絆9(2次小説:類つく)
〜永遠 9歳〜
永遠「ねぇ ケイ、
ママとケイってどうやって知り合ったの?」
僕はずっと不思議だったんだよね…
ケイ「ふふふ そうだね〜やっぱり運命?かね。」
永遠「運命?それじゃぁ答えになってないよ。
ママって日本人なんでしょう?ケイが日本でスカウトしたとか?」
ケイ「初めて会った時、つくしはオアフ島のカフェで働いていたんだよ
私は1番安いコーヒー1杯で何時間も粘る厄介なお客だった。」
笑いながらケイが話してくれたけど全然想像つかなかったんだ
その日の夜 僕はママにも聞いてみた
永遠「ねぇママ、ケイと初めて会ったのってオアフ島のカフェだって本当?」
つくし「そうよ〜ママの仕事先にケイが毎日来てたの。」
ママは思い出したようにふふふって笑った。
**回想**
〜つくし 19歳〜
逃げるようにハワイに来てもうすぐ1ヶ月…
あんな手紙一つで別れたから、もしかしたら道明寺に探されるかなとか
ビクビクしていたけれど杞憂だったみたい
自分から全てを捨てたからスマホも会社から支給されたものを使っている。
店長「マキ、またあの婆さんが粘ってる。早く帰ってもらってよ」
私が働きだしたカフェはアメリカが本社でハワイでも繁盛店だと聞いていたけど
実際はワイキキからも離れている裏通りで客層もあまりよくない。
観光客も来るけど日本人はオシャレな店に行くからほとんどいないし店長も店員もやる気が無いみたい…なんだか聞いてた話とはずいぶん違うけど今の私には似合ってる。
つくしって言いにくいみたいで私は『マキ』って呼ばれているの
つくし「お店も混んでいないし良いじゃないですか?」
店長「あの婆さん、毎日ボロを着て安いコーヒー一杯で店に置いてある新聞を
読んで何時間も粘ってる。迷惑なんだよ」
店長はあからさまに嫌な顔をするけど、私はこのお婆さんが好きったの
経済新聞を読む姿も背筋が伸びていてみんなが言うほど貧しい人には見えなかったのよね。
つくし「いらっしゃい。いつものでいいですか?」
ケイ「私にあいさつしてくれるのはあんただけだね〜いつものを頼むよ」
コーヒーを持っていくと
ケイ「それにしても不味いコーヒーだね…どんな豆を使ってるのか」
なんて小声で言ってくるから
つくし「日本の店舗のはもう少し美味しかったんですけどね…」
つい言ってしまう。
私はこのお婆さんが来るのがちょっと楽しみになっていたの
朝から夜まで働いて会社が用意してくれたワンルームの部屋に戻る
週に1度の休みも人手が足りないと削られるけど本社には内緒にしてと言われて
手当も出ない…『これじゃぁ、みんな辞めるよね』
でも忙しい方が何も考えずに済むから良い…どうせ眠れないんだもの
そんな生活を気づけば3ヶ月近く過ごし私は7キロも痩せてしまった
ケイ「つくし、あんたまた痩せたね?ちゃんと食べてるのかい?
今週も休みがなかったんじゃない?」
お婆さんはケイさんと言って旦那様を亡くして1人暮らしだって教えてくれ
仕事が終わると店のそばの公園で話す事もあった。私も名前を教えたら
【つくし】って呼んでくれるようになったの
ケイ「もうあの店は辞めた方が良いよ。あそこは長くないね」
つくし「でも…私は帰るところがないんですよ。あの店は確かにちょっと酷いけど、他で働くにはいろいろ大変だし頑張るしかないんです」
そう言うしかない。
ある日…いつものようにお婆さんが新聞を読んでいると
店長「あんた、いい加減にしてくれないかな!安いコーヒー一杯で毎日毎日
ちゃんと家はあるのか?ここを家代わりにしないでくれよ!
1時間以上いるならその都度、何か注文しろよ!出来ないならもう来るな」
店長が飲みかけのコーヒーを勝手に下げながら怒鳴り出したつくし「店長、お客様にやめてください」
店長「このばばぁを客だと思ってるのはマキだけだよ。なぁ〜」
他の従業員も頷きながらコソコソ…あまりの態度に涙が出て来る
つくし「お婆さん…ごめんなさい…」
頭を下げるとふらふらして意識を失ってしまった。
目が覚めるとふかふかのベッドに眠っていて…キョロキョロとあたりを見たけど
病院じゃぁないみたい
ケイ「あら、気づいた? つくし完全に栄養不足よ、点滴をしてるから起きないでちょうだい」
え?その声はお婆さんに間違いないけど…お婆さんなんて呼んだら絶対に失礼な
セレブな女性が目の前にいて混乱してしまう
つくし「あの…ここは?あなたは…」
ケイ「クスクス いつもの姿は仮の姿なの。これが本当の私よ、ここは私の家。
名前はケイ・コックスまだ50前なの」
つくし「す…すみませんでした//// コックスさん」
ケイ「ケイで良いわよ。私はつくしって呼んでるもの
あなた、カフェで倒れたの。店長は慌てて店の奥に運ぼうとしたけど
心配だったからBGにここまで運ばせたのよ。Drにも見てもらったわ
過労に栄養不足…それと…あなた妊娠してるわね」
つくし「え?」
そういえばこっちに来てから生理は来ていないけど…いろいろあったし
もともと不順だったから気にもしていなかったけど…妊娠?
私のお腹に類の子がいるの?
そう思ったら自然に涙が出ていた