところ、つくしの様子が少し変…
つくし「筑前煮を作ったからDrにお裾分けして来るね」
以前からそれはやっていたけどこの所毎日だよ?
類「Drの奥さん、具合でも悪いの?」
つくし「え?元気だよ。今日本料理に凝ってるらしいの」
ちょっと目が泳いでるよ?つくしは嘘が下手だよね
つくし「類、今日も良い天気だよぉ〜外でランチにする?」
今までよりも庭にいる時間が長くなったよね?俺がそこでキスしようとすると
凄く恥ずかしそうに避けるのは何で?
類「つくしは俺のキスは嫌いなの?」
悲しそうにそう言うと…
つくし「そ…そんな事は無いよ。ちょっと恥ずかしいだけ///」
類「誰も見ていないのに?」
つくし「ほ…ほら 前よりもこっちは見通しがいいから////」
クスクス 真っ赤になって言い訳するのが可愛いよね。
1週間くらいは気づかないふりをしていたけど…
アトリエで仕事をしているとケビンがやって来た。
独立の準備も順調みたいだ。今までの出版社には年に一度季刊誌に短編を
発表すると約束したら喜んでくれたらしい
ケビン「ルーニー、この書類にも目を通してもらいたい。来月には戸籍の事も
クリアになるから一度、日本に行く事になるよ」
類「わかった…つくしの両親にも挨拶したいし帰国は必要かな…その前にDrの
所にいる母さんにも会おうと思う」
ちょうどお茶を用意してソファーに近づいていたつくしが
つくし「る…い、気づいてたの?」
もう少しで熱いお茶を落としそうになったからケビンが慌ててトレイを
受け取った。
類「俺はずっとあんたを見てるからね、ちょっとした変化も気づくよ
このまま黙っていても良かったけど…庭でキス出来ないのは寂しい」
つくしは分かりやすくボツっと赤くなった笑。
つくし「黙っていてごめんなさい。私も何となく優しい視線は感じていたけど
確認したのは最近なのよ」
ケビン「ルーニー、ごめん。楓社長に頼まれて僕が手配したんだ。ここをリホームした時に病院側だけ見通しを良くしたのもそのためだった」
類「つくしは会ったの?嫌な思いはしなかった?」
つくし「類が留守の時にDrにお願いして会わせてもらったの。今は杖無しでも
歩けるくらい筋力も戻っているわ。類はお母様に似ているのね、とても綺麗で
優しい方だわ、嫌な思いなんてするわけない!会えて嬉しかったの」
類「あの人はつくしに酷い事をしたんだよ?忘れちゃったの?」
つくし「私は類のご両親も白井さんの被害者だと思ってるよ。会った時も泣きながら謝罪してくれたけど、そんな必要はないって言ったよ。亜里沙さんも類が
行方不明になって生きる気力を失くしたでしょう私と同じだよ、私よりも長く
無の世界に居たから現実に向き合うのに時間も努力も必要だったはずでしょう?
類を見ているだけで幸せだって言っていたの、頑張れるって…私にもありがとうって何度も言ってくれたのよ、嬉しかった」
類「あんたって…本当にお人好しだよね。」
つくし「そんな私は嫌いですか?」
類「嫌うわけがない…愛してるよ」
やれやれって顔でケビンが席を外してくれたから俺はつくしを抱きしめた
つくし「お母様に会いに行こうよ、きっと喜ぶよ」
抱きしめた腕の中でそんな事を言う…
類「そのうち気が向いたら」
つくし「今の時間はリハビリも終わってると思うよ!行こう!」
ねぇ俺の言葉は理解してるよね?
つくし「善は急げ!って言うでしょう?」
ケビンが部屋に戻って来て
ケビン「つくし、今なら部屋にいるから大丈夫だってDrが言ってたよ」
ケビン…つくしの事を理解し過ぎじゃないの?
つくし「さすがケビン!ありがとう」
つくしに褒められて凄く嬉しそうなケビンにムッとした
つくしに手を引かれて渋々と庭を抜けるとDrが待っていた
Dr「彼女には何も伝えてない、驚く顔が楽しみだ。」
案内されたのは病室の1番奥…
Dr「アリサ、入っても良いかな?」
亜里沙「はい、どうぞ」
つくしに背を押されて部屋のドアを開けると窓のそばの椅子に座った母が見えた
亜里沙「え?え…る…い」
類「久しぶり…体の具合はどぉ?」
亜里沙「…えぇだいぶ良いわ、類…ごめんなさい…ごめんなさい」
母さんは泣きながら何度も謝っている
類「俺こそ…心配かけてごめん。」
泣きながら首を横に振る母さんの横にやっぱり泣いているつくしが寄り添い
涙を拭いてやっている。
Dr「美味しい紅茶をもらったんだ、今妻に運ばせるよ。ゆっくり話すといい」
Drまで涙声になっている。
ソファーに座り涙が収まるのを待っていたら
亜里沙「つくしさん…ありがとう。夢じゃないわよね?」
2人が手を握り合って今度は笑顔になっている
類「なんか…仲良さそう、つくしは俺の横でしょ?」
亜里沙「クスクス 類にやきもち妬かれちゃったわ。本当に仲良しね」
類「楓さんに聞いていると思うけど、ずっと記憶を失っていて名前も覚えて
いなかった。記憶が戻った時に俺は花沢の名前を捨てようと思っていたんだ。
ルーニー・ブラウンとしてつくしと生きていこうってね。」
亜里沙「そう…それも当然だと思うわ」
類「でも…つくしに反対された。花沢類として過ごした思い出まで消えそうで
悲しいって、俺もつくしに「ハナザワ ルイ」って呼ばれるのは好きだった
父さんの事は許せないけど…戸籍を捨てるのは辞める。花沢類としてつくしと生きていくよ。俺たち、結婚するから」
亜里沙「ありがとう類、幸せになってね」
類「つくしがいれば俺は幸せだよ。母さんも早く元気になって」
つくし「私達の家も広くなりましたし、リハビリがてら来て下さいね。
泊まれるお部屋もありますよ」
母さんは嬉しそうに微笑み俺をチラッと見た
類「まぁいいんじゃない」
つくしも満面の笑みだからこう応えて正解かな
*****
〜亜里沙〜
類に会った夜、私は護さんにTV電話をした
亜里沙「あなた、今はどこにいるの?」
護「日本だよ。類の行方不明届けを取り消し、記憶障害で連絡が取れなかった事を外務省にも伝えた。戸籍は問題ないだろうとのことだ。まぁ類が名前を捨てる
可能性もあるだろうけどね」
亜里沙「あなた…今日類がつくしさんと一緒に私に会いに来てくれたの」
護「え!気づかれてしまったのか…それで大丈夫だった?」
亜里沙「えぇ…私の体の心配をしてくれたのよ。まだ信じられないわ」
護「そうか…良かった。つくしさんのおかげだな…」
亜里沙「えぇ…記憶が戻った時にはルーニー・ブラウンとして生きていこうと
思ったと言っていたわ…花沢の名前は名乗りたくないって…」
護「当然だよ…」
亜里沙「でもね…つくしさんが『ハナザワルイ』と過ごした思い出を消したくないって言ってくれたんですって。あの2人花沢の名前をこれからも名乗ってくれる
そうよ…結婚するって言ったいたわ。仕事ではルーニーの名前を使うそうよ
私…ずっと泣いてばかりで目がちょっと腫れてるでしょ?」
護「そうか…花沢つくしになってくれるのか…」
亜里沙も護も涙が止まらない
護「今夜は冷たいタオルで目を冷やさないと明日は大変な事になるよ。」
亜里沙「えぇ…私だけごめんなさい」
護「君だけでも会ってもらえて俺は嬉しいよ。私の事は許せないだろうが
それは仕方ない事だよ。君の笑顔が見られて俺は幸せだよ」
亜里沙「つくしさんが…もう少しだけ時間を下さいと言ってくれたわ。きっと
類の気持ちも変わるからって…私はそれを信じてるわ。」
護「もったいない言葉だよ」
亜里沙「近いうちに戸籍の事もあるから日本に帰国すると言っていたわ」
護「そうか…やっと類も幸せになれるな」
護もその日はきっとぐっすり眠れるだろうと電話を切って亜里沙は思っていた